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2007.07.15

サントリー美術館の水と生きる展 その二

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作品の展示替えがあったサントリー美術館の“水と生きる展”(中期:7/11~30)へ再度出かけた。前期の作品(拙ブログ6/27)をみてて予想外によかったのが“潤 水と生きる”に飾ってある浮世絵や風俗画。開館記念展の第一弾“日本を祝う”でみた遊楽図屏風10点のなかには、人物の描き方がうまくなかったり、コンデションがよくないのもあったが、この展覧会でお目にかかった名所や風俗を活写した図巻や屏風はいずれも質のいいものばかり。

中期であらたにでてきたのは三保の松原と厳島神社がセットになった屏風、木々の緑、斜めの構図で平行に並ぶ大社や店屋、そして金泥の盛り上がりをみせる金雲に目を奪われる“四天王寺住吉大社図屏風”、琵琶湖に沢山の舟が浮かぶ“近江名所図屏風”。会期中出ずっぱりの“隅田川名所図巻”は場面が替わっていた。

一点々単眼鏡を使って、大勢の人が集まっているところや、宴会の場面をじっくりみたが、男女の表情や体の動きはパターン化した描写ではなく、細かいしぐさまでしっかりとらえている。後期(8/1~19)の期待はまだみたことのない英一蝶の“田園風俗図屏風”と“京大阪図屏風”。

上は歌川広重の“江戸高名会亭尽”シリーズの一枚、“両国 青柳”。サントリー美術館にこの浮世絵があるとは思ってもみなかった。これから客を乗せて舟遊びに出かけるのだろう。二人の芸者が屋根舟にのりこみ、女が料理を運び込んでいる。女の後ろには“青柳”の看板がみえる。“青柳”は両国にあった高級料理屋。大川沿いにあって、裏口に桟橋が設けてあり、ここから舟遊びができるようになっている。川柳にも“青柳は花月雪と花火の夜”と詠われ、花見、月見、雪見、納涼花火見物に格好の料理屋であった。

話しが横道にそれるが、接待や宴会でこの店を利用する常連客は上級武士やはぶりのいい商人たち。今、お中元の真っ最中だが、こういう高級料理屋は“料理切手”というものを売っていた。いわゆる“お食事券”で、盆の附届、あるいは賄賂としてこれが使われた。江戸ではもうこのころ商品券があり、ほかにも酒切手、鰻切手、饅頭切手、羊羹切手などが届けられたという。

前期、流水模様が施された涼しげな小袖に心を打たれたが、今回感動したのは紫の地に波文、鷺、網干模様が描かれた“網干葦鷺模様単衣”。“日本を祝う”のときより沢山でているのが鮮やかな赤、黄色、うす青に魅了される“紅型”染色。強い色調で自由奔放の描かれた花模様や流水文の紅型裂にほほが緩みぱなし。下はとくに惹きつけられた模様。余白をたっぷりとり、黄色の地に流水、菖蒲、蝶を浮かび上がらせる構成にしびれた。

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