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2007.11.19

サントリー美の鳥獣戯画がやってきた!

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サントリー美術館で今、開催中の特別展“鳥獣戯画がやってきた!”(11/3~
12/16)は楽しくて、あまり時間を食わない展覧会。鑑賞期間は30分なのに、館を出るときはすごくいい気分だった。

甲、乙、丙、丁巻が一度に全部見れるのが理想だが、これは学校の体育館みたいなところでないと無理。ここにはそんなに長くとれるスペースがないから、各巻前半部分と後半部分は前期(11/3~11/26)と後期(11/28~12/16)にわけて展示される。今回は鑑賞済み甲巻と乙巻(拙ブログ05/5/17)のほか、丙、丁の2巻も一緒に見られる。4巻まとめてみれるというのはそう度々あることではないから、これを企画したサントリー美に拍手を送りたい。

現在、日本が世界のアニメ界を席巻しているのはこの鳥獣戯画のお陰かもしれない。手塚治をはじめ多くの漫画家やイラストレーターがこの鳥獣戯画から多大な刺激を受けている。とくに上の甲巻に出てくる擬人化された兎や猿、蛙のおもしろさといったらない。ユーモラスでスピード感に富む動きや笑いの表現をはじめてみたとき、平安末期の頃にこんなすばらしい戯画があったのかとびっくりした。同じような体験をされた方は多いのではあるまいか。

で、この絵巻をいつも見たいと思う気持ちがむくむくを生じ、ミニ絵巻を購入した。京都の便利堂がつくっている天地11cmのもので、買った当時は頻繁に眺めていたから、甲巻に関しては場面が全部頭の中に入っている。上は猿と兎が繰り広げる弓の競技の場面。蓮の葉の的をめがけ、兎が矢を放とうとしている。絵師の高い描写力が出ているのが下で自分の番を待っている蛙たち。矢が曲がってないか確認したり、弓の張り具合を入念にチェックしているところをしっかり描いている。競技者の心理を巧に捉えた心憎いばかりの描写である。

乙巻は様々な動物が登場する動物図鑑風の絵。後期に展示される場面には当時日本にはいなかった象やライオン、また、空想上の動物、龍、麒麟などがでてくる。前半に描かれているのはよく見慣れた馬、牛、犬、鶏、鷹、鷲、隼。下は二頭の牛が角突き合わせて激突するところ。体の輪郭や筋肉の盛り上がりを表す打ち込みの目立つ墨線に惹きつけられる。

遊びに興じる人間の様子がユーモラスに描かれた丙巻は墨がうすく、また同じく人間だけがでてくる丁巻はかなり略画的な描き方なので、絵の雰囲気は甲乙巻とは随分ちがう。丙巻で興味深いのは様々な遊び。引っ張り合いの勝負は色々ある。首引きは知っていたが、耳引きや腰引きははじめて見た。また、目くらべ、にらめっこの勝負では男たちの表情を思わずじっと見てしまう。そばで見ている僧の笑い声が聞こえてくるようだ。

後期も笑いの場面に誘われてまた出かけることになりそう。

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コメント

丙巻で遊びに興じる人を眺めて、鳥獣「人物」戯画の
本当の姿を知りました。
それにしても、笑いに溢れたおおらかな絵を楽しむ
ことができて、サントリー、今回はいい展覧会を
うまく企画してくれたなぁと感じました。

投稿: 一村雨 | 2007.11.20 05:25

to 一村雨さん
今回は鳥獣戯画だけですから、作品に集中
できますね。絵の完成度からすると丙、丁巻
は甲巻に較べると落ちますが、4巻全部見ら
れるのは有難いですね。後期も楽しみです。

投稿: いづつや | 2007.11.20 23:12

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» 鳥獣戯画がやってきた  サントリー美術館 [つまずく石も縁の端くれ]
昔々、京都の高山寺に鳥獣戯画をわざわざ見に行って、レプリカだったのにがっかりしたこともあり、昨年の京博の大絵巻物展で、はじめてこの実物に出会い、大感激したものだ。なぜか、「鳥獣戯画」は、何度も見ているような気がして(「時間ですよ」の影響か)、またかぁと...... [続きを読む]

受信: 2007.11.20 05:35

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