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2007.10.10

驚きのミネアポリス美術館蔵浮世絵コレクション!

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松涛美術館で今、ミネアポリス美術館が所蔵する一級の浮世絵コレクションが展示されている。作品数245点は前期(10/2~10/28)と後期(10/30~11/25)で総入れ替え。で、2回の訪問が必要になるが、料金は300円と超格安だから、600円で済む。ご機嫌な浮世絵展である。

02年、山口県美・浦上記念館(萩市)であった“鈴木春信展”にこの美術館蔵の作品が出ていたので、春信のコレクションで有名なことは知っていたが、ほかの絵師もぐぐっと惹きつけられるのがここにもあそこにもあるという感じ。収穫のいくつかを上げてみると、

★春信の質の高い作品が会期中36点みれる。色がよく残っているのが驚異的。
★現在追っかけモード一番の歌麿が16点もある。しかも、摺りの状態が良好!
★国内ではなかなか見る機会がない歌川豊国の“役者舞台之姿絵”が6点みられる
★北斎の絵に大回顧展(05年、東博)にもなかった“壬生狂言”という面白い絵がある

まず、春信から。前期にでているのは半分の18点。柳の枝に飛びつこうとしている蛙を傘をさした娘がながめている“見立小野道風”や男と言われても女が二人いるとしか見えない“三味線を弾く男女”などは浦上記念館でお目にかかった。初見で心を打たれたのは“隅田川舟遊び”、あぶな絵の“船に乗り込む芸者”、そして上の“松もとや前”。

とくに春信の天分の色彩感覚が画面いっぱいに現れた“松もとや前”にふらふら。すばらしい色使いである。ピンクの着物をまとった女は芸者で、後ろにいるのが紫色の三味線箱を運ぶお付。二人は“松もとや”での仕事が終わり、暖簾をくぐって出ていくところ。芸者の着物の裾模様に蝶々がみえる。暖簾の青と柱の黄色、お付の緑の衣装と紫の箱の色彩対比効果があの涼やかな顔をした春信美人を浮かび上がらせ、見る者を甘美で詩的な世界に誘う。

歌麿でわけもなく嬉しくなるのが“青楼仁和嘉女芸者之部”、“難波屋おきた”、下の“台所”。歌麿のこんないい絵をここで見れるとは思ってもみなかった。“台所”は東博の平常展に展示されるのを今か々と待っていたのに、一足先に対面することとなった。歌麿は女が湯を汲もうとして、立ち上る熱い煙に顔をしかめるところを実にリアルに描いている。歌麿の美人画は女性の個性や繊細な感情を写しているといわれるが、それが一番わかるのがこの絵。思いの丈をとげられて気分は最高。

豊国の“役者舞台之絵”(拙ブログ06/11/16)で魅了されるのがクセのあるポーズと精緻な文様や深みのある紫の衣装。“はまむらや”、“音羽屋”など会期中に6点もみられるのは有難い。そして、“豊国も春信に劣らぬカラリストだな”と思わせる“五代岩井半四郎の助六”に大感激した。これは本当に見てのお楽しみである。摺りの状態のいい浮世絵を見ることほど楽しいことはない。図録をみると後期も期待がもてそう。

なお、この展覧会は松涛の後、少し間隔があくが、次の美術館を巡回する。
奈良県立美術館:08/4/5~5/25
サンリツ服部美術館:6/10~7/10

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コメント

今日は、歌舞伎でしたの。時期はずれですが、円朝の牡丹燈籠!ガイドで、谷中の全生庵の話もありました。ミネアポリス美術館展では、お相撲さんの浮世絵はないでしょうね。そういえばニューオータニの創立者の大谷竹次郎は、お相撲さんだったそうですね。

投稿: 花 | 2007.10.11 01:04

↑大谷米太郎の間違いでした。幕下の筆頭までのぼったそうです。(大谷竹二郎は、松竹の創業者ですね。)失礼いたしました。 ‘花’

投稿: 花 | 2007.10.11 01:24

いづつやさんもずっと追っかけていた作品を見ることが
できたというのは、やはり相当に貴重な展覧会なのでしょうね。
私も、この展覧会の作品の色の豊かさ、鮮やかさには
驚きました。
台所は、それぞれの女性の表情が豊かで、美人画とは、一風変わっている絵だなぁと思いました。

投稿: 一村雨 | 2007.10.11 05:36

to 花さん
歌舞伎をお楽しみでしたか。それはいいですね。
一月のギメ美展(太田記念館)にはいい相撲絵
が13点ありましたが、今回力士の絵は一枚も
ありません。

大谷米太郎が力士だったときの写真を見たこと
があります。筋肉質タイプですね。

投稿: いづつや | 2007.10.11 16:36

to 一村雨さん
北斎とか広重の有名な風景画は日本でも見れ
ますが、春信や清長、歌麿となると摺りの
いいものはだいたい海外にあり、見る機会が
ないですから、今回のような色がよく残った
作品がやってきますと真に感激しますね。

久しぶりの“難波屋おきた”には会えるし、
追っかけ作品の“台所”と対面できるし、いう
ことありません。後期が待ち遠しいですね。

投稿: いづつや | 2007.10.11 16:49

明日行きます!
松涛美術館はどんな展示でも300円、ちょっと前の展覧会の景徳鎮なんてよその美術館では1000円近くしたと聞きます、区からの補助があるのですかね。
しかし浮世絵で質の高いものは海外にどんどん流出したのですね。
最近の里帰りを見て複雑な気持ちです。

投稿: oki | 2007.10.12 00:02

評判のギメ美展ゆきました。うれしくて図録や絵ハガキ沢山買いました。浮世絵の伝統技術は今も生きてるそうですね。

投稿: 花 | 2007.10.12 00:13

行ってきました、興奮と感動です。
浮世絵初心者の僕もこれだけ夢中になれたのですからいづつやさんの感動はいかばかりかと。
処で販売カタログには来年の春に学術図録を刊行するとありますがご購入のご予定は?

投稿: oki | 2007.10.12 22:44

to okiさん
松涛美は区から補助を受けているようですよ。
300円で一級の浮世絵を見れるのですから、
有難いことです。

摺りのいい浮世絵が海外に流失したのは残念
ですが、そのころ日本人は自分たちが生みだ
した美術品の価値を正当に評価できなかった
のですから、仕方ないですね。

投稿: いづつや | 2007.10.12 22:51

to 花さん
ギメコレクションは名品揃いでしたね。欲を言う
と画集に載っている歌麿の美人画をあと2,3点
みたかったです。

摺りのいい浮世絵を見たときの感動は格別ですね。
ギメが日本で定期的に展覧会をやってくれると最高
なのですが。

投稿: いづつや | 2007.10.12 22:59

to okiさん
浮世絵にまだ目が慣れてない人は、いい摺りの
作品を沢山所蔵しているメトロポリタン、ボス
トン、シカゴ、ホノルル、ミネアポリス、ギメのとき
だけ出かけるのが一番いい鑑賞方法かもしれま
せんね。

浮世絵の魅力はなんといってもあの鮮やかな
色彩ですから、ミネアポリス美蔵品のすばらし
い色をみせられるともう即追っかけマークがつき
ます。

学術図録の購入はdepends onですね。出来上
がったのをみて決めます。

投稿: いづつや | 2007.10.12 23:20

こんばんは。
本日見てきました!
帰宅後すぐにいづつやさんの記事を再度読み返した所です。
浮世絵ってこんなに素晴らしいものだったのですね。
北斎展とは別の感動がありました。
記事が書け次第、TBさせていただきますね。
今日のNHK日曜美術館アートシーンで紹介される前に行くことができて良かったです。

投稿: meme | 2007.10.14 21:29

to memeさん
摺りのいい鮮やかな色彩の浮世絵をみると、
本当に楽しくなりますね。その多色摺りを
生み出した春信の一番いいのが目の前にあ
るのですから、もうたまりません。

見立絵、豊かな色彩が魅力の春信、美人画
の代表作がみれる歌麿、色が鮮やかな3枚続
の清長の美人風景画、、魅力一杯のミネア
ポリスコレクションを300円でみられる
なんて幸せですね。

投稿: いづつや | 2007.10.15 10:51

こんばんは
よかったです~。いいものをいっぱい見せてもらいました。
春信の見立て絵が特によかったですが、いづつやさんも書かれているとおり、北斎の壬生狂言にはびっくりでした。
寛政年間の作ですから、まぁそういうのもあるんでしょうね。
・・・京都まで見に行ったのかしら、それとも壬生から出張公演?いやいや・・・ などと想像しながら見ました。

投稿: 遊行七恵 | 2007.10.15 22:16

to 遊行七恵さん
北斎の壬生狂言などをみていると、つくづく
外国人のほうがいいものをみる確かな審美眼を
もっているな思いました。

浮世絵は西洋絵画にない鮮やかな色彩、構図
、高い教養が必要とする見立絵などがとても
新鮮だったのでしょうね。後期が楽しみです。

投稿: いづつや | 2007.10.16 10:59

いづつやさん、こんばんは。
沢山楽しい記事にコメントせずに拝読しております。
このミネアポリス美術館所蔵浮世絵には本当に驚かされました。後期もますます期待してしまいます。
特に春信にすっかり魅了されました。

他にも行きたい展覧が目白押しですが、
記事にされた所など回れるよう、頑張ります。

投稿: あべまつ | 2007.10.19 22:16

to あべまつさん
ミネアポリス美コレクションには真に魅了され
ますね。色彩が鮮やかなので、江戸時代に生き
た人々が見たのと同じものを今まさに楽しん
でいるかと思うと興奮します。これぞ浮世絵!
後期もワクワクしますね。

投稿: いづつや | 2007.10.20 23:07

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