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2007.12.08

鳥獣人物戯画絵巻 後半場面

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鳥獣人物戯画絵巻の後半(11/28~12/16)を見た。今回のように前期(拙ブログ11/19)と後期で作品がすっかり入れ替わると、料金的にはすっきりする。サントリー美も見る人の気持ちを酌んだ展示になってきた。展示作品の質が高く、テーマの設定、切り口は上手いのだから、好感度がグッとアップする。

また、前期のとき知ったのだが、割引料金の前後期通し券や夜間限定券(6時~8時、何回でも入場可能)を前売りしていた。全く期待してなかったのに、望んでいたことをやってくれる。いい運営になってきた。これは拍手々!

甲巻の後半には“鳥獣戯画”というとすぐ思い浮かべる場面が出てくる。スタートしてすぐが逃げる猿を兎と蛙が追っかけるところ。このスピード感のある描写がすばらしい。蛙は大きく口を開けて“待て、この猿野郎!”と叫び、兎は“よくもやったわねー、許さないから”とススキを振りかざし必死に猿を追っかけている感じ。左に目をやると、蛙がひっくり返り、兎が心配そうに腰を屈めている。どうやら、猿の仕業らしい。喧嘩の原因は?

上は見慣れた蛙と兎の相撲の場面。その前では蛙が兎の耳に噛みついている。噛みつきは禁じ手なのに、蛙は劣勢を跳ね返すためなんでもありの戦法をとったのだろう。勝負がついたときの蛙の気合が伝わってくるようだ。

この気合の声を口からでている描線で表現している。これが漫画のふきだしの原点ではないか?地面に転ばされた兎をみて愉快そうに大笑いしている3匹の蛙の表情が実にいい。12世紀後半の日本には、こんな臨場感いっぱいに、そして表情豊かに描かれた戯画が存在したのである。わけもなく嬉しくなる。

次に飾ってある乙巻の後半部分は前半より迫力のある動物図鑑。登場する動物を順にあげると、一角獣、麒麟(05/5/17)、豹、山羊、虎、獅子、龍、象、獏(ばく)。一番カッコいいのが麒麟。そして、圧倒的な存在感があるのが下の獅子。大きな獅子で、一瞬たじろぐほどの怖さがある。甲巻の蛙同様、獅子の口からは吼えている様子を表す描線がでている。

ぱっとみて顔がつかみにくいのが同じようなポーズをとっている龍と最後の獏。体のなかに顔の部分が入りすぎているのである。

3つある甲巻の断簡を見れたのはよかった。目の前にある甲巻とこれらをつなぎ合わせると、もともとあった場面展開がどういう風になっていたかがおおよそイメージできる。地道な研究のお陰で戯画全体を楽しむことができた。サントリー美に感謝々である。

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コメント

身近な動物たちが擬人化されているのも楽しかったですが、
幻の獣たちの遊ぶ姿も興味深かったです。
毛づくろいする獅子も可愛いものでした。
吠えいている獅子は、チョウチョに向かって
吠えているように思えました。

投稿: 一村雨 | 2007.12.10 15:50

to 一村雨さん
首をおもきりひねっている獅子にひきつけ
られました。超迫力の獅子が吼える先に蝶を
描くのですから、真にファンタジックですね。
豊かな想像力に感心します。

投稿: いづつや | 2007.12.10 22:21

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