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2007.11.20

和光ホールの村上豊展

74銀座の和光ホールで“光 村上豊”
(11/13~21、無料)を見た。

村上豊の作品を見るのはこれで3度目。目が作風に慣れるにつれ、ますますこの画家にのめりこんでいく。

今年4月、講談社の野間記念館での個展同様、思わず笑いがこぼれる人物や動物を描いた作品や郷愁をそそられる風景画が70点あまりある。会場に入るまで知らなかったのだが、これらの作品には皆値段がついている。三越や高島屋のなかにある画廊コーナーで開かれるのと同じで、販売を目的とした個展である。

村上豊の作品で夢中にさせられるのが女性を描いたもの。一つは赤ん坊や子供と一緒の母親、もうひとつは妖艶な若い女。さらに今回新しいタイプの女性画があった。

母親シリーズはいろいろなヴァージョンがあり、どれも題と絵がよく合っている。“ほっぺ”では赤ん坊のほっぺたをやさしい顔をしたお母さんが指で触っている。“おかあたん”もわけもなく惹きつけられる。赤ちゃんはおかあたんの乳をしゃぶり、猫と女の子は腰辺りにへばりついている。

右は“あぶあぶ”という題名の絵。日常生活のなかでよくみかける母と子供の微笑ましい光景である。手や足が異常に長く、アクロバティックな曲がり方をするのが村上豊が描く女性の特徴だが、これが妙に色っぽい。

エロティシズムの香りが漂う絵は3点ある。野間記念館で見た“月の女”(拙ブログ4/10)のように、いずれも体の一部になにかが描かれている。“調”では片足を高く上げバレエを踊る女の腹あたりに赤い鳥がおり、大きな足の真ん中には三ヶ月がみえる。最も妖艶なイメージのする若い裸体の女を描いた“ぬくもり”では胸に抱いた赤ん坊のまわりに猫が3匹いる。

普通の半分くらいの屏風に描かれているのは前の二つとは別のタイプの女性。アイデアがなかなかおもしろい。“悠久”は頭をのぞく手足、胴体に村の風景が描かれている。家々が立ち並び木々や草花があり、月もでている。なんともシュールで幻想的。シャガールがこれを見たら裸足で逃げ出すにちがいない。

“飛天”の女性はさらに優雅でメルヘンチック。飛天が二人描かれ、一人は女の上の方で白い花びらを蒔き、もうひとりは女の体にいる。女の体は蓮の花でいっぱい。池には蛙や河童がおり、その上を飛天とトンボが飛びまわっている。村上豊は真にイメージ力に秀でた画家である。

東近美によく展示してある日本のシュルレアリストの絵には全く関心がない。日本人画家の作品でシュールぶりが際立っているのは谷内六郎(06/2/14)、村上豊、そして最近発見した石田徹也(11/15)。この3人には日本人の感性によって生み出された独自のシュールさがある。ダリやエルンスト、マグリットもびっくりするのではなかろうか。

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