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2007.11.24

山種美の秋の彩り展

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日本には四季があり、誰しも気温の変化や日常生活のなかでみかける木々の色づき具合、草花の種類や色で季節の移り変わりを敏感に感じとる。世の中、日本画が好きな人ばかりではないが、風景画をみることが生活の一部を占めるようになると、今生きている生の自然よりその季節を深く感じさせてくれる絵が無性に見たくなる。

そんな願いを叶えてくれるのが現在、山種美で開催されている“秋の彩り展”(11/17~12/24)。今回の作品は43点。いつもながらいい絵が揃っている。ここの所蔵品は東博の浮世絵コレクション同様、訪問するたびにはじめて見る絵が目の前に現われる。まるで底なし沼のよう。

上の東山魁夷の“秋彩”はそんな一枚。絵は画集などで知っていたが、どういうわけかこれまで縁がなかった。紅葉の真っ盛りでまさに日本の秋という感じである。山種が所蔵する東山魁夷の作品は画家のトレードマークになっている大きな絵ではなく、小さい部類の絵だが、いずれも心が洗われるすばらしい絵。まさに珠玉のコレクションである。

大作で目一杯秋を満喫できるのが奥田元宋の“奥入瀬(秋)”。昨年、奥入瀬に行ったから、この絵が紅葉が色づくころの美しい渓流をイメージさせてくれる。いつかこの時期にここを訪れてみたい。

下は小林古径の“しゅう采”。これは古径の数ある花の絵で最も好きな絵。背景に何も描かず、左から横にすっとのびた枝に実った今が食べごろの柿を見事に表現している。巧みな構成で、柿をこんなに品よく描いてみせるのだから、小林古径の感性と技量はやはり超一級。

そして、近代の日本画だけでなく4点ある酒井抱一の作品が目を楽しませてくれる。“秋草鶉図”、“飛雪白鷺”は既に何度も感じ入っているが、はじめて見た“菊小禽図”と“秋草”もぐっとくる。とくに、白、黄色、赤の菊が目に心地いい“菊小禽図”がすばらしい。

これで今年の山種通いは終了。日本画の魅力をたっぷり味わせてもらった。

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コメント

こんばんは。
入るとすぐ正面に奥入瀬(秋)がでんと構えているのが目に入って、日本の秋の風景に引き込まれるようでした。こういうのも小ぢんまりとした美術館ならではかもしれませんね。
日本画にはいろいろな秋の色があるものだと感心しました。

投稿: キリル | 2007.11.28 22:43

to キリルさん
山種の所蔵品はかなり見ているので、すこし
休んでもいいのですが、何かまたいいのが
でているかもしれないと、つい足を運んでし
まいます。

今回は東山魁夷の絵が目当てで訪問したよう
なものですが、奥田元宋の紅葉の奥入瀬をみ
ると、もうたまらなくいい気持ちになります。
これぞ日本の秋が満載でしたね。

投稿: いづつや | 2007.11.29 17:19

はじめまして、kaiといいます。
東山魁夷の作品がとても好きで、よくこちらにおじゃましている者です。
川合玉堂展を見に行ってから、そのあと山種美術館にはまだ行っていません。きっともう冬の展示になっていますよね?

年賀状用のハガキを使い終わったあとは、よく「年暮る」の絵はがきを使って書いています。

投稿: kai | 2007.12.11 17:29

to kaiさん
はじめまして。書き込み有難うございます。
東山魁夷の風景画を心底愛してますから、
どうしても取り上げる作品が多くなります。
山種にあるのは大きくない絵ですが、傑作が
揃ってますね。

はじめてみる“秋彩”に魅了されました。
“年暮る”をこの時期見ますと、いつも絵画の
力を思わずにいられません。

ご存知かもしれませんが、来年、東近美で
開催される“東山魁夷展”(3/29~5/18)が
楽しみですね。これからもよろしくお願いします。
また、気軽にお越しください。

投稿: いづつや | 2007.12.11 23:58

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山種美術館で「秋の彩り―小林古径・福田平八郎・東山魁夷・安井曾太郎―」(11月17日-12月24日)をみた。   PCを新しくしたので、データを移したりやら何やらで記事がすっかり遅くなってしまったが、出かけた日は12月並みの寒い日だった。九段下から色づき始めた皇居あたりの景色を眺めながら美術館に到着すると、なかはすっかり秋めいていた。 奥田元宋《幻溟》(1974) 鮮やかで透明感のある薄い赤紫蘇色とでもいえばいいのか、ピンク系の美しい色で画面のほぼ全体が覆われていて、森の爽やかなにお... [続きを読む]

受信: 2007.11.28 22:29

» 秋色コレクション@山種 [南風録ぶろぐ]
山種美術館 秋の彩り -小林古径・福田平八郎・東山魁夷・安井會太郎- 〜12/24 展示室に入ると、正面に、奥田元宋 <奥入瀬(秋)>。紅葉を縫って流れる奥入瀬の渓流が大画面に描き出されています。これは、元宋71歳の作。 そのほか、横山操 <湖の秋>、前田青邨 <菊>、竹内栖鳳 <秋夕> <柿の実>、速水御舟 <柿>など。 栖鳳の<柿の実>と御舟の<柿>は、印象がまったく異なる、栖鳳は63歳の作、御舟は29歳の作ならば当然かも。 秋の景というものは、ある程度の年齢に達しないと描けないものなのかもし... [続きを読む]

受信: 2007.12.08 22:04

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