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2007.07.13

東博平常展の名品

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ルーチンとなっている東博平常展鑑賞で今回、目指したのは国宝室、仏教の美術、禅と水墨画、そして1階の近代日本画。

国宝室の“普賢菩薩像”と再度の対面(7/29までの展示)。いつもドキッとするのが普賢菩薩が乗っている白象の目。狐のような目をしている。普賢菩薩の着衣に施された装飾的な金箔模様や白象の体に上から垂れる飾りは時間の経過で鮮明さが落ちているが、描かれた12世紀、平安時代のころは、まばゆほどに輝いていたのだろう。

隣の部屋に飾ってある“法華経(久能寺経)”(国宝)は“平家納経”とならぶ装飾経の名品。見返しと天地に金銀の小切箔が撒かれ、経文が書かれた料紙一面に雲母刷りの波の文様が描かれている。あまりの美しさに声がでない。ここと次の禅と水墨画にある作品は8/5までの展示。

前回みたのがいつだったか思い出せないが、上の“一休和尚像“(重文)は過去何回か見ている。古い時代の人物表現で、これほど生々しい印象をもつ絵はない。ぼさぼさ頭には白髪が混じり、あまり元気とはいえない表情。こちらの悩みごとを聞いてもらっていたら、途中から逆に和尚の愚痴の聞き役になるような感じである。大徳寺派の僧、一休宗純(1394~1481)を描いた絵はいくつかあるが、どの肖像画が実際の和尚に近いのか?これは誰もわからないが、一休和尚は奇行の癖があったというから、この絵のような人間だったのかもしれない。

下は久しぶりにみた雪村の“鷹山水図屏風”の右隻(部分)。ここには雪村のいい絵が何点かある(拙ブログ05/8/4)。これはその一枚。右隻左隻に3羽の大きな鷹が描かれている。岩にとまり、下にいる兎を狙っている鷹、必死に逃げる鴨を捕らえる寸前の鷹、そして左端で柏にとまる鷹。このうち、岩にとまっている鷹にハットした。この鷹は右に描かれた滝に較べてアンバランスに大きいのである。すぐに似たような構図で描かれた鳥の絵を連想した。

それは昨年、奈良県美でみた長澤芦雪の“百鳥図”に登場する大鷲(06/10/24)。雪村は室町時代の後期、1500年前後から1580年代前半まで生きた絵師だから、霊感をうけたとすればずっと後の芦雪の方。芦雪はこの絵を知っていたのだろうか?それとも全く偶然に、二人は同じような構図で鷹と大鷲を描いたのか?こういう発見をすると、もっと鷹の絵をみたくなる。

1階の近代日本画で目を楽しませてくれたのは速水御舟の“紙すき場”(05/12/15)と小林古径の“住吉詣”。ここの作品は7/22までの展示。いつもながら充実した平常展であった。

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コメント

>“一休和尚像“(重文)
どこかで見たことのある顔だなーと思ったら、
そうか、
くたびれた林家木久蔵に似てるんだ・・・。

投稿: 菊花 | 2007.07.14 15:23

こんにちは
いきなり一休でアハハでした。

>こちらの悩みごとを聞いてもらっていたら、途中から逆に和尚の愚痴の聞き役になるような感じである。

笑えます~~~いづつやさん、おちゃめ。

菊花さんは「くたびれた林家木久蔵」ですか。
わたしは長淵剛にそっくりだ、と前々から思っているのですが(笑)。

'89に東博で一休展があり、そのときに初めて見ました。
丁度長渕にハマッてた頃なので、「うーむ」でした。

今日は台風の影響で涼しいのですが、暑い日に水墨画の山水画、特に滝など見ると気持ちいいですね。

投稿: 遊行七恵 | 2007.07.14 16:51

to 菊花さん
一休和尚がくたびれた林家木久蔵ですか、そう
いえばですね。隣の方は昨年かあたりに亡くなっ
た漫画家の加藤芳郎に似ていると言ってます。

投稿: いづつや | 2007.07.15 07:53

to 遊行七恵さん
一休和尚の顔はちょと馬面ですから、若いころは
長淵剛の感じだったかもしれませんね。この肖像画
は本当に親しみを覚えますね。信長や秀吉の本当の
顔を描いた絵はないのに、一休和尚のはちゃんと
あるのですから不思議です。

雪村の描く滝はほわっとしててボリューム感たっぷ
りですね。

投稿: いづつや | 2007.07.15 08:07

おはようございます。
長渕木久蔵のおじいちゃん、加藤芳郎に私もお目にかかってきました。
(↑菊花さんと、遊行さんとのやりとりが受けたので、
参加させて頂きました。笑)
この方が天皇家の血を引いているとは、思えませんよねぇ。

本当に東博はいつ行っても楽しい発見だらけです。
仏教美術が充実してました。
禅展が控えているせいかもしれませんね。

投稿: あべまつ | 2007.07.15 10:47

to あべまつさん
仏教美術は仰るようにいいものがでてましたね。
入り口すぐのところにあった“愛染明王座像”
(重文、神護寺)のフォルム、“地蔵菩薩霊験記
絵巻”の巧みな人物表現を夢中になってみました。

一休和尚はこんな元気のない顔をしてても、天皇家
の血が流れていたのですね。この顔をみて似ている
人をいろいろ思い浮かべるというのは、この肖像画が
まぎれもない日本人の姿を映しているからでしょうね。

投稿: いづつや | 2007.07.15 18:00

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