« スイカ | トップページ | 花鳥礼讃展の若冲 »

2007.08.13

千葉市美術館の若冲とその時代展

982
983
千葉市美術館で開催されている“若冲とその時代展”(8/7~9/17)は同時開催の“都市のフランス 自然のイギリス”と較べると軽い扱い。西洋絵画のチラシは色つきのちゃんとしたものなのに、若冲展のほうは画像がはっきりしない安っぽいぺらぺら紙。しかも“菊図”は左右が逆になっている。でも、予算がないからそのままにしているのだろう。

よその美術館からコンスタブルやターナーらの作品を借りて行う企画展だから、こちらをメインにして予算を厚くしているのだろうが、“若冲展”にでている作品がとてもいいだけに何か変だなと思ってしまう。いい絵を200円という申し訳ないような安い料金でみておいて、運営に注文をつけるのは気がひけるが、期待をこめて率直なところを述べてみたい。

いい作品が沢山あり、大きな満足度が得られた企画展の場合、鑑賞後は図録を眺めたり、チラシを見て、感動を体中に沁みこませたいのである。だが、図録がなかったり、貧弱なチラシではこれが叶わない。いつも願っているのは、全部の作品を収録してくれなくていいから1000円程度のミニ図録あるいはパンフレットを用意してくれないかということ。

図録製作はペイしないから、つくりたくないのはわかるが、これだけ若冲や芦雪など江戸絵画の人気が高くなり、千葉市美術館自身がその火付け役になっているのに、“予算の都合でこんなチラシしか出来ません、図録なんて無理々”では、ちょっとさみしいものがある。

出光美術館も2年くらい前は図録無しの企画展が多かったが、訪問する度にお願いしていたら、最近は1000~1500円のうすい図録を必ずつくってくれるようになった。リクエストは伝えておくものである。同じ作戦をここでもとっているが、果たして応えてくれるだろうか?

作品は全部で59点ある。お目当ての若冲は8点。応挙3点、芦雪3点、蕭白3点。流石、千葉市美、グッとくるいい作品が揃っている。この中の若冲の“鸚鵡図”、“寿老人・孔雀・菊図”、“月夜白梅図”、応挙の“秋月雪峡図”、芦雪の“松竹梅図”は05年10月にあった“江戸絵画のたのしみ展”(拙ブログ05/11/16)でお目にかかった。

芦雪の絵のなかではお気に入りの一枚、“花鳥蟲獣図巻”(07/1/25)はこれで3回目の対面だが、ここで見るのははじめて。小犬、スズメ、赤羽インコ、蝶、蜘蛛、みんな愛くるしい。これは館自慢の絵。京都の大回顧展以来の対面となる蕭白の“虎渓三笑図”にも釘付けになる。応挙の3点は“保津川図”のところでふれた。

さて、わが若冲である。はじめてみるのは“旭日松鶴図”、“雷神図”、上の“海老図”、下の“若冲画帖”。びっくりするのが“雷神図”。雷神の体はどうなっているの?逆さになっているようなのだが、最後まで雷神のフォルムが頭のなかに入らなかった。“海老図”は若冲得意の“筋目描”により海老の角や胴、尻尾に白い筋を残し、量感たっぷりに描かれている。

“若冲画帖”は拓版の技法を使った版画集。“蓮池に蛙”は墨絵とは違い白黒が反転した図柄のなかでは人気の一枚。白と黒のコントラストに魅了される。江戸琳派の酒井抱一は若冲の画帖が気に入ったとみえて、11点の図柄を模写し色をつけている。この“絵手鑑”は静嘉堂文庫が所蔵しており、2年前開かれた同館の“琳派展”で夢中になって見たのを思い出した。

この企画展が優れているのは応挙、若冲らビッグネームの絵が楽しめるだけでなく、彼らの画法に大きな影響を与えた沈南蘋や宋紫石の絵もみせてくれるところ。見てのお楽しみ!

|

« スイカ | トップページ | 花鳥礼讃展の若冲 »

コメント

千葉在住です。若冲展に見に行くのでリクエストしてきますネ。ちなみに今まで鑑賞した若冲の作品とまた違った作品を見れそうで嬉しいです。プライズコレクションなどの絢爛豪華なものもスキですが、こういう素朴でセンスのいい作品もいいなぁと写真を見て思いました♪

投稿: maki | 2007.08.15 01:27

図録がないのは、いづつやさんがおっしゃられるように
ちょっと残念でした。
それでも、すべての作品の解説を電子メールで送ってもらえる
サービスがあって、さっそく手元に届きました。
このサービスは、他の美術館にないもので嬉しいです。

投稿: 一村雨 | 2007.08.15 07:23

to makiさん
はじめまして。書き込み有難うございます。
千葉市美は若冲を何点も所蔵しているのですね。
今回の7点はどれも惹きつけられます。

精緻な花弁描写あり、ハットするフォルムあり、
新技法の筋目描や拓版による版画と若冲の多彩
な技がつまってますから、若冲ファンとしては
たまらないです。

ここに若冲絵画の代名詞ともいえる鶏がいると、
もう完璧でしたが。海老や菊の筋目描をじっくり
時間をかけてみました。

これからも宜しくおねがいします。また、気軽
におこしください。

投稿: いづつや | 2007.08.15 15:24

to 一村雨さん
案内係の人が作品のメールサービスのことを
説明してくれました。こういう工夫をしている
ので、いずれパンフレットも製作してくれるで
しょうか?

この企画展は05年2月にあった静岡県美の
“若冲と京の画家たち”と較べると、若冲は少し
負ける程度ですが、ほかの応挙、芦雪、池大雅
などは遜色のない、逆に上回っているかもしれ
ない本当にいい作品が展示されてます。

ですから、こちらをメインにしてミニ図録をつく
ってくれたほうがよほど千葉市美の好感度が上が
ったのではないかと思ってます。

浮世絵や江戸絵画は千葉市美がすごいと
いうのが美術愛好家に浸透しているのですから、
びっくりするほどでもないコンスタブルやターナ
ーの展示にお金をかけるのはもったいないです。
展覧会の企画にも選択と集中が必要だと思う
のですが。。

投稿: いづつや | 2007.08.15 15:54

こんばんは。
この展示は所蔵品展という位置付け上、予算が回らなかった感じですね。カラーチラシ(?)に載っている学芸員の方の愛情溢れる解説文も、単色刷りのチラシではなくなっていて残念。
メールサービスは、企画スタッフのせめてもの意地という気がします。

投稿: mizdesign | 2007.08.23 00:16

to mizdesignさん
ここは所蔵品の展示だと200円しか料金をとり
ませんね。一方、企画展のほうは800円で、
ちゃんとしたチラシもつくり予算もかけてます。

どちらが入館者の心をとらえるでしょうか?
企画展はパスなのですが、チラシに載っている作品
をみるかぎり、若冲展のほうが断然いいような気
がします。

静岡県美がやったように、若冲や応挙の作品をよそ
から何点か借りてきて、料金も800円にして企画展
として開催したほうが絶対受けますね。これだと
ミニ図録もつくれるのではないでしょうか。

千葉市美も江戸絵画を深堀りして、館としての特徴
を前面にだしたほうがいいと思います。いまどき、
国内にあるアベレージのコンスタブルやターナー
でもないだろうという感じなのですが。。

投稿: いづつや | 2007.08.23 12:55

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 千葉市美術館の若冲とその時代展:

» 「若冲とその時代」展 [弐代目・青い日記帳 ]
千葉市美術館で開催中の「若冲とその時代」展に行ってきました。 展覧会の構成は以下の通り。 ・イントロダクション ・第1部 若冲の時代 みやこの画家たち ・第2部 若冲の時代のハイカラ趣味 南蘋派の画家たち ・第3部 そして若冲 色に墨に浸る 出品リストを単純に数えてみると作品数ご覧の通り。 ・イントロ1点 ・第1部…22点 ・第2部…27点  ・第3部…9点  これだけ揃っていて200円は安過ぎ。 交通費考えてもコストパフォーマンスは他と比べ群を抜いていま... [続きを読む]

受信: 2007.08.16 01:39

« スイカ | トップページ | 花鳥礼讃展の若冲 »