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2007.07.03

川端龍子の裸婦像

913大田区にある川端龍子の絵を常設展示する“龍子記念館”は昨年あたりから年2回興行。

料金300円で大作画を中心に20点あまりをみることができる。後半(7/1~
12/21)の切り口は“龍子が生み出す碧(あお)の世界”で、龍子が生涯をかけて追求した“水”の表現に焦点を当てている。

どういうわけか最近、“水の情景展”(横浜美術館)、“水と生きる”(サントリー美術館)など“水”をキーワードにする展覧会が多い。ここの“水”もいろいろある。普通サイズの風景画では、“水車”、“千住大橋”、“裏見の滝”。入り口にすぐ近くに飾ってある大きな絵“渦潮”(拙ブログ05/2/26)とは2度目の対面。

昨年後半あたりからここの所蔵品も2ランド目になり、前回とは別の発見があったり、前のイメージがさらに強化されたりする。これは見れば見るほど、シュルレアリスムのダブルイメージを表現した傑作に思えてきた。コピーがお得意の日本のシュルレアリストの絵より、目のまわりが金泥で彩られた白龍の姿と白波が重なるこの絵のほうが断然、シュールで想像力を掻き立てられる。

右の“翡翠(ひすい)”をみていると、龍子の描く対象とかモティーフのことが頭にあれこれ浮かんできた。川端龍子という画家ははじめ洋画をやり、途中から日本画に転じたから、洋画の基本である裸婦像をよく描く。これも大作で、右は右隻の女性たちが温泉の中に浸っている場面。湯面のゆらぎで水のなかにある裸身は異様に曲がったフォルムになっている。

小倉遊亀の作品で二人の少女が入浴しているところを描いた“浴女 その一”(東近美)という名画があるが、遊亀が湯船の底のタイルに凹凸をつけ、ゆらゆら感を表現したのに対し、龍子は女性の体そのものを強くデフォルメさせて湯面のゆらぎを描いている。

今回、水と密接な関係にある生き物の絵がいくつかある。その一つが河童。龍子は小川芋銭同様、河童描きの名手。美人コンテスト優勝者の“ミス・カッパ”、“酒房キウリ”、“河童青春・井守/水芭蕉”の4点はいずれも面白い河童の絵。時事問題に対する鋭い感度をもっていた龍子は河童の姿を借りて人間社会の世相を表現した。酒場の情景や若者の恋の悩みなどをユーモラスに描いた作品をみると、つい絵の中の河童に感情移入したくなる。

作品の数は少ないが、大きな絵からはほかの作家にないエネルギーというか力がこんこんとでているので、いつも気分が高揚する。今年の龍子鑑賞は早いがこれで終了。

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コメント

龍子記念館には主に桜の時期に出かけます。
龍子のアトリエも好きで、行くたび何かしら新しい発見があり、とても好きです。
龍子の裸婦はボリュームがあり、特に群像になるとこちらも気合が入ります。ここのではなく山種所蔵ですが、『真珠』という裸婦群像は本当に見事な作品です。

河童は芋銭、龍子それからわたしは水木しげると清水昆を思い出します♪

投稿: 遊行七恵 | 2007.07.03 23:13

to 遊行七恵さん
ご指摘の通りボリュームのある裸婦は大画面のなか
ではさらに存在感が増しますね。同じく大作の山種
の“真珠”や“山葡萄”もお気に入りです。

手元に水木しげるの本はないのですが、生地の境港
市にある“水木しげるロード”で河童の彫刻を見た
ことがあります。なぜか惹きつけられますね。清水昆
は全く知りません。

投稿: いづつや | 2007.07.04 14:28

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