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2007.10.06

フェルメールの牛乳を注ぐ女

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国立新美術館でフェルメールの“牛乳を注ぐ女”(9/26~12/17)と再会した。前回アムステルダム国立美術館でみた(拙ブログ05/4/11)のは2年前だから、絵の印象は体のなかによく残っている。違いは見るシテュエーションだけ。

“黄金時代の風俗画”のコーナーをパスして“牛乳を注ぐ女”を目指した。今回この小さな絵はダヴィンチの“受胎告知”が飾られていた東博の部屋よりはるかに大きいスペースをもらって展示されている。まず、最前列にそって進み、絵の前でしばらく見て、次は正面の2列目に腰を据えて、単眼鏡で細部を確認したり、人の流れが途切れたのを見計らってすばやく前に移動したりして見た。はじめからこの絵しか関心がないから、時間はたっぷりある。30分くらいで、もういいかなという気分になったので引き上げた。

こんな絵画史上の名画が日本にいてみられるなんて願ってもないことなのに、その展示の方法については?がつく。00年にあった“フェルメールとその時代展”(大阪市立美)に展示された下の“青いターバンの少女”(マウリッツハイツ美)や3年前、東京都美に出品された“絵画芸術”(ウィーン美術史美)が普通に展示されていたのに、なぜ、この“牛乳を注ぐ女”だけを特別扱いにし、少し離れたところから見るようにするのだろうか?

絵の価値や人気度からいうとこの3点と“デルフトの眺望”(マウリッツハイツ美、05/4/17)がビッグ4と思っているのだが、フェルメール作品のなかでは最も大きい“絵画芸術”が真近でみれて、それより小さな絵の“牛乳を注ぐ女”を遠くからみるなんてどう考えても変。フェルメール好きなら誰だってそう思うはず。

“牛乳を注ぐ女”を見ていると心がしっとり落ち着く。日常のありふれた情景を描いた風俗画というより、静物画を見ている感じ。テーブルの上にパンや籠、陶器があるので人物のいる静物画である。フェルメールの絵で一番魅せられるのが白い点々により、対象にあたるやわらかい光を見事に表現しているところ。テーブルのパンや女の頭、窓のそばの壁にかけられた籠のあたりがキラキラ光っており、物の豊かな質感と褐色系の暗い色調が特徴のほかのオランダ絵画ではみられない明るさに見入ってしまう。

色で目に沁みるのは左からの光があたった白い壁がいっそう浮かび上がらせている女の黄色い上着と深い青のエプロン。構成、細部の精緻な描写、どこからみても、この絵はフェルメールの高い画技と自然や人間に対する優しい心によって生み出された傑作である。

“受胎告知”がイタリアへ帰ったら、今度はオランダから“牛乳を注ぐ女”がやって来る、やはり日本は美術大国。だとすると、次は“デルフトの眺望”を期待したくなる。まだ見てない9点のうち、一番のターゲットにしているのはベルリン国立美術館にある“真珠の首飾りの女”だが、“デルフトの眺望”と再会したい気持ちも強い。果たして実現するだろうか?

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コメント

いづつやさんこんばんは(^ω^)
最近は野球や芸能ネタなんてのも多いので、おゃ?と思っていました。。
今回はついにフェルメールできましたね。
おっしゃるとおり展示のされ方って疑問?が多いですよね。
“絵画芸術”(ウィーン美術史美)は自分もウィーンでみたときに“持って帰れそう”っておもったくらいでいた。
フェルメールをコンプリートしたいって思いますけれど、なかなか一箇所には集めないようにしてるみたいなので大変ですね。

投稿: 榎俊幸 | 2007.10.07 00:37

to 榎俊幸さん
野球も文化、芸能も文化ということで、文化記号
を縦に横に取り込んでます。記事の順番は先入先出
(FIFO)の原則で書いているのですが、日記の
性格上、ニュース性の高い出来事も欠かせません。

突然、若桑みどりさんの訃報がとびこんできたり、
松井稼頭夫の大活躍があったりとネタはいろいろ
あります。で、絵画鑑賞の感想記が途切れたりし
ます。

フェルメールの絵は36点のうち27点を見ました。
全部に惚れているというわけではありませんが、
この画家とは一生つきあっていきたいですね。
なかでも静物画の“牛乳を注ぐ女”、人物画の
“青いターバンの少女”、風景画の“デルフトの眺望”
、寓意画の“絵画芸術”にぞっこんです。
もしこの中の1点をさしあげると言われたら、即座に
“青いターバンの少女”を指差します。

今回の“牛乳を注ぐ女”をこんなに離れてみるとは思い
ませんでした。フェルメールの絵の真価は近づいて、
あのすばらしい光の表現をみてはじめてわかるのです
が、あの距離ではちょっと難しいですね。

せっかく日本にやってきて、この絵をみるのを楽しみ
にしている美術好きの人が沢山いるのですから、列が
長くなろうと、現地の美術館と同じ展示でみせて欲し
かったです。入場制限があっても観客は納得しますよ。
絵画史上に残る名画ですから。

投稿: いづつや | 2007.10.07 11:12

どのくらい混雑していましたか?
ムンク、フィラデルフィアとやはり芸術の秋ですねー。
「週刊新潮」の書評欄にフランクウィン著「私はフェルメールー二十世紀最大の贋作事件」、ランダムハウス講談社が紹介されていました。

投稿: oki | 2007.10.07 22:18

to okiさん
平日の午後1時ごろ入場したのですが、絵の前
ですごく待たされるということはなかったです。
列が途切れることはないですが。

西洋画では一番楽しみにしているフィラデルフィア
美展がもうすぐですね。ワクワクします。

投稿: いづつや | 2007.10.07 23:34

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