トプカプ宮殿の中国陶磁コレクション
現在、東京都美術館で開催されている“トプカプ宮殿の至宝展”(8/1~9/24)で思わぬ収穫があった。
年間に何十回と開かれる展覧会の鑑賞計画を立てる際、会期のどのタイミングで見るかは出品作に対する期待値の大きさで決まる。期待の展覧会は当然ながら出来るだけ早くでかける。これに対し、これまでみたことのある美術館の作品の場合、優先順位を少し下げ、会期の中頃か終盤に訪問することが多い。感動した名品をパスするのはもったいないから、やはり見ておこうというスタンス。美術館に足を運んでおられる方は大体同じようなことを考えられているのではなかろうか。
このトプカプ宮殿展は後者。01年に訪問した現地(拙ブログ06/2/12)でみた“ターバン飾り”や上の“金のゆりかご”と再会しようと軽い気持ちで、階段がシンドイ東京都美に入館した。が、最後のコーナーで思いもよらなかったすごいものと遭遇した。それは中国のやきもの。チラシにまったくやきものの情報がなかったので、名品を前に興奮した。
その感動を述べる前にチラシに載っている目玉の作品のことから。“ターバン飾り”は真ん中の大きなエメラルドグリーンと眩しいばかりに輝くダイヤモンドに目を奪われる。“宝飾コーラン・カバー”のダイヤモンド装飾も美しいが、こちらのほうが群を抜いて輝いている。
王子が誕生するとスルタン、母后、大宰相から贈られたという豪華なゆりかごにも釘付けになる。文様の装飾に使われたダイヤモンド、ルビー、エメラルドは一体いくらあるのだろうか?左右に揺れるゆりかごの形と高度な技で造作された文様のフォルムがよく合っており、オスマントルコの豊富な財力を窺がわせる一品である。
今回一番のサプライズだった中国のやきものは10点ある。日本においてこれほど質の高い中国の青磁や青花をみられる機会はめったにない。なかでも、くらくらしそうなくらいすばらしいのが真ん中の“青磁刻花蓮文大皿”、“青磁貼花牡丹文大鉢”、下の“染付牡丹蔓草文盤”。これらは世界的に有名なトプカプ宮殿の中国陶磁コレクションのなかでも目を見張らせる超一級品。
青磁の2点は世界中から名品を集めてきた“宋磁展”(99年、山口県立萩美術館)に匹敵するものだし、“染付牡丹蔓草文盤”は畠山記念館に今出ている“染付龍濤文天球瓶”(8/19)と同じ永楽青花だから、発色のいい藍と白のコントラストに限りない魅力を感じる。やきもの好きな方はお見逃しなく!
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コメント
トプカプ宮殿の宝物は、すばらしいですね。(私は、キンキラが好きですの。根が単純!)昨秋はイスタンブールで見てきました。宮殿の門やコーランのアラビア文字は、細密でエキゾチックで眩暈がします。
ものすごい‘文化’が、アジア最西端で、栄えたのですね。
今回の至宝展はいづつや様のブログで、楽しませていただきます。
‘花’は、秋の公募展に出品してます。今年から六本木になります。まだ、制作中で遅れてます。あせってます。
投稿: 花 | 2007.08.28 18:42
to 花さん
あのトプカプ宮殿の宝物を見たら誰だって仰天
しますね!一生の思い出です。今回展示されて
いるやきものは現地でみているはずですが、あま
りに多くて、青磁の1点しか覚えてません。
ここで取り上げた青花の盤の青の輝きと白の美し
さにもう大興奮でした。8/26まで東博の平常展
にでていた元時代の“青花魚藻文壺”(重文)も
見ましたから、畠山美の龍と合わせてこの1ヶ月
で青花の名品が3点も見れました。嬉しくてたま
りません。
花さんは絵をお描きになるのですか。是非拝見し
たいですね!
投稿: いづつや | 2007.08.28 22:27