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2007.11.23

佐野美術館の備前一文字展

77備前刀の名刀をみるため、静岡県三島市にある佐野美術館を訪れた。

現在、ここで“備前一文字展”(11/10~12/17)が開かれている。

東博の“大徳川展”(拙ブログ10/16)で名刀をいくつかみて、すっかり日本刀の虜になってしまった。

刀への関心が強くなると、不思議なもので、刀剣に関する展示情報がひとつふたつと入ってくる。東博平常展で包平の大太刀など国宝4口に出会い、次がこの“備前一文字展”。

日本刀の本格的な展覧会をみるのははじめてだが、素人ながら本展が大特別展ということがわかる。佐野美術館のあと、岡山市・林原美術館(08/2/23~3/30)、大倉集古館(4/6~5/18)、名古屋市・徳川美術館(5/24~7/6)を巡回する。

刀は全部で51点あり、このうち国宝7点、重文20点と名刀がずらっと並ぶ。鎌倉時代になり、備前の刀の基礎を築いた“古備前”(平安時代末~鎌倉時代初)の刀鍛冶の中から“一文字派”と呼ばれる流派が生まれる。当時、交通・経済の拠点だった“福岡”で作刀をはじめた“福岡一文字”である。

“福岡”は国宝“一遍聖絵”にも描かれている備前福岡の市で、吉井川と山陽道が交差する交通の要衝。ちなみに、鎌倉時代の中頃から室町時代末にかけて栄える長船派(おさふね)は福岡の上方2kmあたりにある。

今回幸運だったのは団体客が同じタイミングで入館したので、案内をされた女性館長さんの解説が聞けたこと。お陰で本だと分かりにくい刃文のタイプとか焼入れで生じる刃文と地の境目に表れる“沸”(にえ)と“匂”(におい)の違いが理解できた。刀全般の知識はおいおい蓄積するとして、今は刀に慣れることが日本刀の美へ近づく第一歩だから、見るポイントを刃文に絞ってみた。

一文字派の刃文は華やかだということはとくに国宝や重文のものをみるとよくわかる。右は福岡一文字を代表する名工と言われる吉房(よしふさ)の“太刀 銘 吉房”(国宝、林原美術館)。華やかな大丁子、重花丁子の刃文を食い入るように見た。もう一つの国宝(個人蔵)の華麗な刃文にも釘付けになる。

また、3口ある助真(すけざね)の重文の太刀の前では、館長に備前打といわれる“匂出来”(粒子が細かく、ぼおっと霞んでみえる)と助真が鎌倉で作刀したときの鎌倉打とされる“沸出来”(粒子が粗く、肉眼で明るくみえる)を丁寧に説明してもらったので、一文字派の生み出した桜花の爛漫と咲き匂うがごとき刃文がかなり実感できた。

最初からこんないい展覧会とめぐり合ったのはミューズのお計らいかも。これから刀剣にまっしぐらである。

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