バーナード・リーチ展
展覧会が開催されるとき手に入る展示内容に関する情報はチラシか美術館のHPに書かれている案内文くらい。
出品数が多くて展示替えがある場合は作品リストを事前にみることができるが、普通は主要作品を知る程度である。
だから、実際美術館のなかに入って、予想以上のサプライズがあったりすることが多い。逆にこんなはずではなかったとがっかりするケースは出動する展覧会を絞り込んでいるのであまりない。
現在、松下電工汐留ミュージアムで行われている“バーナード・リーチ展”(9/1~
11/25)はチラシもなかったので、回顧展の規模や作品の所蔵先がまったくわからないまま入館した。昨年、兵庫陶芸美術館であった回顧展を日程が合わず見逃したから、この展覧会の情報を得たときは嬉しかった。で、巡回展ではないことはわかっていたが、どんな新規の作品が見られるかと期待が膨らむ。
ところが、作品は見慣れたのが並んでいた。これらはほとんど日本民藝館が所蔵するものだった。そうだったのか!こういうとき普通ならがっかりするのだが、今回は逆にこれはラッキーと思った。それはリーチのちゃんとした図録が手に入るから。
実は04年10月、日本民藝館でリーチと孫の二人展があり、沢山の作品が展示されたのだが、図録がなく、一部の作品が掲載されている館の雑誌“民藝”(01年2月号)でしか作品を思い出す術がなかった。図録を購入すると持ち帰りがしんどいが、これがないと感動を再生することができず、展覧会を鑑賞する喜びが半減するのである。民藝館は残念ながら図録をつくる資金的な余裕がない。で、ここではいつも簡略図入りの詳細なメモをとって後で作品のイメージが思いだせるようにしている。
今回は一度みた作品が多いのであまり時間をかけずにさっとみた。作品は絵画、スケッチ、陶器、リーチがてがけた椅子、棚などが130点あまり。心をゆすぶるのがいくつもあるが、なかでも右の“楽焼大皿 兎”、“筒描皿 ペリカン”、“ガレナ釉筒描山羊文大皿”が気に入っている。
余白をたっぷりとった中国山水画風の絵柄の作品も魅力的だが、一番ぐっとくるのがデザイン化された動物文が描かれたもの。デフォルメされた兎には躍動感があり、いつまでもながめていたくなる。リーチは兎やペリカンのほかにも、グリフィン、カエル、蛸(拙ブログ05/12/27)、ツバメなどを生き生きと描いている。
民藝館は所蔵品を他館に貸し出して図録を作ってもらい、その一部を買い取り、館で販売するつもりなのであろう。この方式で濱田庄司や河井寛次郎の図録もつくって欲しいものである。
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コメント
はじめまして。
少し前に、検索していてこちらのブログに出会いました。
以後、ときどき拝見させていただいております。
図録を買うべきか否か、当方の懐具合によっても
悩むところでありますが、確かに美術館の懐具合にも
よるのですね。
9月20日よりアサヒビール大山崎山荘で
「河井寛次郎 炎の造形 展」をやっていると知り、
当方、東京住まいゆえ涙をのんでいるところですが、
はたして図録はいかなるものでしょうか。。。
投稿: 白雲 | 2007.09.25 22:19
to 白雲さん
はじめまして。書き込み有難うございます。
民藝館の企画展はいつも図録なしですから、
作品の鑑賞に加え、メモとりが忙しくなります。
平凡社の“別冊太陽”で柳宗悦の特集をやっ
てもらったり、他館に図録をつくってもらった
りとあの手この手で所蔵品の図録化を図って
ます。ですから、こうしたもので館の名品を
リフレインしているところです。
大山崎山荘の河井寛次郎展は所蔵品の展示のよ
うですから、この企画展の図録はつくらないと
思います。2年前あった濱田3代展のときもあ
りませんでした。
これからもよろしくお願いします。また、気軽に
お越しください。
投稿: いづつや | 2007.09.25 23:13
リーチの展覧会では民藝館発行のウィリアムブレイクの図録も売っていましたよね。
僕も図録は必ず買います。
立川のほうに行くのに図録を読んでいます。
河井寛次郎の図録は松濤美術館でやったものが民藝館やなぜか国立新美術館におかれていましたよね。
あと最近図録を出版社とのタイアップで書店でも買えるケースが増えてきましたね。
投稿: oki | 2007.09.26 09:58
to okiさん
そういえば民藝館のブレイクの図録もありま
したね。美術関連雑誌に関係する人のなか
には民藝のファンがいるでしょうから、出版社
と民藝館が一緒に本をつくることが増えてき
ているのでしょうね。
どんな形でもいいですから、ここにある作品
を全部図録に載せて欲しいですね。今、最も
欲しいのは濱田庄司です。
投稿: いづつや | 2007.09.26 22:49