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2007.08.06

Bunkamuraのルドンの黒展

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岐阜県美術館の所蔵するルドンの素描や版画は世界的に有名だということは以前から聞いていたが、まとまった形でみるのはBunkamuraで開催中の“ルドンの黒展”
(7/28~8/26)がはじめて。

色彩を楽しむのが絵画鑑賞の大きな目的となっているので、色彩が咲き誇る花やギリシャ神話を題材にした絵を描くルドンは好きな画家のひとりである。オルセー美術館で見た赤みをおびた茶色のキャンバスに描かれた青や紫、赤、黄色、白の花々、コバルトブルーの天空を駈け巡るアポロンの馬車などが今でも強く印象に残っている。

でも、今回飾られているのは“花のルドン”、“幻想の色彩画家”の作品ではなく、人生の大半、制作し続けた黒一色の木版画や版画(190点)。油彩、パステルも数は少ないが10点ある。ルドンの“黒の世界”で強烈にインプットされているのが気球のように空に浮かぶ大きな目玉や胴体から切り離された首、笑う蜘蛛など奇怪な動物たち。こういうグロテスクで不気味な印象を与える絵が最後まで続く。

一つのタイトルで何点も制作されたのは“夢のなかで”、“エドガー・ポーに”、“起源”、“ゴヤ頌”、“夜”、“陪審員”、“聖アントワーヌの誘惑”、“悪の華”、“幽霊屋敷”,“聖ヨハネ黙示録”。上は“エドガー・ポーに・仮面は弔いの鐘を鳴らす”。この絵をチラシでみて以来、どこかでみた顔と似ているなとずっと考えていたら、それがゴヤの“わが子を食らうサトゥルヌス”(プラド美術館)であることに気がついた。

ルドンはゴヤの“黒の絵”や版画集“ロス・カプリーチョス”、“戦争の惨禍”を称賛しているから、“サトゥルヌス”に霊感を得たのかもしれない。下は“ゴヤ頌・沼の花、悲しげな人間の顔”。葉っぱが人間の顔になったシュールで幻想的な絵である。単独で描かれた“沼の花”でも同じように顔が葉になっているが、顔のサイズが馬鹿デカイのでびっくり度はこちらのほうが上。

作品の大半は不気味で重っくるしい絵。が、その中ではっとするような美しさが感じられるのがあった。それは端正な顔立ちの女性を描いた“夢のなかで・皿の上に”と“光の横顔”。とくにどこかクノップフが描く女性を連想させる“光の横顔”に魅了された。

ルドンが自らの内面とむきあい表現した黒の世界は深い精神性をたたえており、今、のめり込んでいるゴヤの絵と共通するものがある。ルドンの絵に近づけるいい機会であった。

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コメント

本日は、ブログを拝見して
かって、
ブリュッセルの、あの広い王立美術館で、
クノップフの‘追想(パステル画らしい)’を、
捜した事がありましたが、
みつかりませんでした。
その事を、思い出しました。

ルドンは、学生時代 大好きでした。

ところで、 
大関琴光喜関 誕生 よかったですね。
基本的にミーハーな、‘花’は、
お相撲の技は、あまり分かりません。
栃様に涙して、
今は、豊真将や希勢里 に
なんとか、がんばってもらいたいです。 

投稿: 花 | 2007.08.07 01:01

to 花さん
2年前、ベルギー王立美術館でクノップフの代表作
“愛撫”をみたのですが、“追想”は記憶があり
ません。ルドンの描く女性がどうしてこんなにクノッ
プフに似ているのでしょう?びっくりしてます。

豊真将、稀勢の里は有望ですね。前々へと攻め続け
るのがいいです。

投稿: いづつや | 2007.08.07 22:50

こんばんは。
ルドンでいろいろな作家のことが連想されましたが、残念ながらクノップフは思い浮かびませんでした。クノップフの作品をまとめて観たことがないからかもしれません。
黒の展覧会でしたが、後になって、ある意味、光の作品集なのかもしれないと感じました。

投稿: キリル | 2007.08.08 01:01

実は、本日
‘栃東断髪式’(平成二十年二月二日、土曜日)
のチケットが、届きましたの(ブフフ~ )

栃様のブログが、更新されてます。(ホワン~ )


投稿: 花 | 2007.08.08 01:28

partⅡ

記号様
‘花’ノ、独断ト偏見デスガ、

ルドンは、生!
クノップフは、死!

花のルドンは、どんなに、暗~い絵でも、元気、生産性あり。
死都ブルージュのクノップフは、危険、退廃。

そんな、印象をもってます。(決め付け過ぎ!~?)


キリルさま
琴欧洲の故郷ブルガリアの文字はキリル文字ですね。
聖キリル兄弟の発明とか~。
今年六月に、
ブルガリアで、はじめて知りました。
キリル文字の、Tシャツを買って来て、今 着てます。

投稿: 花 | 2007.08.08 03:27

こんばんは。
キリル様のブログにも書き込みしましたが、この展覧会何とか
行けそうです。
岐阜県美術館は名古屋からわりと近いのにまだ1度しか行った
ことがありません。

東京で岐阜県美所蔵作品を見るのもどうかと思いますが、行ける
時、見られる時に見ておこうと思います。

投稿: meme | 2007.08.08 21:32

to キリルさん
今、図録をなんども見てます。グロテスクな
黒の世界もありますが、美しい女性も出てくる
ところが不思議ですね。“光の横顔”の陰影
描写はすばらしいですね。

投稿: いづつや | 2007.08.08 23:03

to 花さん
栃東は横綱になって欲しかったですが、ケガに
泣かされましたね。病気が病気だけに引退せざ
るを得ませんね。理論派だから、うまく弟子を
育てるのではないでしょうか。

投稿: いづつや | 2007.08.08 23:09

to 花さん
ルドンは案外明るい人だったのかもしれませんね。
クノップフはずっと耽美的な感じがしますが。

投稿: いづつや | 2007.08.08 23:23

to memeさん
岐阜県美の近くに住んでおられるとはいえ、
ルドンの“黒の世界”が地元でいつも展示して
あるわけではないですね。

昨年、ここへ出かけましたが、木版画は一枚も
見ませんでした。思い立ったが吉日ということ
もありますね。

投稿: いづつや | 2007.08.08 23:28

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» 「ルドンの黒」をみて [アトリエ・リュス]
Bunkamuraザ・ミュージアムで「ルドンの黒 眼をとじると見えてくる異形の友人たち」をみた。 象徴主義の作家のコレクションで知られる岐阜県立美術館が所蔵するオディロン・ルドン(1840-1916)の版画・素描を中心に、若干の油彩画・パステル画で構成された展覧会だ。 ルドンの「黒」は孤独の色という。ルドンが「最も本質的な色彩」といった黒の世界に果たして何をみるのか。 ルドンといえば目玉。その目玉が見つめるものは内面だ。だから瞼を閉じていても見える。ルドンは顕微鏡下の世界から宇宙... [続きを読む]

受信: 2007.08.08 00:45

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