青山ユニマット美術館のシャガール
どこかの美術館に置いてあったチラシに誘われて青山ユニマット美術館を訪れた。ここは半年前、はじめて行ったところ。平常展示と企画展の2本だけになっており、現在は印象派の作品が特別展示されている(10/16~08/4/20)。チラシにあったルノワールの“授乳する母親”(1886)を見るため、早足で2階まで降りた。
が、画集TASHENで見たイメージと異なっていた。ルノワールは1886年に妻のアリーヌが長男のピエールに乳を飲ませるところを何点か描いている。本に載っている米国のセント・ピーターズ・バーグにあるファイン・アーツ美術館蔵もここの作品と同じかどうかはわからないが、ずいぶん薄い色調である。期待したルノワールの明るい色ではなかった。
画集にでている作品をこの美術館はもっているのかと色めきたったが、ブリジストン、ポーラ、山形美にあるものと較べると半分の感動しか得られなかった。印象派の巨匠の絵といっても全部が全部、心にヒットするわけではないから、こういう不完全燃焼の鑑賞もある。この絵は忘れて、来年Bunkamuraで開催される“ルノワール+ルノワール展”(2/2~5/6)にオルセーからやってくる“田舎のダンス”(1883)に期待しよう。これは200%楽しませてくれる真打中の真打。
一緒にでているモネ、セザンヌ、ドガの作品は足が止まるほどではなかった。ということで、今回は上の階にある常設展示の作品でOKとした。上はシャガールの初期の作品、“酒飲み”(1911)。下はここの絵ではなく、群馬県立近代美術館が所蔵している“世界の外のどこへでも”(1915)。
見るとわかるように2つの絵には宙を飛ぶ首や二つにカットされた顔がみえる。シュールな絵を見るのが絵画を見る楽しみのひとつだから、体はすぐ反応する。“世界の外のどこへでも”とくらべ緊張を強いられるのが“酒飲み”。明るい黄色と赤の対比が目を惹き、透明感のある画面なのに、男が手に鋭利なナイフを持ち、横向きの頭の目が正面を見ているので、不思議なシュールさに遊ぶというよりはこの酔っ払いの狂気性に体は引き気味。
隣に飾ってある館自慢の“ブルーコンサート”(拙ブログ07/6/17)は日本にあるシャガールの作品ではトップクラスの名画。これを目に焼きつけたから、ここの鑑賞はひとまず終わり。
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コメント
こんにちは
私もシャガールのシュールな絵にひきつけられました。
不気味さよりもブラックなユーモアが感じられて
楽しいです。
投稿: 一村雨 | 2007.12.17 08:41
to 一村雨さん
ここは2度目の訪問だったのですが、お目当て
のルノワールに肩透かしを食ったので、その分
シャガールの首がとんだ絵やブルーコンサート
が強く印象に残りました。
投稿: いづつや | 2007.12.17 14:21