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2007.11.09

大イベント 狩野永徳展!その一

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今年の日本美術関連展覧会では一番話題性の高い“狩野永徳展”(京博、10/16~11/18)をみてきた。会期もあと10日しかないので、観客は開館時間の9:30からどんどん集まってくる。5年前の“雪舟展”を思わせる賑わいである。入館するのに30分かかったが、中に入ると、そこそこ列は前に進むので、一つ々の絵が消化不良になるということは無く、心ゆくまで狩野永徳の絵画が楽しめた。二回にわけて感想を述べてみたい。

作品数71は数点を除いて、会期中ずっと展示されている。しかも、有名は代表作は全部出ずっぱりだから、プロ野球のオールスター戦を観戦している気分。だから、観終わったあとの満足度はとてつもなく大きい。展示期間が短くても、展示替え無しで多くの名作がずらっと並ぶこういう展示方法のほうがいいかもしれない。

出品作のうち、画集にのっている有名な絵の多くは過去観たから、今回、注目の絵はまだお目にかかってない上の“唐獅子図屏風”(三の丸尚蔵館)と新たに発見された“洛外名所遊楽図屏風”だった。“唐獅子図”は会場の最後に飾ってある。この絵の前に立つのに8年も要した。99年にあった“皇室の名宝展”(東博)でわくわくして展示室へむかったのに、この絵は展示替えのため消えて、飾ってあったのは真ん中の“檜図屏風”(国宝、東博)。ガックリしたが、“檜図”もはじめてだったから、気持ちを切り替えて一生懸命みたことをいまでもよく覚えている。

2頭の唐獅子は小さいときから目の中に入っているが、絵がこんなに大きなものだとは思わなかった。天地は2.24mある。図版は画面の大きさまでは伝えてくれない。金箔を使った金ピカの背景は金雲なのか金地なのか区別がつかず、抽象的な空間にも思える。平面的に描かれた右の獅子の頭や尾っぽ、足の毛は緑と金色による渦巻き模様になっている。これに対し、左の口のなかが赤い正面向きの獅子は濃いこげ茶と金色の色違い渦巻き毛。この力強くて迫力満点の唐獅子を観た勇猛かかんな武将たちの体からはアドレナリンがどっと出てきたにちがいない!これぞ、桃山の金碧障壁画!という感じである。

“檜図”も同じ部屋にある。この絵は全作品のなかで、色が一番濃くて鮮やか。装飾的な金雲に囲まれる大きな樹木がドンと豪快に描かれている。強い茶色の太い幹は画面をつき抜け、枝がそこから左右にのたうちながらのびる。生命力を目一杯感じる幹や枝の勢いのある筆さばきとは対照的に、繊細に描写された緑の葉が印象的。そして、左上の先が三角にとがった岩が鮮やかな群青の水から浮き上がるように金雲の間から顔をだし、下の岩や右の巨木との間に奥行き感をつくりだしているのにも視線がいく。

永徳晩年の作といわれる“檜図”と最近の研究では40歳代に描かれたのではないかとみられている下の“花鳥図襖”(国宝、大徳寺・聚光院)を見比べてみると、大きな檜の木と下の梅の木のフォルムは明らかに似ている。さらに、祖父、元信の“松梅に小禽図”を横におくと、3つの木は幹の太さは違うものの、幹の曲がり方や枝ぶりは同じであることがわかる。元信がつくった樹木のマニュアルをベースにして、永徳は桃山時代が要求する力強くのびのびした木を描いたのである。これは今回の収穫だった。

入館してすぐの部屋に展示してある“花鳥図”や“琴棋書画図”は3度目の対面なのでさらっと観て、次の絵に進んだ。

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コメント

時々拝見しております、ロンドン駐在の青江と申します。早いもので今年もあと二月、と思っていたら永徳展、開始していたのですね。日本に滞在していたら必ず見に行っていたのですが・・。特に唐獅子図は現物はさぞや圧巻であったでしょう。続報、楽しみにさせていただいております。

投稿: 青江 | 2007.11.11 19:15

to 青江さん
今、京博は大混雑です。平日の朝一番でも30分
待ちだったのですが、土日は3時間待ちのようです。
列に並びながら、日本人は世界一絵の好きな民族
ではないかなと思いました。

待望の“唐獅子図”がやっとみれました。図録だと
分からないのですが、縦2.24m、横4.53m
の大きな屏風です。金雲がまぶしいほど輝き、これ
をバックに2頭の獅子が描かれてます。一生の思
い出になりました。青江さんも日本でこれをみる
機会があるといいですね。

一月、ロンドンの美術館をいくつか訪問します。
ナショナルギャラリーにある名画との再会を楽しみ
にしてます。また、気軽にお越しください。

投稿: いづつや | 2007.11.12 13:44

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