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2007.11.27

TV映画「点と線」

853連休にテレビ朝日で放送された松本清張作、ビートたけし主演の“点と線”の余韻に浸っている。

土日、リアルタイムでは見ずビデオ収録したのを昨日一気にみた。5時間もTV画面と向き合うのはBS2でよくやる“○○美術100選”くらいなもの。

途中で退屈するところが全然なく、劇場で映画をみているのと変わりなかった。TV史上に残る超一級の作品といってまちがいない。好きな事件物映画はこれまで“天国と地獄”(1963)、“飢餓海峡”
(1965)、“砂の器”(1974)をベスト3にしていたが、劇場映画ではないがこの“点と線”を即加えた。

原作がとびぬけて面白いことがこのドラマに夢中にさせる一番の理由だが、出演している役者の高い演技力が心を揺すぶる。博多に住む普通の刑事鳥飼に扮したビートたけしの演技が秀逸。喜劇でもシリアスな役でもすばらしい演技をみせた役者としては、“飢餓海峡”に同じく刑事役で出演した伴淳三郎がいるが、たけしは伴淳同様、哀愁を漂わせながらベテラン刑事を演じている。

捜査が行き詰まり、活路が見出せないとき、犯人を絶対捕まえるという刑事魂と執念がよびこむのであろうか、鳥飼と警視庁のエリート若手刑事三原(高橋克典)は犯人がしかけたトリックを解き明かしたり、アリバイを崩すヒントをひょうんなことから偶然思いつく。この状況が急転回するところがサスペンスドラマの一番の見せ場。はじめのころ、東京から来た三原刑事のことを鳥飼刑事がへらへらしながら“三原さんは勘が悪いよね!”と三原がいないところで言う場面が笑わせる。

二人の犯人安田(柳場敏郎)へ立ち向かう心が強く響き合うにつれ、犯人が飛行機を使って福岡から札幌に移動し事件当日のアリバイをつくったことや汚職の鍵をにぎる官僚と料亭の仲居が情死したと見せかける偽装トリック、そしてあの“東京駅の4分間のトリック”を解き明かしていく。

ミステリー史に残る“空白の4分間”のアイデアを松本清張はどうやって思いついたのだろうか?病気のため外に出られない犯人安田の妻亮子(夏川結衣)は時刻表を見ながら想像をめぐらす。“私はふと時計を見る。午後1時36分である。私は時刻表をくり、駅名をさがす。全国のさまざまな土地で汽車が一斉に止まっている。たいそうな人たちがそれぞれの人生によって、降りたり乗ったりしている。目を閉じてその情景を想像する” 

空間的には離れているいくつもの駅(点)がその時間に結ばれ(線)、瞬間的に関係づけられる。だが、つぎの瞬間にはその線は消え、また別の駅と駅が結ばれ、それぞれの町、乗客、そしてその人たちの色々な生き様が現れる。My“点と線”は“洛中洛外図屏風”のイメージ。一生の思い出になる“点と線”だった。

テレビ朝日は名作のリメークに気合が入っている。“天国と地獄”、“点と線”と続けば、当然次は“飢餓海峡”だろう。来年是非つくってほしい。

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