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2007.08.09

平木浮世絵財団コレクションの花火絵

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ららぽーと豊洲(地下鉄有楽町線豊洲駅)にあるUKIYO-e TOKYOの夏の企画展、“隅田川で夕涼み”には花火を描いた浮世絵が沢山展示されている(8/3~
8/26)。今、あちこちで花火大会が行われているから、花火のルーツを描いた浮世絵をこういうまとまった形で楽しめるのは嬉しいかぎり。

広重7点、国貞3点、渓斎英泉2点、月岡芳年2点など全部で20点ある。特筆ものは花火を描くのにもってこいの大判三枚続のワイド画面がなんと9点!どれも花火の楽しさ、見物人の遊興振りが巧みな構図、鮮やかな色使いで臨場感いっぱいに描かれている。

上は花火の絵としてはよく知られた広重の“江戸名所百景”の“両国花火”(1858)で、下は同じく広重の“東都両国遊船之図”(三枚続の真ん中と左の二枚、1834~
35)。今回、花火の形が絵師によってどう違うのかに注目してみた。色々なタイプがある。

下は最初のころの花火。火花がとびちる様が紙をはがした傘の骨に赤い団子を沢山つけたように描かれている。これに対し、これから20数年後の“江戸名所百景”では、火花はとげが長くつきでた地雷みたいな形に変わり、より花火が爆発した感じになっている。

また、下の絵と同じ時期に制作された“江戸名所之内・両国花火”(ここには出品されてない)では、花火は赤く染まった瀑布に赤い点の水しぶきが飛んでいるのように表現されている。広重の花火は基本的にはこの3つのパターン。あとは赤の点々の楕円形を二つつくったりとか、パチパチした感じのする地雷が2,3個だけとかのバリエーション。

国貞の花火は広重の地雷型と同タイプだが、とげの長さが長く、点の数は多くなく3、4個。また、英泉が描く花火は三枚続の画面の中央に位置し、しかも橋のすぐ上にある。花火というより太陽が周囲に光を発している感じ。

展示室の一角では、屋形船、船頭、船の中から宴会をしながら花火を楽しんでいる男女を画面ぎっしりに描いた国貞の絵を拡大したパネルで、花火、両国橋、両国広小路、屋形船など船のタイプなどをわかりやすく解説している。

花火のときには4つの船が隅田川に浮かぶ。一番豪華なのが“屋形船”で、船内で歌舞音曲が催される。よく描かれるのは“吉野丸”、“大福丸”、“川一丸”。“屋根舟”は屋形船より小さく、平素の往来や川遊びに使われ、現在“屋形船遊覧”と称しているのはこの屋根舟。名前がおもしろいのは“うろうろ舟”。これは遊興船に呼びかけて、果物や軽食などの飲食物を売る小舟。船の間をうろうろするからこんな名前がついたそうだ。“猪牙舟(ちょきぶね)”は隅田川を行き来する舟で、小回りが利き、快速艇として重宝された。

19点の花火の絵のほかに、“納涼”(14点)と“納涼姿いろいろ”(7点)、“絵本”(5点)もある。これらも広重、北斎、歌麿、豊国、国貞、国芳などオールスター揃い。平木浮世絵財団のコレクションは底なし沼のよう。ここの展覧会は目が離せない。

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コメント

はじめまして。日本にいるときから時々拝見していた者です。7月から英国勤務になり、貴HPの花火の情景に思わず引き込まれました。貴HPは本当にすばらしいものを紹介されていると思います。これからもご健勝の程を。

投稿: 青江 | 2007.08.11 06:27

to 青江さん
はじめまして。書き込み有難うございます。
今時分の英国は日本同様暑いのでしょうか?

花火の絵を楽しんでいただき、とても喜んで
います。以前から人気絵師が描く花火のタイプ
に興味がありまして、今回の展示で大略特徴
がつかめました。

これからも宜しくお願いします。また、お気軽
にお越しください。

投稿: いづつや | 2007.08.11 23:22

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