« 日本橋三越の北大路魯山人展 | トップページ | 山口晃展 今度は武者絵だ! »

2007.08.19

染付・呉須・祥瑞 ~青と白のやきもの~

993
994
現在、畠山記念館で行われている“染付・呉須・祥瑞展”(8/14~9/17)にすばらしい永楽青花が展示されている(展示替え無し)。

それは上の“染付龍濤文天球瓶”(重文)。“やきものは形”とよく言われるが、このフラスコ形の大瓶をみていると楽しくなる。そして、息を飲むのが表面に施された文様。皇帝の象徴である龍が白抜きで大きく描かれ、背景は発色のいい濃い藍色の波濤文で埋め尽くされている。

元時代の14世紀前半に誕生した青花(日本では染付)で一番評価が高いのは明の永楽期(1403~24)と宣徳期(1426~35)の官窯でやかれたもの。これはその永楽期につくられた作品。永楽特有のつややかな白磁の肌合いとイスラム圏から輸入された上質のコバルト顔料が発色した深い青に胸がときめく。

この展覧会はパスしてもいいかなと半分思っていたが、訪問して本当によかった。チラシに載っているこの龍が気になってしょうがなかったのは龍が呼んでいたからだろう。展覧会は一つでも気になる作品があるときは出かけるに限る。

この龍の瓶は展覧会のタイトルに直接関係するやきものではなく、染付ということで特別展示されている。現物を見て、この特別という意味がよくわかった。これは“世界やきもの史”(美術出版社、99年5月)にも掲載されほどの青花の優品なのである。これまで見た同様の龍の作品、例えば、大阪の東洋陶磁美術館にある同じ龍と波濤の文様の扁壺や出光美がもっている形、模様が全く同じ天球瓶などを思い起こしてみても、これほどの感動は得られなかった。とにかくここの龍は図抜けていい。

感動のやきものは龍だけではなく、今回のテーマ“染付・呉須・祥瑞(しょんずい)”の28点のなかにもぐっと惹きつけられるのがあった。これらは明時代末期の崇禎年間
(1628~44)に、景徳鎮の民窯(染付、祥瑞)や漳州窯(呉須)で日本の茶人向けにつくられた水指、花入、香合、食器。大きなものはないが、絵付けのハットする模様や青の輝きに気分が段々ハイになった。

下はコバルトが鮮やかに発色した“祥瑞砂金袋水指”。祥瑞は器面を文様で埋め尽くすのが特徴。胴には丸文が8つあり、そこに山水図や青海波、捻文などの幾何学的な文様がリズミカルに描かれている。茶人たちはこういうモダンな意匠の茶陶をつかっていたのだから、彼らの美意識は相当高い。そして、鍋島のデザイン感覚を彷彿とさせる“祥瑞捻鉢”、“横瓜・立瓜香合”にも魅了された。“呉須”ではこれまでみたことのない十二角を面取りした水指が収穫だった。

作品の数は少ないが、タイトルの副題~青と白のやきもの~が満喫できる良質の展覧会であった。

|

« 日本橋三越の北大路魯山人展 | トップページ | 山口晃展 今度は武者絵だ! »

コメント

祥瑞!
私は、祥瑞 が、好きです。
あまり、区別のつけられない‘目’ですが、
イイナと思うとションズイです。
畠山記念館には、行った事はないのですが、
さすが、良いものを、所蔵してますね。
この祥瑞の透明感が、とても イイです。
いづつや様のお写真で、楽しませていただいてます。

投稿: 花 | 2007.08.19 20:59

to 花さん
畠山記念館のやきものコレクションはなかなか
のものです。青花の見所はなんといっても青
の発色具合ですが、濃い青のものが上の2点を
はじめいくつもありました。流石という感じです。

投稿: いづつや | 2007.08.20 10:23

畠山記念館ト イエバ

般若苑の ‘その後(あと)’ ~は~?

三島の‘宴のあと’を、思い出します。

‘花’には、個人的に、千總 のお饅頭!

投稿: 花 | 2007.08.20 23:05

to 花さん
畠山記念館では蚊に刺されるのではないかといつも
心配してます。で、門の所から館の入り口までは足早
に進みます。

館のまわりの雰囲気が似ている目白の永青文庫で
蚊にやられることが多いものですから、つい過剰反応
になるのです。五島美術館の庭を歩くときはそんな
ことはないのですが。

投稿: いづつや | 2007.08.21 10:53

蚊の音には

諸行無常の響きあり
 
       ‘花’

ざぶとん!

投稿: 花 | 2007.08.21 22:28

to 花さん
お寺の坊さんは座禅の修行中に蚊にさされても
“諸行無常の響きあり”でしょうか。俗人の私に
は蚊の音は恐怖心さえ覚える嫌な音です。

投稿: いづつや | 2007.08.22 10:24

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 染付・呉須・祥瑞 ~青と白のやきもの~:

« 日本橋三越の北大路魯山人展 | トップページ | 山口晃展 今度は武者絵だ! »