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2007.09.12

山種美の川合玉堂展

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山種美術館で行われている“川合玉堂展”(9/8~11/11)を楽しんだ。ここで開催されるミニ回顧展を見るのは二度目。

作品数は96年暮れのときが14点だったのに対し、今回は63点もある(そのうち6点は10/2~11/11の展示)。ここに玉堂の絵が何点あるかわからないが、おそらくいい絵は全部でてきたような気がする。4月、日本橋高島屋であった大回顧展(拙ブログ4/11)でも107点みたから、これで川合玉堂も済みマークがつけられる。

最近、ここは作品に光をあててみせるようになった。開館40周年記念展で速水御舟の“炎舞”に上から光が当たっていたのは一時的な演出かと思っていたが、今回も同様の演出があった。これからも続けるのだろうか?

玉堂の作品は色々な楽しみ方がある。初期の頃の作品は師匠である橋本雅邦の影響で、狩野派的な岩や山の描き方が多い。例えば“鵜飼”や“渓山秋趣”は古典的な山水画という感じ。こうした絵の前では見る側もちょっと緊張するが、墨線に色彩が加わり、山道を進む農夫や馬などがでてくるとリラックスして画面のなかに入っていける。

玉堂の絵が多くの人に愛されているのは、懐かしい農村の光景が四季折々情趣豊かに描かれているからだろう。ホットしたり、自然と心がおちつくのが何点もある。なかでもお気に入りは上の“山雨一過”、“残照”、“烟雨”。雨あがりは大気は水分を含んで光の透明度が増すので、空は美しい青色になる。“山雨一過”で心を揺すぶるのは風で左に流れる木々の葉の明るい黄色や緑と坂道を降りる男と馬の向こうに描かれたうす青の山肌。

玉堂には田んぼにおける農作業を俯瞰の構図で描いた作品が数点ある。その一枚が“早乙女”。仕切られた田んぼの中で女たちは田植えに精をだしている。一人、小休止して腰をのばしている女につい“お疲れさん”と声をかけたくなる。単なる風景画でなく、生活感が色濃くでているのがとてもいい。

下は玉堂作品のなかでは異色の絵、“荒海”。はじめてこの絵をみたとき、“玉堂にもこんな荒々しい絵があったのか!”と思わずのけぞった。立体感あふれる波のうねり、黒い岩に激しく打つ寄せ、四方にとびちる波しぶき、そして手前の前後左右に動きまわる蛸の足のような波頭。これは加山又造の“波濤”、東山魁夷の“満ち来る潮”とともに忘れならない絵である。

今回は予想を上回る作品数のうえ、これまで見たこともなかった動物画“猿”と“虎”に遭遇したので機嫌がいい。

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