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2007.08.04

サントリー美術館の水と生きる展 その三

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円山応挙の滝の絵をみるため、“水と生きる展”(後期:8/1~19)をやっているサントリー美術館へ出かけた。これで3回目。前期に応挙の上の“青楓瀑布図”が展示されておれば、2回くらいで済んでたところ。

チラシに載せてる作品を後期に展示するとは観る者の気持ちがわかってない!マーケティングに長けているサントリーとは思えない展示の仕方である。また、作品を3回に分けるのはどうみても多すぎる。前期、後期2回の総入れ替えのほうがよかったのではないか。ガラスや陶磁器(会期中展示)は前期にみているから、中後期にまた同じ料金(1000円)を払うのは割高感が残る。作品が違う前後期2回のほうがすっきりする。こういう鑑賞者の率直な気持ちがどうしてわからないのだろうか?

根津美術館なども会期を3回にわけて料金の割引をしない特別展をよく行うが、サントリー美も同じことをやっている。アートエンターテイメントといった考えがでてきて、最近は昔と比べものにならないくらい多くの若い方が日本美術を見るため美術館へ足を運んでいるのに、美術館の中にいるひとはまだ旦那衆に見せているという感覚が抜け切らない。だから、若い人たちに多く来てもらうために割安の通し券をつくろうという発想は生まれてこない。若い人でもシニアの人でも一回来てもらえればいいという考え。全部見たい人のニーズは無視している。

美術館関係者は心が豊かで、優しいなんて思ったら大間違い。振る舞いはそうだが、画商や美術館関係者、美術評論家は権威主義(要するにお高くとまっている)で保守的な人が多いことは常識(全部とはいわないが)。で、料金とか展示の方法については、昔から愛想をつかしている。サントりーの企画力、展示品がいいだけに、ちょっと運営にも注文をつけたくなっただけ。

さて、応挙の絵のことである。予想以上のすばらしい瀑布図だった。サントリーがこの絵を所蔵していることはまったく知らなかった。これは応挙56歳のころの作で、金刀比羅宮の障壁画に描かれた“瀑布古松図”(現在、東芸大美に複製が展示)の6年前に描かれている。

40歳のときに描いた墨画、“大瀑布図”(拙ブログ06/11/25)では右上から松の木が垂れているのに対し、ここでは楓のうす緑の葉がとても優雅な感じでのびている。滝壷のところは左のほうが白の輝きが強い。目を奪われるのが北斎の絵を思い起こさせる激しい波しぶきや前後左右に盛り上がる水面の立体的な造形。そして、画面全体を引き締めている真ん中の黒い岩と上の楓の葉を呼応させ、動のなかに静をつくる構成にしびれる。

下は展示の順番としては最初にでてくる英一蝶の“田園風俗図屏風”。これは左隻のにわか雨に皆があわてふためく場面。右端には転んだ男の子がみえる。“雨だ雨だ、あそこの小屋へ急ごうぜ!”と大人の男の叫ぶ声が聞こえてくるようである。僧侶は破れ傘を風で飛ばされたのであろうか?この展覧会で英一蝶の絵が2点(これと前期の吉原風俗図巻)みれたのは大きな収穫。

広重の浮世絵が後期に沢山みられる。期待していた“江戸高名会亭尽”の5点と“東海道五十三次”の15点。“東海道五十三次”の雨の描写で有名な“庄野 白雨”や雪景色の“蒲原 夜之雪”を“水の流れ”の表現のひとつとしてみるのも味わい深い。最後の章の“道成寺縁起絵巻”にはぎょっとする場面がでてくる。ストーカー女の執念がすごい。日本の絵巻にはファンタジーがいっぱ詰まっている。

次回の“屏風 日本の美展”(9/1~10/21)も楽しめそう。

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コメント

はじめまして。仙崖和尚の検索でたどり着きました。
法話で老人六歌仙を紹介し、リンクさせて頂きました。
ありがとうございました。

投稿: pokpok | 2007.08.05 18:27

to pokpokさん
はじめまして。書き込み有難うございます。
出光美術館で9/1からはじまる仙厓展を楽し
みにしています。これからもよろしくお願い
します。

投稿: いづつや | 2007.08.05 22:54

いづつや様のブログから、
さっそく応挙の‘大瀑布図’に飛んでみました。
ブログのお写真見ただけでも、感動しました。
4mもあるんですか?
本物は、どんなにか、すばらしい事しょう。
暑い夏にふさわしい ‘瀑布’の お話になりました。

さて、
三遊亭えん朝の菩提寺の
‘谷中の全生庵’に、毎年この時期

   ‘幽霊’
が、出るそうです。

応挙の有名な、‘幽霊、お雪さん’は、
バークレイ美術館にありますが、
全生庵のは、お雪さんにそっくりで、
‘贋物では、ない’ そうです。

詳しくは、ネットで、‘谷中 全生庵’で
お調べ、下さい。
住職さんと、思われる方が、動画で、
御説明下さってます。

八月は、各地で、幽霊画が、展示されますが、
‘えん朝、応挙、谷中、’ の全生庵とやらは、
白眉(コワ~イ) と、思います。


投稿: 花 | 2007.08.06 17:58

to 花さん
応挙の幽霊の絵は何点かあるようですね。
大阪であった回顧展でバークレー蔵の“お雪
の幻”をみました。

東北のお寺にある幽霊図のことを一度TVで
紹介してました。谷中のことは知りませんで
した。情報有難うございます。この絵は夜
暗いところでは見れませんね!

投稿: いづつや | 2007.08.07 00:34

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