« 安宅コレクション展 その二 朝鮮陶磁 | トップページ | 智美術館の芹沢銈介の造形展 »

2007.10.25

東近美工芸館30年のあゆみ展

34
35
東近美工芸館では、現在、開館30周年を記念した特別展が開催されている(10/6~12/2)。ここへは定期的に足を運んでいるから、図録に載っている代表的な作品にはかなり済みマークがついている。こういう記念展は自慢のコレクションをどっと展示するので、まだ観てない作品に対面できる絶好のチャンス。

いろんな工芸があるなかで、出品数が多いのが陶芸。ビッグネーム陶芸家の見慣れた名品がずらっと並ぶ。荒川豊蔵の“志野茶碗”、富本憲吉の“色絵金銀彩羊歯文八角飾箱”、濱田庄司の“青釉十字文大鉢”、河井寛次郎の“花魚扁壺”、加守田章二の“曲線彫文壺”、板谷波山の“彩磁延寿文水指”、三輪壽雪の“萩灰被四方水差”、金重陶陽の“備前焼耳付水差”、十五代楽吉左衛門の“黒茶碗 月華千峰”。

また、陶芸オブジェで高い評価を得ている八木一夫の“黒陶 環”、深見陶治の“遙カノ景・望”、田嶋悦子の“Cornucopia 02-XI”、栗木達介の“這行くする輪態”にも足がとまる。最後のコーナーには海外陶芸家の楽しい作品があった。拙ブログ05/12/27で紹介したバーナード・リーチの“蛸図大皿”やユニークな形が目を惹くルーシー・リー、ハンス・コパーの作品。

図録に興味深い情報が載っている。それは展覧会の入場者数。普段こういうデータに接することがないので、過去30年に開かれた陶芸家11人の展覧会における一日平均入場者数をざあーっと比較してみた。作家の人気度がこのデータに現れているかもしれない。ベスト3は、
★1位:板谷波山(95年) 1064人
★2位:河井寛次郎(84年) 600人 
★3位:八木一夫(81年) 484人

今回、体がすごく反応したのはやきもの以外の作品。そのひとつが上の吉田良が制作した球体関節人形、“すぐり”(1986)。昨年3月にあった“花より工芸展”でもお目にかかった。赤い着物を着た幼い少女が無表情に手足を投げ出して座っている。目の前にいるのは少女なのに、その妖気をはらんだ美しさに圧倒され、思わず後ずさりしそうになる。日本の人形がでるホラー映画の宣伝映像をみたことがあるが、ひょっとするとこの作品がモデルかも? この人形は一生忘れることはないだろう。

下の作品はここでははじめてみたイサム・ノグチの“あかり UF3-Q”(1989)。大好きな楽吉左衛門の黒茶碗の隣に、和紙と竹を使い三角面や四角面で構成された作品が置いてあり、そこからやさしいあかりが広がっている。肩の力がぬけ、ほっとする展示空間である。こういうアートエンターテイメントを感じる演出はどんどんやって欲しい。

次回の記念展パート2“工芸の力”も見逃せない。

|

« 安宅コレクション展 その二 朝鮮陶磁 | トップページ | 智美術館の芹沢銈介の造形展 »

コメント

こんにちは
吉田良の少女たちには恐るべき官能性が秘められている、といつも思います。肉体のどこかに包帯を巻きつけている…
それを思うだけでも背筋が粟立ちます。
とても好きです。

投稿: 遊行七恵 | 2007.10.26 14:39

東近美工芸館とは、竹橋の旧近衛師団司令部(正確カナ?)のあの魅力あふれる‘洋館’の建物の事と、存じます。
いわゆる‘洋風建築’大好きな 花 です。昔、スケッチに行った事を、思い出してます。その 箱 にぴったりのお人形さん!すぐりさん(デスカ?)いいですね。私は、このたびいづつや様のおかげで、吉田良さんのお名前初めて知りました。‘怪しい、退廃的な、危険な~’
たまらないです~!さっそくAmazonに、写真集を注文してましたノ~

投稿: 花 | 2007.10.26 18:30

to 遊行七恵さん
吉田良の人形はこの“すぐり”しか見たことが
ありませんので、作家のことはまったくわか
りません。七恵さんはこちらのほうは詳しい
でしょうね。

昨年見たときの衝撃度はマグニチュード7くら
いありました。魔性をはらんだ美しさを少女の
人形で表現する感性は日本人にしかないよう
な気がします。

投稿: いづつや | 2007.10.26 23:17

to 花さん
この“すぐり”の美しさに参ってます。あまり
近づいては見れませんね。そばで見ていた女性が
髪の毛は本物が使われていると言ってました。

魔性を感じる作品としてすぐ思い浮かべるのは、
大人の女性では上村松園の“焔”、少女では
吉田良の“すぐり”です。

投稿: いづつや | 2007.10.26 23:34

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 東近美工芸館30年のあゆみ展:

« 安宅コレクション展 その二 朝鮮陶磁 | トップページ | 智美術館の芹沢銈介の造形展 »