日本彫刻の近代展
東近美では現在、“日本彫刻の近代展”(11/13~12/24)が行われている。
日本の彫刻については洋画以上に知らないから、この展覧会で特別見たい作品があったわけではない。彫刻を少しまとめて見てみようというごく軽い気持ち。
過去の経験からすると、こういう振り返り型の企画展でつくられる図録はよくできていることが多い。だから、これをゲットすることも目的の一つ。
この展覧会は彫刻を鑑賞する流れとしては申し分ない。7月の“日展100年展”(国立新美)で代表的な彫刻をいくつもみたし、小平でも平櫛田中の木彫やブロンズ作品を見る機会に恵まれた。今回は写実彫刻および抽象彫刻が100点くらい展示されている。知らない名前がほとんどだし、はじめてみる作品ばかり。こういうときは目が少し慣れている作品を頼りに進むしかない。
最初にお誂えむきの作品があったので一安心。東博でときどきお目にかかる右の高村光雲作、“老猿”(重文)。はじめてこれをみたときはなんと見事な置物かと思った。彫刻にはちがいないが、西洋彫刻のイメージではない、まさに職人技的な伝統木彫。目を奪われるのが毛並みの質感表現。思わずそのウェーブがかかった柔らかい毛を触ってみたくなる。
竹内久一の“神武天皇立像”は見上げるほど大きな作品。高さは3mある。東芸大美の“岡倉天心展”に出てた“伎芸天”も背が高かったが、これを上回る大きさ。日展で魅せられた朝倉文夫の“墓守”とまた会った。心のなかで“どうも、どうも”という感じ。橋本平八の“幼児表情”は子供の彫刻なのにすごくインパクトがある。下唇を上唇のうえにのせた顔をみると、この子はきかん坊で我が強そう。
舟越保武の作品をみるのは埼玉県近美にあるダミアン神父の像につづいて2回目。大理石を使った“婦人胸像”は一瞬、息子の舟越桂の作品かと錯覚した。これは意外!舟越桂が親の作風を受け継いでいるとは思わなかった。帰りがけに買い求めた図録は期待通り、市販もしている教科書のような本(07年8月、淡交社)。しばらくこれを読むことにした。
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