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2007.09.24

出光美術館の仙厓展

1043_2今、出光美で開催中の“仙厓展”(9/1~10/28)は展示されているのが色つきでない墨の絵なので、風が体のなかをさあーっと通りぬけていくようなごく軽い展覧会。

が、見終わったあと、どういうわけか対象のフォルムが頭から離れず、また絵の横に書かれた賛のことが気になってしょうがない。堅牢な水墨山水画より仙厓が描く絵のほうがずっと楽しめるかもしれない。

仙厓のコレクションでは日本一を誇る出光美が今回みせてくれるのは書画90点あまり。例によって、見るからに下手くそな絵がある。でもこれはご愛嬌。軽いユーモラスな絵や禅の精神を表した味わい深い絵がこれらを数十倍補ってくれる。

まず、楽しくてかわいい絵から。世の中には笑った顔がすごくいい人がいる。笑顔のすばらしい赤ん坊、子供、若い女性、おじいさん、おばあさんと一緒に暮らしている方は幸せである。そして、漫画や劇画のような表現の世界でも笑いは読者を惹きつける大事な要素。

仙厓の絵はこの漫画と変わらないが、シンプルな描線で表現された笑顔は底抜けに明るい。極めつけは賛に“よろこベ”とある“福釣恵比寿画賛”や“老人六歌仙画賛”(拙ブログ06/3/7)。また、どことなくおかしい蛙の絵“座禅蛙画賛”にも惹きつけられる。賛の“座禅して人か仏になるならハ”(座禅をしてさえいれば悟りが得られるものならば)が意味深。

絵、賛ともにドキッとするのが野辺におかれた骸骨の目や鼻から葦がでているところを描いた“頭骨画賛”。賛には“よしあしハ目口鼻から出るものか”とある。これを何年か前はじめてきたとき、“仙厓は表現主義の画家か!”と仰天した。

右の代表作“○△□”と遭遇した際も言葉がでなかった。この絵には賛がないが、どう解釈するのだろうか?すぐ頭をよぎったのはセザンヌの言葉、“自然のなかに円筒形と球状と円錐形を見なさい”。自然を幾何学的にとらえたセザンヌと同様に、仙厓も自分のまわりの世界を○△□でイメージしていた。

仙厓が亡くなった1837年の2年後の1839年にセザンヌは生まれているから、仙厓はセザンヌの考えを70年くらい先取りしている。日本にはすごい画家がいたものである。

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コメント

こんばんは。
仙厓の絵から伝わる人肌の絵にたっぷり癒されてきました。
愛らしい動物たちに会えて、嬉しかったです。
私も以前に見たことがあるのですが、
頭蓋骨から芦が生えて、
目口鼻からよしあしが生えるという絵には驚きでした。
去年から少しづつ変身した出光、
企画もすっきり整ったものが増えた気がします。
次回は光琳、乾山兄弟とか。
お楽しみは続きますね。

投稿: あべまつ | 2007.09.26 21:38

to あべまつさん
仙厓の笑ったり大きく口をあけたりする人物描写
に限りない親しみを覚えます。こんなユーモラス
な絵があるかと思えば、骸骨の絵でドキッとさせ
ます。はたまた○△□もあるのですから、本当に
すごい人です。

次回の光琳、乾山展は期待大ですね。出光もサン
トリー美に刺激されているのでしょうか、そして
来年は新装根津美術館がスタートしますから、
日本美術の名品を見る機会がまた増えそうですね。

投稿: いづつや | 2007.09.26 23:02

いづつやさん、こんばんは
仙厓展、本当に色々とためになることが絵の中に秘められていて、楽しかったです。
禅宗の教えは難しいですが、こういった親しみやすい絵の中から何かを受け取れば良いのしょうね。
「新日曜美術館」の情報、ありがとうございました。
楽しみにしています。

投稿: アイレ | 2007.10.04 22:56

to アイレさん
難しいことを平易に説明できる仙厓には特別の
才能が備わっているのでしょうね。言葉と絵が
ぴったり合っているのですから、絵が強く印象
づけられますね。時折、眺めたくなります。

10/14の新日曜美術館は楽しみです。

投稿: いづつや | 2007.10.05 22:44

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