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2007.11.07

岸田劉生の麗子像

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日本の洋画のなかでは最も好きな上の岸田劉生作、“麗子微笑”を東博の平常展でみた。03年、ふくやま美術館であった“麗子展”で見て以来だから、4年ぶりの対面である。この前東博でみたのがいつだったか思い出せないのだが、この3年間は見た記憶がない。

久ぶりのお目見えだからかもしれないが、かなり長い期間、1階左の部屋で展示される。①10/16~11/25、②11/27~12/16、③08/1/2~1/20。

何度みてもこの絵はすごいと思う。絵のことがわかるようになればなるほど、その思いが強くなる。日本の画家がヤン・ファン・エイクやデューラーの絵に霊感を得て、これほど細密な人物画を描いたのである。世界のどこに出しても通用する名画といっていい。

えんじ赤や緑をした毛糸の肩掛けの質感に目を奪われるとともに神秘的な麗子の微笑みが心をとろけさす。近づいてみると顔に当たる光を表現した白い肌の輝きや肩掛けにみられる小さな光が丁寧に描かれている。岸田劉生のこうした高い画技は天才としかいいようがない。

これまでみた麗子像のうち、感激度の高いのはこの“麗子微笑”と泉屋博古館が所蔵する大きな絵、“二人麗子像”(拙ブログ06/9/7)。この2枚は顔の描写がよく似ている。残るターゲットは立姿の“麗子住吉詣之立像”。これは個人蔵だから、いつ遭遇できるか見当がつかないが、会えることを信じて待つしかない。

下の絵は昨年の“揺らぐ近代 日本画と洋画のはざまに”(東近美、06/12/9)に出品された“野童女”。“麗子微笑”が西洋の写実主義にもとずく細密描写で“内なる美”を求めた作品であるのに対し、この絵の麗子は中国の“寒山捨得図”同様、口を大きくあけグロテスクな笑いをみせている。

“麗子微笑”を描いたあと、岸田劉生は中国の宋元画や日本の初期肉筆浮世絵に魅せられ、画風を大きく転換させる。画家は寒山拾得の野卑な笑いに面白みを感じたようで、寒山風麗子像を何点も描いている。画風は変わってもそこに深い美を感じさせるところが天才の証。

今、久々にみた“麗子微笑”の余韻に浸っている。

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コメント

出ましたね「麗子像」インパクト強いですねぇ。
子供のころは画集でこれを見ると怖いと感じていましたが、今は好きな絵です(´・ω・`)ノENOKI

投稿: 榎俊幸 | 2007.11.08 09:48

岸田劉生、今うらわ美術館にきていますね。いやまだ来ていないかなもうすぐ始まるのかな/苦笑。
いづつやさんはお出かけになりますか?
僕は迷っているところです。

投稿: oki | 2007.11.08 22:01

to 榎俊幸さん
肩掛けの毛糸の質感描写、細い目をした麗子の
なんともいえない微笑にいつも言葉を失います。

油絵具を使って日本人の持っているやさしさと
かやわらかさを表現したというがすごいですね。

投稿: いづつや | 2007.11.09 14:32

to okiさん
うらわ美術館で11/17から岸田劉生展が
はじまるのですね。また、okiさんに教えて
もらいました。有難うございます。

笠間日動美コレクションは現地で一度みてい
るのですが、そのとき図録がなかったので、
今回図録があるのかを確認して行くかどう
か決めたいと思います。

投稿: いづつや | 2007.11.09 14:42

こんばんは。
同じく岸田劉生大好きです。
この麗子像は肩掛けの描写が超リアル。

刈谷市美での劉生展でその画風変遷や幅広さを
痛感しました。

投稿: meme | 2007.11.10 21:31

to memeさん
西洋画、日本画を問わず、いい女性画を追っか
けているのですが、“麗子微笑”は特にお気
に入りの絵です。みればみるほど好きになります。

常設展示してほしいのですが、保存の関係で問題
があるのでしょうか?

投稿: いづつや | 2007.11.11 11:48

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