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2007.07.30

日展100年展 その一

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国立新美術館の“日展100年展”は注目の展覧会。今年は日展の前身である文展(文部省美術展覧会)が1907年にはじまってから100年目にあたる。

こういう節目の年は美術館の学芸員は俄然忙しくなる。由緒ある文展、帝展、新文展、日展に過去出品され、評判をとった名画や名品をできるだけ多く集めてこなければならない。観る人が立ち尽くすような作品を集めてこその100年展。学芸員の腕の見せ所である。

総出品数は日本画、洋画、工芸、書から292点。100年の重みが目一杯感ぜられる質の高い作品のオンパレード。全部見れれば最高だが、そううまくはいかない。全国4つの会場全部に展示されるのは71点で、ほかは上手にばらされて展示される。
・国立新美術館:7/25~9/3 
・宮城県美術館:9/23~11/4 
・広島県立美術館:08/2/19~3/30 
・富山県立近代美術館:4/12~5/18 
これだけいい作品があると感想は2回にならざるをえない。まずは洋画と彫刻から。

文展は官展だから、洋画の場合、黒田清輝や藤島武二グループの作品が中心で、青木繁、萬鉄五郎、安井曽太郎といったビッグネームの絵はない。感激度の高いのが3点あった。再会した2点といつか見てみたいと思っていた1点。

久しぶりに見たのが大下藤次郎の水彩画の傑作、“穂高山の麓”(1907、東近美)。ここに描かれた上高地は一度行ったことがあるが、今のような暑い時期に見るにはうってつけの絵である。水彩画はとっつきやすく、こういう風景は簡単に描けそうな感じだが、緑をこれほど明るくすがすがしく表現できるのは水彩画の先駆者、木下ならではの才能であろう。

上の山下新太郎の“読書の後”(1908)は昨年8月、泉屋博古館分館で見て以来、ぞっこん参っている絵。もちろんMy好きな女性画に入っている。東近美の平常展でよくみる本を読む女性の後ろ姿を描いた“窓際”やブリジストン美にある“読書”もいいが、逆光があたり顔の白さが一段と美しく感じられるこの女性の魅力にはかなわない。

下の中村つねの“少女”(中村屋)と対面したのは大きな喜び。1914年(大正3)の文展で三等賞を受賞し、当時話題になったこの絵が出ているとは思ってもいなかった。モデルは中村つねが愛した新宿中村屋の創業者、相馬夫妻の娘俊子。

絵具をうすくつけた滑らかな筆致や赤が多いこと、そして大きな腕などはルノワールの絵を見ているようである。中村は俊子の裸婦像、“少女裸婦”(愛知県美)を描いているが、なかなか会えない。でも、ミューズが“少女”に続いて見せてくれるかもしれない。信じる者は救われる!

彫刻では、広島にいるとき県立美で何度も見た平櫛田中の“落葉”や富永朝堂の“五比賣命(いつひめのみこと)”を熱心に見た。

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コメント

「観る人が立ち尽くすような作品を集めてこその100年展」
本当におっしゃられるとおりですね。
質の高い作品ばかりで、堪能しました。
私の「My好きな女性画」に石橋和訓の「美人読詩」が
加わりました。

投稿: 一村雨 | 2007.07.31 06:17

中村彝の「少女裸像」は仰る通り、愛知県美の常設に
よく出展されています。

8/26までは確実に展示されています。

何かの折に、名古屋までいらっしゃることがあれば、
是非お立ち寄り下さいませ。

投稿: meme | 2007.07.31 22:11

to 一村雨さん
図録に載っている作品をみますと、文展がはじまって
100年、この間、名画が沢山生まれたんだなとつく
づく思います。

“美人読詩”は一度島根県美でみたことがありますが、
肌の白さにハッとしますね。日本人は絵の上手な民族
ですね。

投稿: いづつや | 2007.07.31 23:20

to memeさん
“少女像”は2年前、愛知県美に行ったときは生憎
展示されてませんでした。情報有難うございます。
この絵をみないと中村つねを見たことになりません
から、なんとか目におさめようと思ってます。

投稿: いづつや | 2007.07.31 23:25

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