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2007.08.10

円山応挙の保津川図屏風

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茨城県にある五浦美術館で念願の円山応挙作、“保津川図屏風”(重文)を見てきた。ここで今、千總(ちそう)コレクション、“京の優雅~小袖と屏風~”(7/28~9/2)が開かれており、応挙の絶筆であるこの屏風が展示されているのである(全期間)。

千總は1555年に創業した京友禅の老舗で、05年に創業450年を迎えた。で、これを機に優れた染織作品をつくるためにコレクションされた江戸時代から明治にかけての小袖や絵画をまとめて展示する特別展が京都(京都文化博物館、05年6月)からスタートした。昨年は富山、福岡で行われ、今年は五浦のあと、仙台市博物館(9/14~
10/21)、豊橋市美術博物館(10/31~12/1)を巡回する。

この展覧会が2年前からはじまり、全国6ヶ所を回ることは図録で知った。偶然、“保津川図”の展示を館のHPで見つけ、大興奮だったが、こういう巡回展だったら、05年6月に京都で見る機会は充分あった。京都には美術旅行でよく行くが、京都文化博物館はこれまで訪問したことがなく、定点観測の対象にしてなかった。これは迂闊だった。

応挙の追っかけで最後に残っていたのがこの“保津川図”。応挙が亡くなる一ヶ月前(1795年、63歳)に描かれた。八曲一双の横に長い屏風で、上が右隻、下が左隻。右には瀑布、左には渓流が描かれており、真ん中で水流が平たいV字になっている。

目を奪われるのが水流のうす青色と右の瀑布から続く急流の大きく波打つフォルム。ウェーブの底にできるあの水飛沫は右に4つ、左に2つ描かれている。応挙が得意とする瀑布や波濤の絵では、この蛸の足みたいに踊り狂う波頭にいつも吸い込まれる。

それにしても、応挙は水を描くのが神業かと思うくらい上手い。形が複雑に変化するから、水のイメージが形となって定着するには徹底した写生を重ねたのであろう。臨場感豊かに描かれた水流からは激しさと同時に自然の崇高さが伝わってくる。この心に響く傑作を見れたのは一生の思い出になる。

昨年は奈良で“大瀑布図”(拙ブログ06/11/25)と再会し、今年はサントリー美術館の“青楓瀑布図”(8/4)と“保津川図”をみた。これほど幸せなことはない。今、いくつかの美術館で応挙のいい絵が展示されているので、ご参考までに紹介したい。

★千葉市美術館:若冲とその時代展(8/7~9/17)ー“鉄拐蝦蟇仙人図”(東博の禅の文化展に応挙が参考にした絵がでている)、“群鳥・別離・鯉図”(左の鯉図はサントリーの青楓瀑布図に似ているのでびっくりした。また、群鳥は芦雪の百鳥図はこの絵を参考にした?と一瞬おもったほど。これはサプライズの三幅図)、“秋月雪峡図”(これもお気に入りの名画)

★泉屋博古館分館:花鳥礼讃展(8/4~9/24)ー“双鯉図”(二匹の鯉のからみがおもしろいフォルムになっている。見てのお楽しみ!)

★サントリー美術館:水と生きる展(8/1~8/19)ー“青楓瀑布図”

★東芸大美:金刀比羅宮 書院の美展(7/7~9/9)ー“遊虎図”など、“瀑布古松図”(本物ではなく精巧な複製プリントだが、保津川図の右隻とこの一年前に描かれた本画は構図がよく似ている)

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コメント

こんばんは。
御無沙汰しております。

素晴らしい情報をありがとうございます。
お盆休みに泉屋博古館、藝大美術館、千葉市美術館を梯子しようと思っていたのですが、五浦美術館とサントリー美術館も外せませんね。特に五浦の展示は、常磐線沿線の住民としては楽しみでなりません!

投稿: mizdesign | 2007.08.11 00:02

to mizdesignさん
ご無沙汰してます。暑いですね!

念願の“保津川図”をやっとみることが出来ました。
うわさに違わぬ傑作です。感動の深さでは“雲龍図”
とこの絵が双璧ですね。是非ご覧になってください。
ほかにもあの絵師の絵があるの!というのがでてます。

サントリーの“青楓瀑布図”を見られるとmizdesign
さんも波濤とか瀑布の絵はお済みになるのでは?

投稿: いづつや | 2007.08.11 23:00

まあ、すてきなお作品ですね。
花ハ、初めて、観るものばかりです。
♪おかげさまで‘瀑布’シリーズのお勉強ができます。
(夏ハ、暑ク。冬ハ、寒ク。原本に会えるノハ、イツノ日カ~!)

‘千そう’ハ、デパート等の
御案内で、お着物を見にゆくことはありますが、
こんなすごい‘宝モノ’を沢山もってるとは!
お茶やお饅頭を、ご馳走にるだけで
買わないで、失礼してます。

きょう、夕方‘お雪さん(?)’に会いました。

投稿: 花 | 2007.08.12 00:44

to 花さん
千そうは京友禅の会社だったのですね!今回
はじめて知りました。保津川図をみれましたから
応挙は一応済みマークになりました。今、余韻に
ひたってます。

お雪さんに会われて少しは涼しくなられました?

投稿: いづつや | 2007.08.12 16:17

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