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2007.10.07

ベルト・モリゾ展

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今年のはじめ、ベルト・モリゾを強く印象づける絵が国立新美術館で開かれた“オルセー美術館展”に展示された。ひとつはマネが描いた肖像画の傑作“すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ”、もうひとつは女性画家、モリゾの作品、“ゆりかご”。

15年前ごろ、オルセー美を訪問した際、マネの絵に登場するモリゾは“すみれのブーケ”と“バルコニー”でしっかり目の中に入ったが、モリゾの絵は全く記憶から消えていた。ところが、どういうわけかマルモッタン美でみたモリゾの“ジュリー・マネと彼女のグレイファウンド犬ラルト”という絵はよく覚えている。ふりかえってみると、オルセーではモネやルノワール、ゴッホ、セザンヌなどの絵に神経が集中し、モリゾは鑑賞の対象から外れたのだろう。だから、国立新美にやってきた“ゆりかご”と対面したときは、大変心を揺すぶられた。

現在、損保ジャパン美で行われているモリゾの回顧展(9/15~11/25)もこのときと同じような感情が沸き起こってくる。作品数は油彩、水彩、版画68点。日本でモリゾの本格的な回顧展が開かれるのははじめてのことで、作品の大半は個人が所蔵するもの。描かれているのはほとんどが女性、母と女の子、愛娘ジュリー。男性が出てくる絵は夫(マネの弟)と娘を描いた1枚しかない。

上はお気に入りのひとつ、“テラスにて”。右端手前に大きく描かれた帽子を被り、こちらを向いて椅子に座っている女性の雰囲気が、どことなく師匠のマネが描いた“庭のモネの家族”(メトロポリタン美)に似ている。画面を手前の女性がいるテラス、中景の海と崖、遠景の空と3つに描き分けているのは浮世絵風景画の描き方の影響だろう。

下は最も惹きつけられた“乳母と赤ちゃん”。愛娘のジュリーと若い乳母が向き合って、お話でもしているのであろうか。左からの明るい日差しがあたった女性の青い衣装やジュリーの白い服が目にとびこんでくる。いかにも印象派の絵という感じである。じっとみていると、ボストン美にあるモネの絵、“庭のカミーユ・モネと子供”がダブってきた。

最後のコーナーに、モリゾが亡くなる一年前、大きくなった娘を描いた“夢見るジュリー”がある。なかなかいい絵。見てのお楽しみ。期待値はニュートラルだったが、いい作品が何点もあったので、この才能豊かな印象派画家を即、My好きな女性画家に登録した。

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コメント

東京新聞に自分の女の子ばかり描いたのは、男社会の中で仕方なったという意味のことが書かれていました。
しかし僕も観ましたが初期のこの人は荒々しいタッチで前衛芸術に似ているという意味のことが書かれていましたね。
カタログも求めましたが字が小さいこと、読むのに苦労しました。

投稿: oki | 2007.10.09 10:16

to okiさん
この時代、女性画家が自立して絵の制作にうち
こむのは大変だったでしょうね。ましてや、
まだ海のものとも山のものともわからない、
印象派の絵ですからね。

男のモデルが少ないのはそういう事情でしたか!
そこまで頭が働きませんでした。

カタログは小さい字でいっぱい解説してますね。
フルの英文がまたさらに小さい文字。

投稿: いづつや | 2007.10.09 16:45

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