« 東博特集陳列 中国書画精華 | トップページ | ギル・シャハム バイオリン・リサイタル »

2007.10.19

東博&ミネアポリス美コレクションの写楽大首絵

22_2
23_2
東洲斎写楽の役者大首絵は昨年11月、東博の浮世絵コーナーで20点みたから(拙ブログ06/11/17)、つぎの対面は少し間隔があくかなと思っていたら、さにあらず、今年も結構お目にかかる。1月のギメ美展(太田記念美)では状態のいい7点、現在公開中のミネアポリス美コレクション(松涛美)でも3点。そして、東博の平常展で2点。併せて12点になる。ラッキーなことに一枚もダブってない。

上の絵は現在、東博に展示されている“三代目市川高麗蔵の志賀大七”(10/21まで)。松涛美の前期(10/2~10/28)は下の“二代目市川門之助の伊達与作”と“二代目小佐川常世”で、後期(10/30~11/25)は大首絵全28点のなかでも人気の高い“市川鰕蔵の竹村定之進”が登場する。

写楽のデビュー作28点のなかには立役と敵役がセットで描かれているのがいくつかあり、“志賀大七”もそのひとつ。志賀大七は松下造酒之進を殺害し、その娘宮城野としのぶに敵(かたき)として追われる悪浪人。これは話の発端となる大七が造酒之進を殺す場面である。

黒雲母の背景がワルのイメージをいっそう掻き立てる黒紋服の衣装を着た志賀大七を浮かび上がらせている。“三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛”のように相手を震えあがらせるほどの凄みはないものの、口元をきゅっと結び、つりあがった目で相手をにらみつける大七の顔からは冷酷非道な怖さが伝わってくる。

今、松涛美に展示されている下の“二代目市川門之助の伊達与作”は精神が相当まいっている感じ。それもそのはず。この与作は若殿が芸子を身請けする金を悪党に盗まれるわ、腰元との不義密通が露見して追放されるわで、身も心も憔悴しきっている。人指し指を鍵状に曲げるのは刀の柄に手をかける“志賀大七”でもみられるが、これは能の演技からきているといわれている。

ミネアポリス美が所蔵する“伊達与作”は初摺ではなく、色を変えて後から摺ったもの。初摺では着物の色は紫になっている。ちなみに、後期にでてくる“竹村定之進”も衣装が黄色の初摺ではなく、朱色で摺られた同図異版。異版があるのはこの大首絵シリーズが人気を博し、需要が多かったからであろう。

今年2/21の記事に内田千鶴子著“写楽を追え”を紹介したので、写楽に興味のある方は参考にしていただきたい。

|

« 東博特集陳列 中国書画精華 | トップページ | ギル・シャハム バイオリン・リサイタル »

コメント

先日のミネアポリス展以来、浮世絵について
もっと知りたいと思うようになりました。

今回ご紹介されている「写楽を追え」以外に
浮世絵初心者にオススメできる本があれば
是非教えていただけますでしょうか。

投稿: meme | 2007.10.21 13:08

to memeさん
なるべく今流行りのアートエンターテイメント感覚
で読めるものを選んでみました。

★“週間 日本の美をめぐる”(02年 小学館)
の浮世絵パート、北斎など6冊あります。

値段は560円(当時)と安く、旅行のガイドブック
感覚の編集ですから読みやすいです。5年前の出版
ですが、東博本館地下のミュージアムショップに揃っ
てます。他の書店についてはわかりません。

★“もっと知りたい北斎/広重”(05/8&07/6、
東京美術)

★復刊“週間アーティストジャパン”(07/1から 
デアゴスティーニ)の浮世絵師6人(春信、歌麿、
北斎、写楽、広重、国芳)

文庫本と普通サイズの本なら次の3冊が面白いです。
★高橋克彦著“大江戸浮世絵暮らし”(02/10、
角川文庫)

★高橋克彦著“浮世絵ミステリーゾーン”(91/11、
講談社文庫)

★橋本治著“ひらがな日本美術史4・5・6”(02/1
1、03/9、04/10、新潮社)

小説家、高橋克彦さんは浮世絵の専門家です。

橋本治さんの日本美術についての知識は幅広く、既存
の専門家の話より数倍ためになります。まさにアート
エンターテイメントを感じさせてくれる本です。
浮世絵の話しは4・5・6におさまっています。これを読む
と浮世絵がかなりみえてきます。

以上、ご参考になさってください。

投稿: いづつや | 2007.10.21 18:35

いづつや様
ご丁寧な紹介恐れ入ります。
早速、手に入りそうなものから順次
読んでいきます。

ありがとうございます!

投稿: meme | 2007.10.22 22:01

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 東博&ミネアポリス美コレクションの写楽大首絵:

« 東博特集陳列 中国書画精華 | トップページ | ギル・シャハム バイオリン・リサイタル »