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2007.12.31

07年感動の展覧会・ベスト10!

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美術館の訪問計画は半年ベースで立て、例年元旦と7/1の拙ブログに載せている展覧会情報をベースに動いている。種々の展覧会を整理した時点で各展覧会にたいするワクワク度というか期待度がだいたい決まる。

展覧会鑑賞の楽しみは旅の楽しみと似ている。開幕までのワクワク感、お目当ての作品と対面したときの喜び、そして見たあと図録のページをめくり感動を再生をする楽しい時間。この3つの楽しみが味わえる展覧会なら一生の思い出になる。

My感動の展覧会には順位なし。どれも200%感動した思い出の展覧会。西洋絵画、日本画はバランスよく5つずつとし、見た順に並んでいる。上の画像はここ数年のうちに訪問しようとおもっているフィラデルフィア美術館。東京都美が主催した展覧会が一番気に入ったということではない。

★“モネ大回顧展” 4/7~7/2  国立新美術館

★“国立ロシア美展” 4/28~7/8  東京都美術館

★“キスリング展” 7/26~8/26  横浜そごう美術館

★“フィラデルフィア美展” 10/10~12/24  東京都美術館

★“ムンク展” 10/6~1/6  国立西洋美術館

★“ギメ東洋美蔵浮世絵名品展” 1/3~2/25 太田記念美術館

★“鳥居清長展” 4/28~6/10  千葉市美術館

★“BIONBO/屏風 日本の美展” 9/1~10/21 サントリー美術館

★“美麗 院政期の絵画展” 9/1~9/30  奈良国立博物館

★“狩野永徳展” 10/16~11/18  京都国立博物館

今年も拙ブログをお読みいただき誠に有難うございます。いい美術品との出会いを皆様と共有できたことを嬉しく思っております。よいお年をお迎え下さい。
   

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2007.12.30

07年もう一度見たい名品・ベスト10! その三 工芸

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年々、やきもの以外の工芸品への関心が高まっている。大徳川展に出品された名刀を見て突如、刀剣に目覚めたのをはじめ、、東近美の“工芸の力展”では着物ではない藍染の作品に心を奪われた。また、染織、漆芸、ガラスに表現された装飾性豊かな文様に何度胸を打たれたことか。

やきものも富本憲吉(世田谷美)、志野と織部、乾山(いずれも出光美)、安宅コレクション(三井記念美)など見ごたえのある展覧会が続き、色絵、青花、白磁の名品に酔いしれた。心に響いた珠玉の工芸品は次の10点。

★“色絵竹と菱更紗模様瓢箪形大壺” 富本憲吉  富本憲吉記念館蔵

★“青瓷壺”  志賀暁吉  

★“春草文花瓶”  ドーム  北澤美蔵

★“染付龍濤文天球瓶” 畠山記念館蔵

★“飾筥・紅白梅”  藤田喬平  京近美蔵

★“青花辰砂蓮花文壺”  大阪市立東洋陶磁美蔵

★“太刀 銘 吉房”  福岡一文字吉房  林原美蔵

★“緑の薩摩切子

★“鯉蒔絵飾箱”  田口義明

★“藍染・銀河”(上の画像、部分)  福本潮子

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2007.12.29

07年もう一度見たい名品・ベスト10! その二 日本画

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西洋絵画に比べ、日本画を美術館でみる回数は倍以上あるから、ベスト10を選ぶのに苦労する。今年は仏画、水墨画、地獄絵、絵巻、屏風、浮世絵、近代日本画の傑作を沢山見た。どの作品と対面したときの感激が大きかったか、鑑賞のシチュエーションを思い出しながら決めた。

体がほてってくるほど感動するのは念願の追っかけ作品の前に立ったときと全くNO情報のすばらしい絵が突然目の前に現れたとき。下はそんな感動体験から選んだ10点。その一同様、初見の作品で見た順に並んでいる。

★“北国五色墨 川岸”  喜多川歌麿  ギメ美術館蔵

★“花丸図”  伊藤若冲  金刀比羅宮蔵

★“雨月物語”  鏑木清方  霊友会妙一記念館蔵

★“保津川図屏風”  円山応挙  千總蔵

★“六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波” 歌川広重 神奈川県歴博蔵

★“釈迦金棺出現図”  京博蔵

★“長岡の花火”  山下清

★“五代岩井半四郎の助六”(上の画像)  歌川豊国  ミネアポリス美蔵

★“唐獅子図屏風”  狩野永徳  三の丸尚蔵館蔵

★“紅葉舞”  鈴木春信  東博蔵

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2007.12.28

07年もう一度見たい名品・ベスト10! その一 西洋絵画

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今年の美術館訪問はあと2,3箇所が残っているだけ。で、国内や海外の美術館でみた感動の絵画、やきもの、彫刻などを思い起こしてみた。

準備に何年もかけて開催する美術館の企画展には、一人の作家の回顧展、あるテーマにそって様々な作品を集めてくるもの、新たに発見された遺品を並べたものなどいろいろある。関心が高いのはやはり好きな作家の回顧展。テーマ展については、追っかけ作品が中心の鑑賞なので、学芸員には申し訳ないがあまり関心がない。だから、見たい作品がなければその展覧会はパスすることが多い。

また、大回顧展でも代表作のいくつかをすでに鑑賞しているような場合は当然ながら、感激度は展覧会のスケールに反して低くなる。逆に作品の数が少なくてもその中に、狙っていた作品が含まれているなら、それは印象深い展覧会として長く記憶にとどまる。

で、My美術鑑賞振り返りは美術評論家が行うような展覧会選定ではなくて、感動した作品中心のレビュー。“もう一度見たい名品”と題して10点絞り込んだ。ただし、これは昨年同様、はじめて見たものに限っている。フェルメールの代表作“牛乳をそそぐ女”に大感激しても、これは既に鑑賞しているので対象外。

まずは、西洋絵画から。順番は好みの度合いでなく、見た順。画像は名前の下をクリックすると現れるので、拡大してお楽しみいただきたい。

★“砂に埋もれる犬”  ゴヤ  プラド美術館蔵

★“十字架降下”  ファン・デル・ウェイデン  プラド美蔵

★“ヴィーナスの奉献”  ティツィアーノ  プラド美蔵

★“アイヤ岬の嵐”  イヴァン・アイヴァゾスキー  国立ロシア美蔵

★“モンパルナスのキキ”  キスリング  ジュネーブ、プティ・パレ美蔵

★“青いドレスの女”  マティス  フィラデルフィア美蔵

★“声/夏の夜”(上の画像)  ムンク  オスロ市立ムンク美蔵

★“大家族”  マグリット  宇都宮美蔵

★“囚人”  石田徹也  

★“東京の街の光、色”  マリーナ・カポス

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2007.12.27

Myフェイヴァリット 日本の歌!

142二日連続で好きなシンガー小田和正、井上陽水の歌をテレビで楽しんだので、先月の“懐かしのポップミュージック”(拙ブログ11/29)に続いて、“Myフェイヴァリット 日本の歌”を選んでみた。

My好きな音楽ビデオのなかには以下のような歌謡曲、演歌、シンガーソングライターの歌などがオムニバス風に入っている。

★“津軽のふるさと”(1953) 美空ひばり
★“アンコ椿は恋の花”(1964) 都はるみ
★“イムジン河”(1968) ザ・フォーク・クルセダース
★“悲しくてやりきれない”(1968) ザ・フォーク・クルセダース
★“ふるさと”(1973) 五木ひろし

★“襟裳岬”(1974) 森進一
★“いちご白書をもう一度”(1975) バンバン
★“酒と泪と男と女”(1976) 河島英五
★“夢追い酒”(1978) 渥美二郎
★“大阪で生まれた女”(1979) BORO

★“恋人よ”(1980) 五輪真弓
★“昴”(1980) 谷村新司
★“ふたり酒”(1980) 川中美幸
★“浮草ぐらし”(1981) 都はるみ
★“for you”(1982) 高橋真梨子

★“冬のリヴィエラ”(1982) 森進一
★“いっそセレナーデ”(1984) 井上陽水
★“悲しみにさよなら”(1985) 安全地帯
★“浪花盃”(1986) 五木ひろし
★“道頓堀人情”(1986) 天童よしみ

★“愛燦燦”(1986) 美空ひばり
★“みだれ髪”(1987) 美空ひばり
★“川の流れのように”(1989) 美空ひばり
★“壊れかけのRadio”(1990) 徳永英明(1/3
★“少年時代”(1990) 井上陽水

★“ラブストーリーは突然に”(1991) 小田和正
★“SAY YES”(1992) チャゲ&飛鳥
★“YAH YAH YAH”(1993) チャゲ&飛鳥
★“壺坂情話”(1993) 中村美律子
★“地上の星”(2000) 中島みゆき(左の画像)

★“涙そうそう”(2001) 夏川えみり
★“ワダツミの木”(2002) 元ちとせ
★“たしかなこと”(2005) 小田和正
★“千の風になって”(2006) 秋川雅史(4/14
★“ダイジョウブ”(2007) 小田和正

年を重ねるにつれて美空ひばりは本当にすごい歌手だなと思うようになった。とくに好きなのがここにあげた4曲だが、ほかにも沢山ある。歌の上手い中村美律子は贔屓の歌手。今年また紅白歌合戦に出場する。“壺坂情話”は壺坂寺にちなんだとてもいい歌。都はるみの“アンコ椿”もよく口ずさむ。

名古屋にいたころ、会社に“for you”をプロ並みに歌う女の子がいて、飲み会のあとのカラオケ店ではいつも聴きほれていた。夢を叶えて歌手になっただろうか?お嬢さんのような可愛い顔をしているが、ハートにびんびん響く熱い歌いっぷりの中島みゆきにもぞっこん。

元(はじめ)ちとせの歌声をはじめて聴いたとき、これはすごい新人が現れたと仰天した。が、ブレイクした後は期待したほどメディアにでてこないし、結婚してお母さんになったから、音楽活動はもうやめてしまったのかなと思っていたら、NHKの制作した“インカ マヤ アンデス展”関連番組でテーマ曲を歌っていた。あの声量のある歌声に久しぶりに痺れた。

男性の演歌歌手では五木ひろしがお気に入り。昔あるところで短い時間だったが話をしたことがある。九州からはビッグなシンガーソングライターが沢山でている。その頂点に立つのが井上陽水。昨日は同郷の後輩リリー・フランキー、オセロの中島との気楽な会話を楽しんでいた。

陽水は顔だけみると、新橋の居酒屋で機嫌よく飲んでいるオヤジとそう変わらないが、ギターをもって歌いだすと、超一流シンガーに変身する。高い声は相変わらず綺麗だし、上手い。そして、なんといっても歌う姿がカッコいい。これから先もまだまだ、小田和正、井上陽水の歌は楽しめそう。

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2007.12.26

小田和正 クリスマスの約束 2007

141今朝は2時ごろまで起きてTBSの“小田和正  クリスマスの約束”を見ていた。

今年60歳になるオールドシンガーソングライターとはいえ、11月にリリースされた“自己ベストー2”が大変売れてる小田和正の番組なのだから、11時半の開始でなく、10時くらいからのスタートでも視聴率はとれると思うのだが!?

最初からいきなりお気に入りの“たしかなこと”。次が今年の民放ドラマに使われてヒットした“こころ”。拙ブログ05/12/23に詩を全部載せるほど好きな“たしかなこと”は何度練習しても最後まで上手く歌えない。

リフレインされる♪♪“忘れないで どんな時も 、、”のところは自信をもって口ずさんでいると、隣の方からはMr.ビーンが教会のミサで歌う♪♪“ハレルーヤ、ハレルーヤ、”みたいね、とからかわれる。

はじめて聴いた“こころ”もいい歌。ドラマの視聴率が上がるのも納得。このあとお目当てのNHK連続テレビ小説“どんど晴れ”の主題歌“ダイジョウブ”が続けばすぐベッドに入れたのだが。そう上手い具合にはいかず、予想通りこれは締めの歌になったので、結局番組が終了するまでつきあうことになった。

こういうときでないとこの曲はフルに聴けない。テンポがよく明るい曲想に聴き入っていると美しいヒロイン夏美の笑顔や物語の場面が目の前に浮かんでくる(拙ブログ9/30)。ところで、比嘉愛未はもう次の出演が決まっているのだろうか?どうでもいいことだが、ほんのすこし気になる。

今年のゲストは5人。さだまさしの歌は昔よく聴いたが、名前だけは知っている佐野元治のステージは初体験。このシンガーが有名な佐野元治かという感じ。ノリのいい
“SOMEDAY”を歌っていたが、詩もいいし歌い方もカッコいい。人気がでるはずである。野茂がドジャースで大リーグデビューしたとき、試合前は佐野元治の歌を聴いていると語っていたが、この曲を聴いていたのだろうか?

こういう大勢の人を楽しくさせる歌を聴いていると“音楽の力”はすごいなと思う。太古の時代から、踊りや歌は人間が生きていく上で必要不可欠なものだった。喜怒哀楽の気持ちは紙に書いたり、絵に描いたりするよりは口から音として吐き出すほうが感情表現の仕方としては手っ取り早く、家族やまわりの仲間とも心がひとつになる。皆でダイナミックにコラボしたいときは一緒に音楽を聴いたり、ともに歌うのが一番。

小田和正は来年、3年ぶりに全国ツアーをするという。衰えを見せない驚異の音楽家だ。今日は嬉しいことに井上陽水が登場する。ビッグツーの連チャンとはTBSも気が利いている。

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2007.12.25

工芸の力ー21世紀の展望

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東近美工芸館の開館30周年を記念する特別展の第2弾は“工芸の力ー21世紀の展望”(12/14~08/2/17)。記念展Ⅰの“30年のあゆみ展”(拙ブログ10/25)はいい内容だったが、パートⅡにはかなりリスクがある。楽しみよりは不安のほうが先に立つ。その不安はどこからくるのか?大半の作家を知らないからである。

スポットが当てられている14人の作家のうち知っているのは陶芸家の前田昭博と三輪壽雪(06/7/18)、そしてオブジェの中島晴美(この作家は男性、05/12/19)の3人だけ。毎年開催される日本伝統工芸展のような展覧会にほとんど出向かないから、最前線で活躍する作家とは全くといっていいほど縁が無い。だから、3人の作品を楽しめればいいと割り切って入場した。パスポートを購入しているので今回も無料。

入ってすぐのところにお目当ての前田昭博の美しい白瓷(はくじ)が5点あった。上はその一点“白瓷面取壺”(1996)。上下互い違いにずらした面取りがつくりだすフォルムとその面取りによりできる光と影からなる陰影が心を揺すぶる。全体が卵形をした壺は鋭角的な鋭い線と女性的なやわらかさをあわせもっているのが大きな魅力。そして、見る角度によりさまざまな表情を見せる。こんな名品をみるのに言葉はいらない。

下の作品は田口義明の“鯉蒔絵飾箱”(2006)。8点ある蒔絵は最初、人間国宝・田口善国のものかと勘違いした。名前をよくみると作家は善国の長男だった。はじめてみたが、作品にすごく力がある。紅葉や幾何学的な文様に比べ、鯉や鳩、金魚、海老がモティーフとして使われている作品のほうがいい。とくに痺れたのがこの鯉。飾箱の蓋には青やゴールドで彩られた柔らかい流水文が、側面に鯉がどんと大きく描かれている。黒地に青、金色といった強い色彩対比と装飾的な文様に強い衝撃を受けた。

福本潮子の藍染作品も夢中になってみた。着物なら沢山みたが、こういう文様の繰り返しや一つのイメージを表現した藍染はみたことがない。藍の地に小さな白い光が無数に輝く“銀河”(1998)に言葉を失って見ていた。“工芸の力”を200%感じさせ、ファンタジーの世界に誘ってくれるすばらしい作品である。

最後の部屋に飾ってある北川宏人がテラコッタでつくった等身大の人物像も魅力一杯。青山や六本木に行けば会えそうな都会に生きる若い男女6人が目の前に立っている感じ。チラシに使われているスキンヘッドの男性に引き気味だったが、実際にみてみると愛着のもてるいい作品。イタリアに留学しただけあって北川の服装の色彩センスがとてもいい。こういう人物像ならもっとみてみたい。

北川は40歳だそうだが、その才能は高く評価されているにちがいない。My好きなアーティストに即登録した。見る前は不安が半分あったのに、館を出るときは気分はかなり高揚していた。新しい作家と出会うのは確かに刺激になる。

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2007.12.24

国宝 雪松図と近世絵画展

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昨日からはじまった三井記念美術館の“国宝 雪松図と近世絵画展”(12/23~08/1/31)は情報を得たときは半分パスの気分だった。雪松図は何度もみているから、たまにはお休みしたいところ。が、琳派狂いには気になる絵があった。上の酒井抱一の“観音像”である。

先の大徳川展に出品された“双鶴・七草図”が不発に終わったので、2連敗は避けたいところ。抱一は37歳のとき僧籍に入ったので、仏画も描いた。一度、細見美術館で“青面金剛図”という色鮮やかで迫力満点の絵をみたから、三井家が所蔵する観音図は期待していた。結果は?予想以上のすばらしい観音様だった。

目を奪われるのがうす青の着衣の上にはおった白い裳の切金を思わせるような精緻な文様。そして、激しく揺れ動く感じの波文は珍しいことにねずみ色で描かれている。金剛図は風神・雷神のイメージの延長でみたから、さほど驚かなかったが、これは純然たる観音図。抱一がこれほど作域の広い絵師とは思わなかった。

鈴木其一の“寿老人、恵比寿、大黒図”は琳派的な描写はまったく見られず、その高い画技により、応挙の絵を上手に写している。また、ダイナミックに描かれた渦巻きと風になびく観音の裳に惹きつけられる河鍋暁斎の“観音像”にも足がとまった。

三井家とは縁の深い円山応挙の作品は“雪松図”(拙ブログ05/10/14)や“雲龍図”(05/11/18)など全部で7点ある。時間がたっぷりあるので、雪松図をじっくり鑑賞した。右の老松では雪が積もっているところと積もってないところがみえるのに対し、左の若松の葉には雪がまんべんに降りかかっている。感心するのが雪を表す塗り残しの部分と枝の丸みをだすための墨面のつけかたとグラデーション。

蕪村と応挙に学んだ呉春が描いた3羽の小鳥が梅の木にとまっている横長の絵、“梅に小禽図風炉先屏風”にも魅了された。

絵画以外での収穫は最初の部屋に飾ってある下の野々村仁清作、“色絵桐巴紋水指”。白地に浮かび上がる緑と青で彩色された桐と巴の文様の安定感がなんとも心地いい。気楽な鑑賞だったが、抱一と仁清のいい作品と対面できたから上機嫌で館をあとにした。

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2007.12.23

東博浮世絵エンターテイメント! 歌麿&国芳

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今年の東博浮世絵展示も今回が最後(12/18~08/1/14)。ここの浮世絵は展示が替わるたびに出かけているから、年間を通してみると結構な数を見た。展示してあるのは30数点だから鑑賞の時間は短いが、毎回収穫となるのが2、3点あるので非常にいい気持ちになる。楽しみの真ん中にあるのが喜多川歌麿の美人画。

代表作に数えられる3点がでている。上の“歌撰恋之部・深く忍恋”、“高名美人六家撰・扇屋花扇”、そしてミネアポリス美所蔵展にも出品された“台所美人”(拙ブログ10/10)。“深く忍恋”は対面をずっと待っていた作品。画集には東博蔵とギメ美蔵のものがよく載っているが、東博のはギメよりコンディションは少し悪い。でも、やっとみれたので、そこは目をつぶってじっくり見た。インパクトのある巾広の黒しゅすの襟に引き立てられる女の不安げな表情に見入ってしまう。

5枚あるといわれるこの“歌撰恋之部”シリーズは画集には4点しか載ってない。“物思恋”(10/11)、“夜毎に逢恋”は以前見たから、次のターゲットは“稀に逢恋”。これは東博にあるのだろうか?残り2枚と会うのは時間がかかりそう。

歌川豊国のいい役者絵に感激した。それは最近出版された“江戸絵画入門”(別冊太陽、平凡社、07年12月)の浮世絵のところに紹介されている“三代目沢村宗十郎の大星由良之助”。これほど画面一杯に描かれた役者絵も珍しい。胡粉が使われた寄り目や鼻、そして真一文字にむすんだ口がすごく印象的。

風景画にはいつものことだが、いいのが並んでいる。川の青と松に積もった雪が詩情をそそる渓斎英泉作、“江都隅田川雪之遠景”、広重の“名所江戸百景”から“深川木場”、“深川洲崎十万坪”、“王子装束ゑの木大晦日の狐火”、“日本橋雪晴”、“霞かせき”。

下は広重の傑作“東海道五十三次之内 蒲原 夜之雪”同様、静寂な雪景色が心にしみる歌川国芳の“高祖御一代略図・佐州塚原雪中”。これは佐渡に流された日蓮上人が傘をかぶり雪の中を行く場面。雪の描写、墨のぼかし、上人の足跡を釘付けになってみた。

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2007.12.22

村上隆の大回顧展が見たい!

131今日の朝日新聞・be on Saturdayに現在、ロサンゼルス現代美術館で開催されているアーティスト、村上隆の大回顧展のことが紹介されていた。

朝日は村上隆にご熱心で11/22にも大人気の個展の状況をレポートしている。この記事が出たあと、ロサンゼルス現代美のHPをクリックしてみると、確かに大勢の人を惹きつけそうな作品がいくつも展示してある。

記事によると開幕(10月末)一週間後の集計で、1万6千人近く動員し、02年のウォーホル展を千人くらい上回ったという。この勢いだと来年2月11日までの開催期間中に予想をはるかに超える観客が美術館に足を運ぶことになりそう。これはすごい!“世界の村上隆”を思いっきり見せつけている感じである。

ロサンゼルスのあとはNYのブルックリン美術館、ドイツ・フランクフルト近代美術館、スペイン・ビルバオのグッゲンハイム美術館を巡回する。残念なことに日本にはやってこない。村上隆の作品をまだ数点しか見たことがないから(拙ブログ05/2/14)、回顧展を待ちわびていたが、鑑賞の機会がまた遠のいた!NYで見る可能性があるかもしれないが、これはまだ不確定要素が多いので今の段階ではロサンゼルス現代美の映像で雰囲気を楽しむほかない。

右の村上隆の後ろに見えるのは“大仏オーヴァル”。村上龍が司会を務めるTV東京の番組に村上隆が出演したとき、その製作現場を映していた。この製作にすでに1億円を投じているとかなんとか言ってたような気がする。これが完成作だった。本物を見たいー!、見せて頂戴、村上隆!会場ではアニメもみられるようだ。これから、村上はアニメに本腰を入れるとのこと。夢の実現にむかって大車輪で疾走する構えである。

昨年、彼が書いた“芸術起業論”(06/7/9)を紹介したが、村上隆はアーティストであると同時に事業家。とくにコンセプトづくりには一流コンサルタント並みの能力を発揮する。それが“スーパーフラット”。琳派や浮世絵とは違うまだ欧米人が知らない日本美術の伝統を彼らがすっと入っていけるポップアートの流れと融合させて表現する。これなら“大仏”や“だるま”が現代アートファンの目にも新鮮に映るはず。

いつか村上隆の作品が沢山見られるようミューズに手をあわせておこう。

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2007.12.21

東博のやきもの名品

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東博が所蔵するやきものはいくつかの部屋に分けて展示してある。日本の陶磁器は本館の一階、二階の“茶の美”、“暮らしの調度ー安土桃山・江戸”の三箇所に、そして中国、朝鮮のやきものは東洋館にある。

今、タイミングよく中国のやきものの名品が沢山でている。その極め付けが本館の“茶の美”コーナーに飾ってある上の国宝“青磁下蕪瓶”(南宋13世紀、龍泉窯、アルカンシェール美術財団蔵)。これは日本に伝わる青磁花生のなかでも、名品中の名品として知られている。

この花生とは縁があり、5度目の対面。寄託品なのかどうかわからないが、2年くらい前にもここで見た記憶がある。胴の下部が丸く膨らんだ姿を茶人は“下蕪”(しもかぶら)と呼んだからこういう名前がついている。これは砧青磁の名品のように床の間に飾り、正座してその美しさを愛でるというよりは、縁側にでも無造作に置いて、ニヤニヤしながら眺めるほうがずっと楽しいだろう。展示は来年の4/6まで。

これを見て、すぐ東洋館に移動して、“中国の陶磁 宋~清時代”を鑑賞すると、青磁の素晴らしさが体中に浸み込むかもしれない。ここに展示されている44点のなかで(展示は08/1/27まで)、北宋、南宋時代に越州窯、龍泉窯などで焼かれた青磁は8点ある。お気に入りはひび割れたような感じの貫入が心を打つ“青磁輪花鉢”(重文、南宋官窯)。ここにはもう一点、同じく官窯でやかれ、貫入がみられる優品“青磁琮形瓶”(重文)があるが、今回は展示されてない。

青磁とともに魅了されるのは明や清の色絵。下はしばらく立ち止まってみた“藍釉粉彩桃樹文瓶”(景徳鎮窯、清時代)。心を奪われるのが桃の形にシンクロするかのように成形された瓶のまるいフォルムと地の藍に浮かび上がるピンク色の桃。同じタイプのものを過去2、3回みたことがあるが、今回のが一番ぐっときた。

そして、隣にある“粉彩梅樹文皿”(重文、景徳鎮窯、清時代)も心に響く。白地に余白をたっぷりとり梅が描かれている。これが毎日見られたらどんなに幸せかと思わずにはいられない名品である。中国陶磁の美を堪能した。

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2007.12.20

小杉泰著「イスラーム帝国のジハード」

128イスラム教関連の本を2冊読んだ。

ひとつは阿刀田高さんの「コーランを知っていますか」(新潮社、03年8月)、もう一冊は小杉泰著「イスラーム帝国のジハード(講談社、06年11月)。

普段は冠婚葬祭以外は宗教にはあまり縁のない生活を送っているが、西洋美術や日本美術と長くつきあっていると、知識としてのキリスト教や仏教の話がある程度のまとまりをもって頭の中に入ってくる。

でも、イスラム教となるとキリスト教、仏教以上に縁遠いから、ムハンマドがどんな人間で何を行ったのか、コーランには一体どんなことが書いてあるのか、ジハードとは何か、また王朝の変遷はどうなっているのかなどについての知識は皆無に等しい。

前々からこれではいけないと思い、まず手始めに「旧約聖書、新約聖書を知っていますか」でお世話になった阿刀田高さんの本を買い込んだ。しかし、これも積ん読状態。が、3月スペインを旅行し、アルハンブラ宮殿の鍾乳石飾り(拙ブログ3/29やコルドバのメスキータ(3/28)に感動してから、状況が一変、イスラムに対する知識欲が俄然涌いてきた。

で、「コーランを知っていますか」と旅行のあと購入した京都大学教授、小杉泰氏の「イスラーム帝国のジハード」を読んだ。イスラム熱はまだ終わらなくて、次に「エル・シードの歌」(岩波文庫)、「アルハンブラ物語・上下」(アーヴィング著、岩波文庫)を読むことにしている。

「コーランを知っていますか」はイスラムの入門書としては最適の本。阿刀田さんは文章が上手いから、原文だと退屈になりそうなコーランの内容がよくわかる。これでまず、一ラウンドこなした後、本格的な小杉氏の本に進んだのは正解だった。

この本は講談社が創業100周年記念として06年から出版をはじめた「興亡の世界史」(全20巻)の一冊。歴史好きなので、このシリーズは全部読む予定にしているのだが、最初がこの「イスラーム帝国のジハード」。小杉氏がイスラム史の研究でどういう業績を挙げられたのか詳細には知らないが、これを読むと世界的な学者であることはすぐわかる。

「興亡の世界史」の編集コンセプトは“現在が理解できるような歴史解釈でもって、世界の歴史を人類知の視点から再構成する”とある。読み終わってみると、“ジハード”のことや今のイスラム社会がこれからどういう方向にむかっていこうとしているのかがわかった。本当にこの本はよく書けている。

また、本書でもふれられているアッバース王朝期(8~10世紀)に形成された海域貿易ネットワークのことを書いた家島彦一氏の“イスラム世界の成立と国際商業”(岩波書店、1991年)を知ることができたのも大きな収穫。これは世界的に評価されている研究らしいから、来年はこの本にも挑戦してみたい。

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2007.12.18

美術評論家もいろいろ

12712日の朝日新聞文化欄に今年国内で開催された展覧会を回顧する記事が載っていた。

これを読むと、どんな展覧会に美術の専門家は注目していたかがわかる。編集委員と美術史家・評論家が取り上げた展覧会は次の通り。

<編集委員>
★“日展100年”(国立新美)
★“岡倉天心ー芸術教育の歩み”(東芸大美)
★“日本彫刻の近代”(東近美)
★“夜明け前 知られざる日本写真開拓史”(東京都写真美)
★“昭和 写真の1945-1989”(東京都写真美)
★“20世紀美術探検ーアーティストたちの3つの冒険物語”(国立新美)
★“大回顧展 モネ”(国立新美)
★“生きる展”(横須賀美)
★“マルレーネ・デュマスーブロークン・ホワイト”(東京都現代美)
★“靉光展”(東近美)
★“ムンク展”(国立西洋美)
★“若冲展”(相国寺)
★“狩野永徳”(京博)
★“BIOMBO/屏風”(サントリー美)
★“鳥獣戯画がやってきた!”(サントリー美)

<柏木博>
★“マルレーネ・デュマス ブロークン・ホワイト”
★“ムンク展”
★“生誕120年バーナード・リーチ展”(松下電工汐留ミュージアム)

<北澤憲明>
★“20世紀美術探検”
★“富本憲吉展”(世田谷美)
★“靉光展”

<篠原資明>
★“河口龍夫 見えないものと見えるもの”(兵庫県美)
★“藤本由紀夫展”(国立国際美)
★“文承根+八木正 1973-83の仕事”(京近美)

<高階秀爾>
★“昭和 写真の1945-1989”
★“鳥獣戯画がやってきた!”
★“ムンク展”

<馬渕明子>
★“マルレーネ・デュマス ブロークン・ホワイト”
★“スキン+ボーンズ 80年代以降の建築とファッション”(国立新美)
★“BIOMBO/屏風”

<山下祐二>
★“篠原有司男と榎忠”(豊田市美)
★“秋田蘭画とその時代展”(秋田市立千秋美)
★“クマグスの森 南方熊楠の見た夢”(ワタリウム美)

6人の評者のうち北澤氏と篠原氏は知らないから、取り上げられた展覧会についての感想はないが、よく知っている山下祐二氏の選には?である。日本美術史家で一応名前を売っている人が京博の“狩野永徳展”をどうして取り上げないの?日本美術のど真ん中にいる天才絵師、狩野永徳の大回顧展がはじめて開催され、大勢の人が京博に押し寄せたというのに、これを外すとはどういう神経をしているのだろう。

編集委員とは違うのを選んでくれと言われたのであろうか。プライドの高い専門家にたいして新聞社がそんなことを言うわけがない。大御所の高階秀爾氏が専門の西洋絵画でちゃんと“ムンク展”を選ばれ、日本美術の“鳥獣戯画がやってきた!”も評価されているのに、山下祐二氏は現代アートも精通していると言わんばかりに“篠原有司男と榎忠”をリストアップ。こちらは篠原氏に任せておけばいいのであって、期待されている役割がまるでわかってない。

もっとも永徳展を評価しないというのなら、話しは別だが。そうなると、三流の美術史家を選んだ朝日の人選ミスということになる。今年の漢字は“偽”だが、山下氏の選んだ展覧会をみて、大げさな言い方かもしれないが、食品偽装に対する憤慨と同じような感情が沸き起こってきた。山下氏の選び方は、例えで言うと皆がストライクを投げるのを期待しているのに、くせ球を放りバッターの打ち気をそらすピッチャーみたいなもの。

昨日書いた新日曜美術館“こんぴらさん”のゲストは江戸絵画の専門家ではなくてドイツ文学者の池内氏だった。また、フェルメールの“牛乳を注ぐ女”を放送したときは大橋巨泉や壇ふみにフェルメール絵画を熱く語らせていた。専門分野はちがっても美を深くとらえられ、素直な気持ちを自分の言葉で表現できる人のほうが、メディア慣れして自己顕示欲のつよい専門家よりずっといい。

必要以上に展覧会の情報を入れたり美術評論家の本を読むと作品に対する理解が進み、自分も見る力がついたような気になるが、これは錯覚。時間はかかるが、わからないところはそのままにして作品をある程度沢山見た後、まとまった本を読むほうがかえって絵に目覚めることが多い。頭のなかを評論家の言葉でいっぱいにしていると彼らの術中にはまる。偽の美術評論家の受けのいい話にくれぐれもご注意を!

術中にはまるのを回避できた話を拙ブログ8/23に書いたので、興味のある方はお読みになっていただきたい。

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2007.12.17

伊藤若冲とカラヴァッジョ

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昨日NHKで放送された新日曜美術館“こんぴらさん 知られざる美~若冲、応挙から
21世紀へ~”を楽しく観た。なぜ、いまごろ“こんぴらさん”かなと思ったが、7月上野の東芸大美で開催された“金刀比羅宮 書院の美展”(拙ブログ7/12)の図録をひっぱり出してみると、当の金刀比羅宮書院の公開が10/1~12/2 & 12/29~08/1/31とあった。今は中休みなので、男性司会者と壇ふみが現地へ出向き、こんぴらさんの知られざる美を紹介しようというわけである。

東芸大美に展示してあった若冲の花丸図の本物は襖絵のところだけだった。12/29以降、ここを訪問すれば奥書院のなかへ入れ、花丸図が全部みれるのだが。今のところ予定がないので、せめて写し出される映像で部屋の雰囲気を味わうことにした。

ゲストのドイツ文学者池内紀氏、金刀比羅宮文化顧問 田窪恭治氏を加えた4人が座っているのは小さな部屋。池内さんは“念願がかなって、言葉がでない”と感激しきり。これを聞くと、いつか自分もここへ座って、同じ感激に浸るぞという思いが強くなる。

ゲーテ文学の権威で西洋美術めぐりを数多く体験されている池内さんの感想がとても新鮮だった。なるほどなと思ったのが“枯れた葉や虫に食われて穴のあいた葉(上の画像)もこの中に描き込んでいるのは、若冲が自然の生と死を表現したかったのでは”と解釈されたこと。

と同時に昨年、ミラノにあるアンブロジアーナ絵画館で見たカラヴァッジョの描いた下の“果物籠”が頭をよぎった。カラヴァッジョも穴のあいたりんごや枯れはじめた葡萄の葉を描いている。10月に亡くなられた若桑みどりさんが、この絵には退廃しやすい快楽の寓意がこめられていると分析されていたことは先にご紹介した(06/5/3)。

カラヴァッジョが“果物籠”を描いたのが1596年、一方若冲の“花丸図”は1764年の制作。二つの絵の間には168年の隔たりがあるが、二人は絵のなかで同じことを表現したかったのかもしれない。

番組の後半にでてきた画家、田窪さんのプロデュースでこの秋完成した新茶所
“神椿”は一度体験したくなる建物空間。。“常若”(常に新しく若々しいこと)の精神にそって文化ゾーンが新たにつくられた“ニューこんぴらさん”をなんだか見たくなった。金刀比羅歌舞伎とセットで四国旅行をするのも悪くないなという気になっている。

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2007.12.16

東博平常展の名画

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東博の平常展に3年前から待っていた絵がやっと登場した。上の“月次風俗図屏風”(重文)。“月次”は“つきなみ”と読む。展示期間は12/11から来年の1/20まで。右の正月の場面がチラシ“博物館に初もうで”に使われている。年があけてみてもいいのだが、もう待ちきれず展示されたその日に見てきた。

一年の各月に公家や庶民の生活のなかで行われる年中行事が八扇に描かれている。上は一扇の正月の羽根突、毬打(ぎっちょう)、松囃と二扇の花見。これに三・四扇の田植え、五の賀茂競馬と衣更、六の犬追物と蹴鞠、七の富士の巻狩、八の春日社頭の祭りと雪遊びが続く。

正月の羽根突は小さい頃はどこの家でもみられた光景だが、今はこうした絵のなかでしか見れない。八扇に描かれている雪遊びでは3つの雪だるまを子供や若い女が転がしている。山口蓬春記念館が所蔵する“十二ヶ月風俗屏風”(拙ブログ05/1/253/2)にでてくる雪だるまはこれより1.5倍くらい大きく、男たちは下に木をあてがいこれに滑らして転がしている。今も昔も遊び方は変わらない。

今は冬なので、その季節感を味わえないが、画集で五扇の田植えの風景を見るときはいつもある映画のシーンを想い浮かべていた。それは黒澤明監督がメガホンをとった名作“七人の侍”の最後のシーン。野武士の襲撃から村を守り、侍たちが村を去っていくとき、リーダーの勘兵衛らは幸せそうに田植えをしている女たちや田んぼのまわりで笛を鳴らし、太鼓をたたいて景気をつけている男たちを目を細めて眺めている。

この屏風の隣に展示してある下の狩野元信作“祖師図”も見事な絵。これはもと大徳寺の塔頭である大仙院の障壁画。大作なので見ごたえがある。この場所には元信が描いた大仙院の障壁画や襖絵が定期的に飾られる。2年ぶりの展示となる“祖師図”、今年の前半にでた“太公望・文正図”、“西王母・東方朔図”と“朱買臣図”の4点。このなかでは“祖師図”が一番の傑作。コンディションもよく、もくもく感がいっぱいにでている雲の描写に惹きつけられる。

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2007.12.15

江戸東京博物館の北斎展

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江戸東京博物館で開催中の“北斎展”(12/4~08/1/27)に北斎が描いた絵としてはほとんど馴染みの無い絵が展示してある。厳密にいうと北斎工房(北斎&弟子)によるこれらの作品は版画ではなく肉筆画。ところが、肉筆画でも、05年、東博で行われた大回顧展に沢山出品されたような肉筆画とはだいぶちがう。

上は43点あるうちの一枚。浜辺で一服する漁師夫婦と大きな碇に乗って遊ぶ子供たちが描かれている。ぱっと見ると司馬江漢の洋風画とみまがう絵である。碇には影があり、右の石垣にもちゃんと陰影がつけられている。大きな碇を真ん中にどんと置き、子供を動きのある姿態で描くところは北斎流だが、漁師と妻の着物に後ろからあたる光の表現や空の雲を濃淡のある灰色で描写するところなどは西洋絵画の描き方と変わらない。

どうしてこんな絵を北斎は描いたのか?北斎が65歳から67歳のころ、長崎にあるオランダ商館長が江戸にやってきて、人々の日常風景を描いてくれないかと依頼されたから。この外国人の注文を工房で分担して描いたのである。現在、これらの絵はライデンのオランダ国立民族学博物館とフランス国立図書館にあり、合計43点が今回里帰りした。実はフランス国立図書館(25点)のうち6点は93年、東武美術館(現在はない)で行われた“大北斎展”に特別出品された。だから、チラシには“初めて同時に里帰りさせる、、”となっているのである。

さて、この肉筆画は来場者の心をとらえるだろうか?“ぐっときた”という人は3割くらいで、“好みではない、風景版画のほうが楽しいな”という人が7割と多いかもしれない?93年のときと同様、今回もあまり感動しない。前回と較べると数が多いから、北斎が依頼者の注文にどう応えようとしたかが少しわかった。ポイントがいくつかある。

人物は女でも男でも子供でも大きく描く。そして、多くの人を描き込む。これは外人の好みを考えて、画面いっぱいに人物を配置して賑やかにみせたかったからだろう。そのため、余白が少なく、目が休むところがない。北斎は西洋人が余白(描き残すこと)に意味を見い出さないことをよく知っている。例えば“早駆け”では、疾走する手前の2頭の馬の間隔はほとんどない。“富嶽三十六景・隅田川関屋の里”と較べると、この絵が外人が楽しめるように描かれたということがよくわかる。

構成よりもっとはっきりしているのが色使い。誰がみても油絵の具の質感に似せて描いたことは明らか。浮世絵は浮世絵だが、このソース味は心に響かない。これは北斎がサービス精神を発揮して彼らのテイストにあわせて描いた絵だから、自分の好みで見たほうがいいのではないかと思う。

定番の版画や肉筆画を前にすると気持ちは一気に高揚する。真ん中の“北斎漫画”など絵手本や読本挿絵が沢山展示してあるので嬉しくなる。目を奪われたのが読本挿絵、“釈迦御一代記図会”。黒地に大きな渦巻きが白でダイナミックに描かれた場面やら、龍が釈迦を威嚇する場面やら迫力のある描写がてんこ盛り。北斎の並外れた想像力にただただ感服するばかり。

下ははじめてお目にかかった大作“杣人秋山山水図”。中央の杣人(そまびと)の仕事着や左右の山水にみられる青や緑が目にしみるほど鮮やか。そして、切り立った崖を俯瞰の構図でとらえ、坂道を登っていく大勢の人たちを実に細かく描き込んでいる。また、65年ぶりに公開されたという大きな“四季耕作図屏風”や初見の雀と松の絵“松下群雀図屏風”にも心を奪われる。

江戸東博は昨年のボストン美肉筆画展に続き、またまたホームランをかっ飛ばしてくれた。いまや浮世絵展のメッカ。来年の秋(10/7~11/30)にはまたボストン美蔵の浮世絵名品を公開するという。これは有難い!

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2007.12.14

プロ野球FA選手の大リーグ移籍

119プロ野球でFA宣言した選手の大リーグ入りが連日スポーツ新聞を賑わかせている。

一番最初に決まったのがロッテのリリーフエース小林雅のインディアンス入リ。同じロッテの薮田は来年からヒルマン(日本ハム監督)が指揮をとるロイヤルズへ。また、楽天の福盛はレンジャーズと契約した。

そして、このストーブリーグで最も注目された中日の福留(左の写真)はシカゴ・カブスに入団することが決まった。その契約金がすごい。4年総額で53億円。年棒にすると13億2500万円。イチローや松井秀の倍である。この二人の年棒は7年とか5年前のものだから、金額だけをくらべて福留がそんなに貰えるほどすごい選手だった?などと思ってはいけない。

大リーグの球団は今儲かっているのと、選手の市場価値は他の球団との競合状況などが影響するから、福留のような日本のトップクラスの選手は高い金額で契約してもらえるのである。昨年のWBCのときも書いたが、前から福留のバッティングは高く評価していた。打席に入ったときの構えがよく、チャンスに強いのが一番の魅力。打つことだけでなく、ライトの守備もいいから、期待に応えるプレーを見せてくれるだろう。

でも高額契約のプレッシャーを相当感じてのプレーになることは間違いない。今年のレッドソックスの松坂みたいに結果がでなければマスコミにキツイことを書かれる可能性があるから、日本でプレーしていたとき以上の精神的なタフさが要求される。自分の力を信じてがむしゃらにやるしかない。

中日の落合監督の福留移籍に関するコメントが今日の新聞に載っていた。“8月からいない選手。最初から頭にない。(大リーグで活躍するかも)わからない”とえらくそっけない。中日で9年もプレーし、リーグ優勝にも大きく貢献したスター選手の大リーグ入りにこんなコメントしか言えないの?

やはり落合は何年たってもへそまがりで大人のふるまいが出来ない。“大リーグでも活躍して欲しい!”となぜ演技でもいいから、あたたかい言葉をかけてやれないのか?たぶん、福留と監督の関係は最近はうまくいってなく、落合は心の中で福留のびっくりするような高い金額に嫉妬しているのだろう。こんなエラくなりすぎた監督のチームほど危ない。来年の中日は黄色信号?

話しが横にそれたが、福留が入団するカブスと同じナリーグ中地区に所属するアストロズヘロッキーズ・松井稼がFAで移籍したから、来年はBS1でこの両チームが対戦する試合がかなり見れるかもしれない。広島の黒田はどうやらトーリ監督のドジャースに入るみたいなので、来シーズンはナリーグの日本人選手を応援することが多くなりそう。楽しみがまた増えた。

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2007.12.13

松岡美術館の川合玉堂

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東博や東近美のような大きな美術館の楽しみは期待の企画展を観ることであるが、展示室があまり広くない民間の美術館の場合、所蔵の名品が目を楽しませてくれる。そのひとつ、松岡美術館にある日本画もそろそろ済みマークがつくところまできた。

で、ひと区切りつけようと“近代日本画展”の後期(10/30~12/24)に出かけた。前期(拙ブログ9/28)で紹介した横山操、杉山寧の絵、東山魁夷、山口蓬春は後期も引き続き飾られており、後期に横山大観、堂本印象の作品と入れ替わってでてきたのはここが比較的多く所蔵している下村観山と川合玉堂。

3点ある観山では、はじめてみる中国唐代の高僧、臨済(臨済宗の開祖)の肖像画に魅せられた。耳が大きく穏やかな顔をした臨済は小さな心配事でも“はい、はい”と言って聞いてくれそう。肖像画というのは簡単ではない。徳の高い人のこころは自然に顔に表れるというが、技量のある画家でもそれを表現するのは大変。流石は観山、これをみると大きな画家だなと思う。

図録でいつか見たいと願っていたのが上の川合玉堂作、“炭焚く夕山”。最近、刀に嵌り、出雲のたたら製鉄をレビューしていたら、ビデオ映像のなかに今も行われている木炭づくりがでてきた。仕事現場はちょうどこの絵のような感じ。晩秋の夕暮れ時、手前のごつごつした大きな岩のむこうにある炭焼き小屋から立ち上がる白い煙が本当によく描かれている。

この巧みに描写された白い煙がすぐ、同じように白が印象的な絵を思い出させてくれた。それは7月の“日展100年展”(国立新美)に出品された下の“暮るる山家”
(部分、大倉集古館)。これもすごく感激した絵。仕事を終えて家に帰りついたあと、農民が熱い湯で馬の体を拭いてやっている。白い湯煙の質感に思わず息を呑んだ。湯の充分な熱さに馬も気持ちよさそう。日本の農村でみられるこういうほろっとする情景を玉堂は愛情をこめて情趣豊かに描いた。

今年は山種美術館が玉堂の回顧展(9/12)を開催してくれたし、ここでもいい絵をいくつも見れた。当分は体中にしみこんだ農村の原風景が心をほぐしてくれるだろう。

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2007.12.12

青山ユニマット美術館のシャガール

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どこかの美術館に置いてあったチラシに誘われて青山ユニマット美術館を訪れた。ここは半年前、はじめて行ったところ。平常展示と企画展の2本だけになっており、現在は印象派の作品が特別展示されている(10/16~08/4/20)。チラシにあったルノワールの“授乳する母親”(1886)を見るため、早足で2階まで降りた。

が、画集TASHENで見たイメージと異なっていた。ルノワールは1886年に妻のアリーヌが長男のピエールに乳を飲ませるところを何点か描いている。本に載っている米国のセント・ピーターズ・バーグにあるファイン・アーツ美術館蔵もここの作品と同じかどうかはわからないが、ずいぶん薄い色調である。期待したルノワールの明るい色ではなかった。

画集にでている作品をこの美術館はもっているのかと色めきたったが、ブリジストン、ポーラ、山形美にあるものと較べると半分の感動しか得られなかった。印象派の巨匠の絵といっても全部が全部、心にヒットするわけではないから、こういう不完全燃焼の鑑賞もある。この絵は忘れて、来年Bunkamuraで開催される“ルノワール+ルノワール展”(2/2~5/6)にオルセーからやってくる“田舎のダンス”(1883)に期待しよう。これは200%楽しませてくれる真打中の真打。

一緒にでているモネ、セザンヌ、ドガの作品は足が止まるほどではなかった。ということで、今回は上の階にある常設展示の作品でOKとした。上はシャガールの初期の作品、“酒飲み”(1911)。下はここの絵ではなく、群馬県立近代美術館が所蔵している“世界の外のどこへでも”(1915)。

見るとわかるように2つの絵には宙を飛ぶ首や二つにカットされた顔がみえる。シュールな絵を見るのが絵画を見る楽しみのひとつだから、体はすぐ反応する。“世界の外のどこへでも”とくらべ緊張を強いられるのが“酒飲み”。明るい黄色と赤の対比が目を惹き、透明感のある画面なのに、男が手に鋭利なナイフを持ち、横向きの頭の目が正面を見ているので、不思議なシュールさに遊ぶというよりはこの酔っ払いの狂気性に体は引き気味。

隣に飾ってある館自慢の“ブルーコンサート”(拙ブログ07/6/17)は日本にあるシャガールの作品ではトップクラスの名画。これを目に焼きつけたから、ここの鑑賞はひとまず終わり。

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2007.12.11

東郷青児 昭和のアトリエ展

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新宿の損保ジャパン美術館で開かれている“東郷青児 昭和のアトリエ展”(12/1~
12/26)も昨日の岸田劉生同様、図録狙い。ここで年数回ある企画展は全部とはいかないが、1,2回は行っているから、3年間のスパンでみると最後に展示してある東郷青児の美人画の数もだいぶ増えてきた。こうなると図録が欲しくなる。

が、見終わっての感想は購入した図録は宝物にはならないなというのが率直なところ。惹きつけられたのはあったがこれらは2年前のミニ回顧展(05/12/20)や平常展示ですでに鑑賞済みであり、初見の作品の大半はフォルム的に心を揺すぶらない絵だった。結局、東郷青児の作品はこれまで見ていたのが一番いい絵だったということを確認する展覧会となった。

東郷青児の初期の作品だと、“黒い手袋”(1933)がいい。これを描いたのは東郷青児が36歳のとき。今回、モノグラフを読んで、お気に入りの2点、上の“バイオレット”
(1952)が55歳、そして下の代表作、“望郷”(1959)が62歳の作ということがわかった。いわゆる東郷式美人が画家の50代以降の作品だったとは。もっと若い頃の感性によって生み出されたものと思っていた。

この2作のように、背景には何もないか描いても最小限にして女性を一人だけ描いた作品がもっともいい。女性の体やバックのモチーフをデフォルメして構成したものはごちゃごちゃした感じで、ハットしたり美しさを感じるフォルムではない。

1970年以降に描かれた晩年の作品、“アクロポリス”(1970)、“タッシリ”
(1974)、“ラムセスの寵妃”(1976)、“リオ・デ・ジャネイロ”(1977)は、ピカソの後年の作品に似てイメージばかりが膨らみすぎて、対象一つ々の形が奇妙で構成に統一感を欠く。

で、ビッグネーム洋画家、東郷青児の絵でMy好きな女性画に登録するのは“四重奏”(1955)、“バイオレット”、“望郷”の3点だけにした。もっとあると期待していたのだが。これで岡本太郎に次いで東郷青児も終了。

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2007.12.10

うらわ美術館の岸田劉生展

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現在、うらわ美術館で開かれている“画家岸田劉生の軌跡展”(11/17~1/27)へ出かけたのは図録を購入するため。先月書いた岸田劉生の“麗子微笑”(東博、11/7)にコメントをいただいた情報通のokiさんからこの展覧会を教えてもらった。

展示してある笠間日動美術館蔵品は2年前現地で見ているから(05/10/23)、新鮮味には欠ける。で、図録があれば足を運ぶことにした。岸田劉生は好きな画家だから笠間ではいい気持ちで鑑賞したのだが、どういうわけか図録がなかった。たぶん、日本民藝館と同じように図録をつくる財政的な余裕がないのだろう。

この展覧会は北海道、姫路、刈谷の美術館での展示が終了し、11/17からうらわ美、そのあと静岡アートギャラリー(08/2/2~3/23)にいく。5つの美術館全体の入場者を想定すると、図録一冊あたりのコストは安くなるから、各美術館の費用負担が少なくて済み、作品を所蔵している日動美も図録がストックできる。こういう上手い方法のお陰で日動美の岸田劉生コレクションが手元にいつもあることになった。

油彩、水彩画、版画など120点からは38歳で亡くなった岸田劉生の高い画才がひしひしと伝わってくる。多くの人を魅了してやまない肖像画では“丸山君の顔”がとびぬけていい。劉生の代名詞となった麗子像は16歳のときのがある。

再会が飛び上がるほど嬉しかったのが“静物(土瓶とシュスの布と林檎)”(05/12/21)。松涛美で見たときは言葉を失った。これは“麗子微笑”とともに日本の洋画の金字塔ともいうべき傑作。今回、うらわと静岡に特別出品される。大げさにいうと、この絵を見るためだけでも出かける価値があるかもしれない。

見所の一つになっている親交の深かった武者小路実篤の小説“幸福者”、“友情”などの装丁画は44点ある。写実的な絵だけでなく、こうした装飾画も心に響く。上は“劉生画集及芸術観”見返しを版画にしたもの。菊の花に囲まれ、一本の菊を手に持っているお河童頭の麗子が心を虜にする。

そして、ずっと見ていたくなるのが下のまるくなった猫の絵。愛嬌のいい女性が目の前にいる感じ。竹内栖鳳、菱田春草、加山又造が描く猫(06/10/20)もいいが、一緒にじゃれたくなるこういう猫も心が安まる。図録といい、作品といい収穫の多い回顧展だった。

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2007.12.09

太田記念美術館の肉筆広重展

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半年ぶりに太田記念美術館を訪問した。現在、ここで“肉筆広重展”の後期(12/1~
16)が行われている。先月末、近くの美術館に来たので寄ったら、ドアが閉まっていた。なんと、前期(11/1~25)終了後の休み期間だった。予定の美術館を順調にまわっているというのに、、大失敗!2年前にあった広重の肉筆画展(拙ブログ05/5/8)を見ているから、軽い気持ちで展示期間を確認せず、アバウトに動いたのがよくなかった。

仕切りなおしの鑑賞は事前に図録で前回展示されなかった天童広重の作品を確認しておいたから、30分くらいで済んだ。会期中出ている“日光三滝”はちょっと感慨深い。日光の滝は“華厳ノ滝”のことだと思い、ブログのなかで“裏見ノ滝”と“霧降ノ滝”は実在しないのかもしれないと無知ぶりをさらけ出したら、ご親切にも“この滝はありますよ!”というコメントをいただいたのである。まだ、この滝を見る機会がないが、いつか見てみたい。

上の肉筆画は再会の“京嵐山大堰川・東都隅田堤”。広重の描く美人画に対する思い入れはない。だから、絵の前で足がとまることはないのだが、これは例外。とくに右の“東都隅田堤”がお気に入り。惹きつけられるのがその構図。真ん中の二人の女が歩いているV字のような道は広重の風景画によくでてくる。

画面を立体的にみせ、奥行