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2007.10.27

シュルレアリスムと美術展のマグリット、デルヴォー

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長らく追っかけていたマグリットの絵を見るため横浜美術館へ出かけた。ここで今、“シュルレアリスムと美術展”(9/29~12/9)が行われている。作品数125点のなかで一番のお目当ては上のマグリットの“大家族”。

シュルレアリスム作品をみるのは好きだから、関連する展覧会は見逃さず、まめに足を運んでいる。1月は“20世紀美術探検展”(国立新美)、2月“シュルレアリスム展”(埼玉県近美、拙ブログ2/23)、4月“澁澤龍彦ー幻想美術館ー”(埼玉県近美)。

2月の展覧会は埼玉県近美、岡崎市美、宮崎県美、姫路市立美の共同開催だったが、こちらのシュルレアリスム展は横浜美、豊田市美、宇都宮美がコラボしたもので、3館の所蔵品を中心に構成されている。年内に行われるシュルレアリスムの展覧会は横浜美で終わりだと思うが、国内にあるシュルレアリスムのいい絵は一連の展覧会にほとんど出品されたのではなかろうか。

このなかで質の高い作品が結構あるのがマグリット、デルヴォー、ダリ。02年
Bunkamuraであった“マグリット展”のときも誇らしく思ったが、国内の美術館には本当にマグリットのいい絵がある。今回、横浜美の大作“王様の美術館”・“青春の泉”、そして宇都宮美蔵の“大家族”が飾ってある部屋は圧巻。まるで、ベルギー王立美のマグリットの部屋(05/4/25)にいるよう。さらに、豊田市美がもっている“無謀な企て”にも会える。出品されてないのでは、“レディ・メイドの花束”(大阪市近美準備室)、“白紙委任状”と“現実の感覚”(ともに宮崎県美)が一級品。

シュルレアリスト、マグリットを知ったのは美術本に載っていた“大家族”。だから、マグリットというとすぐこの絵を思い浮かべる。鳥の翼に描かれた白い雲を浮かべた明るい青い空はマグリットの作品には頻繁にでてくる。“現実の感覚”のように大きな石の背景になったり、鏡に映ったり、額縁の中に入ったりする。

“大家族”では、“光の帝国”で暗い夜の風景と昼間の空をくっつけたのと同様に、明るい空を切り取ってフォルムされた大きな翼の後ろは嵐でもきそうな暗い空、そして下には波の荒い海が描かれる。どちらも単独でみれば、ダリの描いた夢の世界とはちがい、誰もが見慣れた日常の情景。だが、二つが一緒になるとこれは現実にはありようのない取り合わせ。マグリットは不思議な組み合わせをみせて、観る者を新しいイメージの世界に引き込んでいく。一度これに美を感ずればもうイメージの魔術師、マグリットから離れられなくなる。

下は日本にあるデルヴォーの3大傑作の一枚、“階段”(横浜美)。左から差し込む明るい日差しと上半身裸の女性がこれから降りようとする階段にできた影のコントラストが印象的。天井のガラス窓と黒い壁への映りこみはエッシャーの描き方を彷彿とさせる。これまで国内の美術館で見たデルヴォー作品でぐっときたのは、この絵と“こだま”(愛知県美蔵、横浜美には展示されず)、“夜の通り(散歩する女たちと学者)”(福岡市美)。

ダリはなんといっても横浜美自慢の“幻想的風景 暁”(04/12/17)が見ごたえがある。図録をみて残念に思ったのがここには展示されないミロの大作“ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子”(福岡市美)。これは国内にあるミロのベストワン。ミロ好きとしては再会したかったのだが、、これでシュルレアリスムの絵は当分パスできる。

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