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2007.08.14

花鳥礼讃展の若冲

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泉屋博古館分館で開かれている“花鳥礼讃 日本・中国のかたちと心展”(8/4~
9/24)は若冲の画集(02年11月、京博編、小学館)に載っている絵が出品されるので、開幕を楽しみにしていた。上がその絵、“海棠目白図(かいどうめじろず)”。描かれた時期はあの“動植綵絵”(1758年から10年間)の2,3年前だから、初期の作品である。

この絵と似た作品がいくつもあるのですこし整理してみた。これは静岡県美であった“若冲と京の画家たち展”(05年2月)にでた“花卉双鶴図”とほとんど同じ構図で描かれている。そして、この2点の1,2年後に制作されたのが昨年のバークコレクション展に出品された“月下白梅図”や別ヴァージョンの下の“月夜白梅図”(現在、千葉市美の若冲展に展示中)。

“動植綵絵”の前に描かれたこれらの絵はさらに完成度を上げ、“動植綵絵”の中では最初の頃に描かれた“梅花皓月図”や“梅花小禽図”(拙ブログ06/6/18)へと進化していく。だから、“海棠目白図”は若冲の最高傑作、“動植綵絵”の前奏曲にあたる絵といえる。

視線が集中するのが海棠の枝に体をびっちりくっつけてとまっているメジロ。ここに9羽おり、その下と上に1羽ずつで合計11羽。ぷくっと出た腹はいつもの若冲の白。海棠の白い花びらと小さな黄色の点々は昨年、三の丸で酔いしれたあの若冲の彩色美と較べると少し色がほんわかしている感じだが、香りはすでに若冲ワールド。2羽の鶏と海棠の枝に鶯や極楽鳥がいる“花卉双鶏図”よりこの“海棠目白図”のほうに魅了される。

今年は若冲の絵の仕上げの年になった。相国寺では“鹿苑寺大書院障壁画”、今開催中の東芸大美の“金刀比羅 書院の美展”では奥書院の“花丸図”と念願の絵に対面した。で、若冲の追っかけも一段落。あとはららぽーと豊洲にある“UKIYO-e TOKYO”(平木浮世絵財団)が所蔵する“花鳥版画”(06/8/19)が展示されるのをじっと待つだけ。

“花鳥礼讃展”にでているのは若冲1点プラス36点。今回の見所の一つが沈南蘋(ちんなんぴん、清人)の“雪中遊兎図”。この絵をみると、若冲は曲がった木の枝の描き方を沈南蘋から学んだことがよくわかる。また、狩野常信の“白鷹補鴨図”、呉春の“蔬菜図巻”、応挙の“双鯉図”に足がとまった。若冲の絵と前から見たかった沈南蘋の代表作がみれたので言うことなし。

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コメント

芸大美術館の「金比羅宮書院の美 応挙・若冲・岩岱」を見てきました。暑い中でしたが多数の見学者があり、私は応挙・岩岱の大胆さと、若冲の繊細さをみた感があります。行くまでは、3人が同時期に書院のふすまや壁面を割り当てて依頼されて競ったものと考えていましたら、時代にズレがあって、前者の作品を参考にしつつ、それを超えるものを書こうとしていたのかと理解しました。
 その応挙では、サントリー美術館の「青楓瀑布図」で涼しさを感じてきましたが、庭に滝のない寺に住む尊敬する僧に贈った4mの「瀑布図」の大きいや、「保津川図屏風」の迫力には、負けていますか!?
いづつやさんの記事でさらに興味がわきました。
 群鶏の羽の細密でブームが続いてきた若冲の、繊細な面を金比羅「花丸図」で知りましたが、まだまだ関心を持ち続けて行けそうです。

投稿: 加藤雅喜 | 2007.08.15 13:11

to 加藤雅喜さん
はじめまして。書き込み有難うございます。
琴平町へ行かずに若冲の“花丸図”が見れた
ことを大変喜んでいます。本当に有難い企画
です。

この絵を見ましたから若冲は一応済みマーク
つきなのですが、若冲ブームは当分おさまり
そうもなく、またどこかの美術館が若冲の
いい絵をみせてくれのではと期待してます。

応挙の瀑布図ですが、水流の力強さ、迫力は
墨一色の“大瀑布図”が一番すごいですね。
サントリーの“青楓瀑布図”ははじめてみたの
ですが、感動しました。瀑布の激しさを映す
写実性と青楓の象徴的な描写が見事に溶
け合ったすばらしい絵ですね。
“保津川図”の右隻の描かれた瀑布は長さが
短いこともあり、水しぶきが飛び散る感じで
はありません。

これからもよろしくお願いします。また、気軽
におこしください。

投稿: いづつや | 2007.08.15 16:35

いづつやさん、こんばんは。
私も千葉市美と泉屋博古館に行ってきました。若冲「月夜白梅図」にはバークコレクションの垂直に立ち上る意志がまだ見えないのが面白いと思いました。「海棠目白図」は目白のそれぞれの仕草が本当に可愛かったです!「動植綵絵」に先行する作品は技巧に走りすぎず、動植物に対する愛情が素直に感じられました。あ、もちろん、目の眩むような「動植綵絵」傑作シリーズは別格ですけれどもね。

ところで、実は私も尚蔵館所蔵の丸山応挙「群獣図屏風」を狙っていました。正面向きの象が若冲と似ていて興味深いですよね。それが仙台で公開されたとはつゆ知らず、とっても悔しいです(涙)

投稿: 花耀亭 | 2007.08.22 02:05

to 花耀亭さん
“海棠目白図”と“月夜梅図”は木の配置や枝ぶり
がよく似てますね。どちらもまだ余白の部分が多く、
木の描写や画面の構成は沈南蘋らの中国画の影響が
強くみられます。

これと較べると、バークコレクションの“月下白梅
図”や“動植綵絵の梅花皓月図/梅花小禽図”では、
枝は草月流のように異様とも思えるくらいの曲がり
方をしていますから、もう完全に若冲流ですね。

応挙の“群獣図”に花耀亭さんも目をつけられてま
したか!昨年、仙台に出品されたのですよ。可愛い
象をみたかったのですが。。辛抱づよく次回の展示
を待ちましょう。

okiさんから教えていただいた来週のアエラの若冲
特集が楽しみですね!

投稿: いづつや | 2007.08.22 11:19

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