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2007.11.26

乾山の芸術と光琳展

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現在、出光美術館で行われている“乾山の芸術と光琳展”(11/3~12/16)は予想を上回る乾山の大回顧展だった。焼き物の本によく載っている個人や美術館の所蔵する代表作がほとんど結集しているといって過言でない。

出光美は今年、“志野と織部展”(2月)とこの乾山展と2本もホームランをかっ飛ばしてくれた。“志野と織部展”は出光だけの展示だったが、本展は出光のあと、MOA
(08/1/18~2/26)、京都文化博物館(3/8~4/13)を巡回する。

作品は尾形光琳の絵が数点あるが、ほとんどが尾形乾山のやきものと絵。また、今回の楽しみでもある兄の光琳が絵付けをし、乾山が詩賛を書いた兄弟合作の角皿などは会期中12点展示される。これだけ多くみれるのはめったにないから、ニコニコしながら見た。上はそのひとつ、“銹絵寒山図角皿”。光琳が描く寒山は中国画とはちがい、ふっくらとまるく愛嬌のある顔をしている。親しみが持てるのは光琳の“兼好法師図”(MOA)も同様。二人の顔はそっくり。

数多くある乾山のやきもののなかで、印象深いもののひとつが真ん中の“銹絵百合形向付”(MIHO NUSEUN)。新興の元禄町人のニーズに応えるため、乾山は茶器をメインとせず日常的に使われる会席道具をたくさんつくった。これはとてもインパクトのある向付。変形の六弁花形と銹絵ではっきり描かれた輪郭と百合の花がいつまでも頭から離れない。ほかで“茶色の美”が目一杯感じられるのが初見の“銹絵染付絵替土器皿”(MIHO MUSEUM)や“銹絵染付春草文蓋茶碗”。

色絵の作品をみるたびに乾山の豊かな色彩感覚に驚かされる。乾山は現代でも充分に通用するカラリスト&デザイナーと思わせるのが下の“色絵石垣文角皿”(京博)。この氷裂のデザインは中国明末の絵や陶磁を参考にしたものだが、これは色数も多く、緑や黄色の色面の形がとてもやわらかく洒脱な感じ。この時代を突き抜けるデザイン感覚にいつも言葉を失う。これと似た模様は“色絵紅葉文壺”(出光美)でも楽しめる。

定番の“色絵定家詠十二ヶ月和歌花鳥図角皿”が3つ(MOA、出光、個人)もみられるのは大回顧展ならではの醍醐味。月毎に鳥や花の描き方、構成を較べてみるとどれが一番魅力的かがわかる。やきものに慣れてない方でも、MOA、個人、出光(拙ブログ05/9/4)の順番になるのではないだろうか。

乾山がやきものを学んだ楽焼、仁清の作品も数点あるから、京焼の流れ全体がつかめる上、琳派芸術が堪能できる。満足度200%の特別展であった。

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コメント

いづつやさん、こんばんは
終わってしまいましたが、出光の記事をTBさせていただきます。
光琳と展覧会タイトルにありましたが、乾山の芸術にどっぷりとひたれる良い展覧会でしたね。
私は特に乾山の異国趣味の作品や二条に来てからの作品に心惹かれました。
定家の角皿は私もMOAが一番では?と思っていたので、いづつやさんの記事に安堵しました。

投稿: アイレ | 2007.12.17 02:01

to アイレさん
これくらい沢山の乾山作品がありますと壮観ですね。
代表作はほとんどでたのではないでしょうか。

心が浮き浮きするのは色絵透彫反鉢や龍田川文向
付などですね。モダンで華やか。定家の角皿は
MOAのが一番ですね。大好きな作品です。これと
較べると出光のはだいぶ粗い描写ですね。

NHKに出演された出光の荒川正明氏は昔からすごい
人だなと感心しているのですが、ここのやきもの展では
いつも大きな満足が得られます。これからも目が離せ
ません。

投稿: いづつや | 2007.12.17 14:13

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