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2007.08.03

秘蔵の名品 アートコレクション展 その二

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過去3回のアートコレクション展で大きな満足が得られたのは西洋絵画ではなく、日本画のほう。だから、今回も鏑木清方の“雨月物語”が見れれば、あとの作品はオマケでそれほど期待してなかった。

ところが、最初の西洋絵画(43点)にびっくりするようないい絵が4,5点あった。思わず、“ビッグネーム画家のこんないい絵が日本にあったの?!やはり日本は美術大国だな”と心のなかでつぶやいた。この展覧会はいつも図録はつくらず、300円の小さな図版入りのパンフレットを販売している。ここにサプライズの絵が全部載ってないので、一部しか画像をお見せできない。

上はチラシに使われているモディリアーニの“ポール・アレクサンドル博士の肖像”。昨年あたりからモディリアーニの作品によく出会う。女でも男でもアーモンド形の目した瞳がないあのモディリアーニ独特の人物像ばかり。この男性肖像画は体が細長い点はいつもの調子だが、顔はデフォルメされてなく、ごく普通の人物像。チラッとみえるうす青の袖と襟がアクセントとなって黒衣装を引き立て、立派な髭をたくわえた赤い顔には威厳が感じられる。

この絵以上にサプライズなのが藤田嗣治の“猫の教室”(個人蔵)。隣に飾ってある“力士と病児”(大日本印刷蔵)は昨年あった大回顧展(東近美)でみたが、これはなかった。教室の床や机の木肌の質感表現に驚かされるとともに、表情豊かにそして、ユーモアたっぷりに描かれた先生猫や生徒猫に釘付けになる。

生徒たちはちょっとすました顔の先生の話は聞いてなく、でれっとした猫もいれば、意地悪そうな目をした猫もいる。鳥獣戯画を連想させるこの魅力的な絵に遭遇したのは大きな喜びである。こんないい絵を個人が持っていて、回顧展にもでてこない。展覧会の名前の通り、まさに秘蔵の名品。見てのお楽しみ!

サプライズはまだ続く。シャガールの大きな絵“緑の太陽”にKOされた。シャガールが人生の後半に制作したものは日本の美術館もたくさん持っているが、絵の魅力はそれほど高くない。が、1968~71年に描かれたこの絵は太陽の緑、背景の橙色、馬に乗る女の赤と白の衣装など強い色調が鮮やかで、対象も細部までしっかり描かれている。これも千葉市美術館であったシャガール展に登場しなかった。一体誰が所蔵しているのだろうか?

日本人画家の洋画部門(36点)では、下の佐伯祐三の“パレットを持つ自画像”や萩須高徳の“リオン風景”、北村民次の“女医”に魅了された。佐伯祐三がこんなに惹きつけられる自画像を描いていたとは!今年のアートコレクション展は3つの部門がそれぞれ輝いていた。忘れられない鑑賞体験になりそう。

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コメント

はじめまして!
ネット逍遥してました。
偶然、‘富士曼荼羅’に着きました。

この時期、三井記念美術館で、鑑賞できるんですね。
富士~も、三井~も 好きデス。
10年位前に、
池袋の東武美術館(今は、閉館されました。)で、
はじめて、お会いしました。
感動した事を、思い出しました。
いづつや様のブログにたどり着いてよかったワ。
是非、日本橋にゆきたいです。

これからも、よろしく!

ワタシは、ルネッサンスガ好きデス。

投稿: 花 | 2007.08.04 01:06

to 花さん
はじめまして。書き込み有難うございます。
富士曼荼羅つながりでこれからもよろしくお願
いします。

この絵は前々から日本画の追っかけリストに
入っていたのですが、ようやく見れました。
期待通りの見ごたえのある絵でした。流石、
狩野元信といった感じですね。また、お気軽に
おこし下さい。

投稿: いづつや | 2007.08.04 18:33

あの絵が、狩野派の重鎮の絵とは、気がつきませんでした。
さっそく、本で、すこし調べてみました。
土佐派との、関係も面白そうですね。
偶然、東武美術館(確か、‘富士山の美’という、催し物展でした。)で、拝見できて、感動して作家も知らずに、覚えてましたの。

東武といえば根津美術館の ‘那智の瀧図’ もいいですね。

あと、‘鹿曼荼羅 ! ’(所在地ハ、私は、分かりません。東博ノ、オオキナ催ノ トキニ お逢い できることも~ 普通は、画集で~)

神道の、凄さ を、おしえてくれる三点 とおもいます。

ワタシは、お相撲も好きで、(これも、基本的に神事!)
これって、グウゼンかしら?

栃東様のフアンです。(涙)

今は、‘朝~~ ’の事で、カッカ(怒)してます。

投稿: 花 | 2007.08.05 17:29

to 花さん
現在、閉館中の根津美術館にある“那智の滝図”
をみていると心が洗われますね。当分見れませんが。

相撲がお好きですか!富士曼荼羅、ルネサンス、
相撲と好みが合いますね。琴光喜が大関になったの
を大変喜んでいます。

投稿: いづつや | 2007.08.05 22:49

その1に続きコメント入れさせていただきます。

「猫の教室」は回顧展にも出てこなかった秘中の作品だったんですね。
知らなかった!
あの絵すごかったですよね。
藤田の作品にもこんなのがあるのかと驚嘆しました。

私は今回初めてこのコレクション展を知り行ったのですが、過去の
展覧会と比べても特に名作ぞろいだったようで、本当にラッキーでした。
近々感想アップしますのでTBさせて下さい。

投稿: meme | 2007.08.11 20:27

to memeさん
藤田の“猫の教室”には参りました!こんないい絵
が日本にあったのですね。回顧展にはでないで、
ひょこっと出てくるのですね。

持ち主はこの絵が世間にあまり知られるのが嫌で
図版もNGなのでしょうか?で、目に焼付けました。

投稿: いづつや | 2007.08.12 00:28

こんばんは。
こういう展覧会がもっと企画されて、名品が続々と掘り出されるといいのになーと思えるほど、いい作品がたくさんありましたね。
《猫の教室》は猫好きの藤田とはいえ衝撃でした。

投稿: キリル | 2007.08.13 02:19

to キリルさん
藤田の“猫の教室”にはびっくりですね。こんな
いい絵が日本にちゃんとあるのですね。嬉しく
なると同時に、だったら回顧展に出品してくだ
さいよ言いたくなります。

今回はこの絵をはじめ、西洋絵画が充実してました
から、大満足でした。

投稿: いづつや | 2007.08.13 17:29

洋画も日本画も楽しめるひと夏のプレゼントという感じの
催し物ですね。
チャリティーですから、こちらもちょっといい気分で
楽しめます。
ただ、美術館のようにきちんとした照明ではないので
ガラスにいろいろ写りこんで、見難かったのが残念でした。

投稿: 一村雨 | 2007.08.14 07:42

to 一村雨さん
今回のアートコレクション展は3部門とも充実して
ましたね。日本画しか頭になかったのですが、
藤田の猫の教室やシャガールの大きな絵など思って
もみなかった名画にびっくり仰天でした。まさに
エポック的な鑑賞体験になりました。

投稿: いづつや | 2007.08.14 15:43

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