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2007.11.21

平櫛田中名品展

75小平市の平櫛田中彫刻美術館で井原市立田中美蔵品を中心とする企画展を見てきた(展示は11/18で終了)。

平櫛田中の彫刻は興味はあるものの、横浜からはすこし遠い小平まで足を運ぶところまではいってなかった。

が、今回広島にいるとき行きそびれた井原市の記念館にある作品が紹介されるということなので、リカバリーを兼ねて出かけてみた。

井原からは7点、個人蔵が5点、それにここの所蔵品が33点。彫刻のほかに田中の書が8点ほど飾ってある。井原からの出品がもっと多くあるイメージだったが、勝手がちがった。作品のなかで惹きつけられたのは井原からきたものより、ここのものが多かった。

館に入ってすぐ目に飛び込んでくるのが“転生”。これは不動明王を想像させる筋肉隆々とした鬼の立ち姿のブロンズ彫刻。2.38mもある高さに驚かされるが、それ以上にハッとするのが鬼の口のなか。よくみると、さかさまになった人間を吐き出している。制作のいきさつがおもしろい。“鬼は生ぬるいものは食わない。食っても、あまりのまずさに吐き出してしまう”という田中が小さい頃、郷里井原で聞かされた話しを思い出してつくったという。

右の“気楽坊”は怖いイメージの“転生”とは対照的に底抜けに楽しい彩色木彫。衣装の模様に色がついてない木彫もある。こういう指人形があるらしいのだが、これまでお目にかかったことがない。小さい頃は、この坊さんのように口を大きく開けて豪快に笑う人がよくいたが、今は酒の席でもこんないい顔をした人はまれにしか見かけない。彫刻は絵画とちがい、人物を立体的に表現するから、その精神性や表出された感情がよりストレートに伝わってくる。

“鏡獅子”(拙ブログ07/1/22)がここにもあった。これは国立劇場の鏡獅子が完成したあと、サイズを縮小してつくったもの。田中はこれをここの自宅に長く置いていたという。六代目尾上菊五郎の隈取された顔がすごくいい。惚れ惚れするほどすばらしい彫刻である。しばらく息を呑んで眺めていた。

また、地下の展示室にあった横綱玉錦の立会い前の姿を作品にしたブロンズ像にも魅了された。相撲好きだから、このミニチュアがあるとすぐにでも購入するのだが。これまで見たことのある岡倉天心像や“尋牛”などを一通りみて、とても満ち足りた気分で館をあとにした。

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コメント

おっ、行かれましたか。
武蔵野方面は案外詳しい僕ですから当然行っています。
結構見ごたえがありましたでしょ、展示室は一階二階地下一階、それに田中の旧宅も観られますよね。そこにも展示品がある。
ビデオルームに資料室と揃っていて、優に半日はつぶせます。
しかし井原からの出品が少ないとは意外ですね。
図録も名品図録や特別展図録がそろっていたと思いますがいづつやさんは何をお買い求めになったのでしょうか。

投稿: oki | 2007.11.23 00:09

to okiさん
図録はここの館のものを買いました。井原の
記念館であった回顧展の図録が参考において
ありましたが、これは東芸大美のミュージ
アムショップで販売しているようなので、近々
買いに行くつもりです。

隣の方は田中が好きなのですが、行く前は
木彫のほうがいいと言ってたのに、館内では
“彩色木彫もいいね”に変わりました。

投稿: いづつや | 2007.11.23 15:42

魅力ある内容の田中展のようですね。とても心が動かされました。(スペイン観光旅行後です。今日は大相撲千秋楽をテレビ観戦!明日は歌舞伎‘しんとく丸’千秋楽を国立劇場で観賞!です。)この世は、楽しい事ばかりです。 ♪何を最優先にするか~♪ が、その人の生き方なんですね。そんな事を、いづつや様のブログを拝見してて考えさせられてます。

投稿: 花 | 2007.11.25 19:29

to 花さん
彩色木彫は人形と変わりないのではと思って
ましたが、仔細にみますとこれもなかなか
魅力的な彫刻表現でした。

スペイン旅行からお帰りでしたか。歌舞伎は
来年あたりから見にいこうと考えてます。

投稿: いづつや | 2007.11.26 10:42

26日は、いづつや様のおかげで、‘六代目の鏡獅子’を見ることが、できました。今まで気がつきませんでした(もったいない!)いつも、会場に着くと、お弁当や、お土産に心うばわれて、あたりを見回す余裕がありませんでした。もう感動で拝見しましたの。ところで今月の‘摂州合邦辻’は、私が勝手に‘期待し過ぎ’てしまいました。(忠義か不義の解釈なんでしょうが~。)
今回に限って‘田中’の勝利! 六代目の勝!

投稿: 花 | 2007.11.27 19:15

to 花さん
いろんな方から鏡獅子のことを教えてもらって
いるのですが、花さんのお話をうかがい、来年は
是非国立劇場に足を運びたいと思います。

最近、市川団十郎についての知識がだいぶ増え
ましたから、徐々に歌舞伎通いのテンションが
あがっているところです。

投稿: いづつや | 2007.11.27 23:28

初場所は、年明けて13日から!東京両国国技館へもどうぞ!
そして、2月2日は、大関栃東関の涙の断髪式!

投稿: 花 | 2007.11.28 17:36

to 花さん
来年の初場所は1/13からですか。白鵬の
3連覇なるかですね。琴光喜にも頑張って
もらいたいのですが。
栃東のちょんまげももうすぐ無くなるの
ですね。

投稿: いづつや | 2007.11.29 17:10

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