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2007.12.05

緑色の薩摩切子とサントリー美コレクション

100日本橋高島屋の“美の壺展”(拙ブログ12/1、12/3で終了)でみた右の緑色の薩摩切子の衝撃があまりに大きかったため、切子の色は一体何色だったか再確認したくなった。

で、家に帰って昔、鹿児島市にある尚古集成館を訪問したとき購入した図録や小冊子を本棚からひっぱり出してみた。

あらためて読んでみると、現存する薩摩切子に関する興味深いことが記されていたので参考までにご紹介したい。

薩摩切子を復元している薩摩ガラス工芸という会社の社長さんが1994年に書いた論考には、現存する薩摩切子の所蔵先、色の割合、形状などがまとめられている。

元の情報はサントリー美術館の方が1982年ころ出版された本だが、今から25年前の時点で確認された薩摩切子は112点だったそうだ。一番多くもっているのは尚古集成館で32点、次がサントリー美の24点。全体の半分をこの二つで占め、あとは個人蔵
40点、鹿児島市立美4点、福砂屋2点、大和文華館2点、アメリカのコーニング社4点などとなっている。

社長さんがまとめられた1994年のころはサントリー美も買い増したり、うちにもあると個人の所蔵がわかったりしたので、130点くらいだろうと推定している。それから10数年経った現在は130点プラスαといったところか。

112点の色の内訳をみると、紅62点(55%)、藍39点(35%)、紫5点(5%)、緑
1点、無色4点。紫は少なく、サントリー美の“ちろり”(6/27)は貴重な一品。また、緑はこれまで尚古集成館の1点(碗)しかなかった。だから、“美の壺”で薩摩切子を放送したあとでてきた右の“栓付瓶”は大発見だったのである。2点目の緑色の切子が見れたのだから、これは幸運だった。

サントリー美がどうして薩摩切子をたくさん所蔵しているのかわからなかったが、ここにその経緯が書かれてある。これが面白い。大正時代の初め、彫刻家、朝倉文夫は照国神社に島津斉彬、久光、忠義の三公の銅像をつくるにあたり、その準備のため鹿児島通いをし、その間に薩摩切子を収集した。

朝倉文夫が亡くなったあとそれを引き継いだ娘の朝倉摂(日本画家、舞台美術家、
現在85歳)が自分の家にこういうものが眠っているのはよくないと思い、サントリー美に売却したという。なぜサントリー美だったのかは書かれてない。へぇー、へぇー!あの美しい“藍色船形鉢”(04/12/20)はもとは朝倉コレクションだったのである。

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コメント

こんばんは。
薩摩切子の遍歴、朝倉コレクションだったのですね!!!
サントリー美と朝倉摂さんが近しい関係だったのでしょうね。
独り占めしないで、公共の場にお披露目してくださって、
感謝感激です。
モノが物語を背負って、晴れ晴れしいところで
お披露目する、ただ、そこで輝いているだけじゃないってことですね。
興味深い記事でした。

投稿: あべまつ | 2007.12.05 21:50

to あべまつさん
以前からサントリー美に薩摩切子が沢山あるの
を不思議に思ってたのですが、その理由を手持ち
の資料から知ることができました。

美術品の名品は国民皆が楽しむものであると
いう欧米では当たり前になっている公共財の思想
を理解され、実行されるのですから、朝倉摂さん
は立派ですね。とてもいい話で感激しました。

投稿: いづつや | 2007.12.06 12:02

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