« 鏑木清方と官展 | トップページ | ミネアポリス美浮世絵コレクションの春信 »

2007.10.31

東博浮世絵エンターテイメント! 師宣・歌麿の肉筆画

45_2
46_2
現在、東博平常展にある浮世絵の展示期間は10/23から11/18まで。作品数は29点。いつもと変わりない数だが、このなかにずっと待ち続けていたのが2点入っていた。北尾重政の“東西南北美人・東方乃美人仲町おしま、お仲”と上の菱川師宣の“北楼及び演劇図巻”。

“東西南北美人”は江戸を代表する4つの遊里の女たちを描いた揃物で、この二人は深川仲町の辰巳芸者。顔をみるだけなら、普通の女性のイメージだが、着物の裾をまるくし、足をちらっと見せて気風のいい辰巳芸者の感じを出している。

“北楼及び演劇図巻”は3年前から展示の機会を待っていたが、ようやく登場した。この絵巻には吉原遊郭と芝居小屋の様子が描かれており、長さは7mもある。今回披露されているのは前半部分のみ。上は張見世で遊女を品定めしているところや奥座敷での遊興の場面が描かれている。

この絵の前には太夫が従者をつれて歩くところが3回でてくるが、いずれも先頭の太夫はあの“見返り美人”と同じ髪型をし、赤い着物を着ている。その太夫からでるオーラが強烈なのだろうか、男たちの目は釘付け。菱川師宣や宮川長春の肉筆風俗画はコンディションがいいので、男女が身につけている衣装の絵柄や色を見るのが本当に楽しい。

いつも目を奪われるのがセンスのいい模様。大雑把な意匠ではなく、一つ々の文様が実に精緻で斬新。女性だけでなく、刀をさした武士のデザイン感覚もハイレベル。張見世で女と話している男は黄色とうす青の組み合わせ。なかなか洒落ている。

下は歌麿の肉筆美人画“立姿美人図”(重美)。この絵は画集で知っていたが、ここでお目にかかれるとは思ってもみなかった。これは歌麿が地方の素封家の注文で描いたもので、子孫の家に伝えられていると解説にあるから、おそらく今、東博に寄託されているのだろう。すらっとした立姿にすごく惹きつけられる。そして、とても美しいのが金の線が入った黒衣の裾に散らされた桜の花びら。

出光美にある“更衣美人図”(重文)とこの絵を前にして、もし“どちらか好きなほうを差し上げる!”といわれたら、こちらのほうを選ぶ。歌麿はほかに版画“風俗三段娘”が3点でている。

北斎と広重は定番の“富嶽三十六景”、“東海道五十三次”が2点ずつ。広重の人気の絵、雪景色“蒲原”を“雪が積もっている感じが家の屋根だけでなく、山のかたちもそうだなあー!”と感心しながら見ていた。

|

« 鏑木清方と官展 | トップページ | ミネアポリス美浮世絵コレクションの春信 »

コメント

先日は浮世絵に関する本のご紹介有難うございます。
「浮世絵の歴史」という教科書のような本を読み
絶版になっていた「大江戸浮世絵暮らし」を古書店で
入手しました。
この東博の浮世絵29点も、もし時間があれば覗いて
みようと思います。

投稿: meme | 2007.11.01 21:20

to memeさん
“大江戸浮世絵暮らし”が古書店でみつかって
よかったですね。

私もだいぶ前になりますが、ギリシャ神話、
ルネサンス関連の古典本を求めて神田の古本屋
を探し回りました。ヘシオドスの“神統記”(岩波
文庫)をやっとみつけたときは本当に感激しました。

投稿: いづつや | 2007.11.02 13:16

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 東博浮世絵エンターテイメント! 師宣・歌麿の肉筆画:

» 広重 蒲原 初摺と後摺 [徒然なるまままに]
歌川広重 東海道五十三次内 蒲原。雪景色で有名だが、太田記念美術館で開催されている「肉筆広重展  −初代から四代まで−」にて、初摺と後摺があるということを知った。、「天ぼかし(天一文字)」が初摺、「地ぼかし(ぼかし上げ)」が後摺と考えられているとのこと。太田記念美術館では、夜の雪として叙情があるのは「地ぼかし」だろうと解説であった。インターネットで調べると、こちらの解説が詳しい。 後日、東京国立博物館を訪れると何と、初摺が展示されているではないか。個人蔵とのこと。何も説明なしで展示してあるとは、東... [続きを読む]

受信: 2007.11.17 01:21

« 鏑木清方と官展 | トップページ | ミネアポリス美浮世絵コレクションの春信 »