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2007.07.14

東博浮世絵エンターテイメント!

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東博でみる浮世絵はいつも楽しいので、勝手に“東博浮世絵エンターテイメント!”と呼んでいる。現在でている作品は7/3~7/29の展示。このなかに長らく待っていた歌麿の代表作の一枚が入っているから、浮世絵コーナーに着く前から興奮気味。

やっとみれた“鮑取り”は三枚続きのワイド画面で、上の二枚は左端と真ん中。真ん中は海女が鮑を取り終えて、岩の上に座って髪を整えながら、子供に乳をやっている場面。母と子の描き方は“栗を持つ山姥と金太郎”と似ており、海女の馬面風の顔や乱れた髪も山姥とほとんど同じ。左では丸顔で小柄な女が指差している魚に目がすっといく。海女が海に浸した足の先に魚を何匹も描き、見る者に海辺の情景をイメージさせるところが憎いばかりに上手い。豊かな感性をもった歌麿ならではの表現方法である。

“鮑取り”の隣にあった“遊女道中図扇面”も面白い。扇子に描かれた1本の傘になかにどうしてこんなに人が入っているのか?よく見ると女が5人、男が1人いる。サプライズの扇子絵だった。

鈴木春信の“海女”を見たのは二度目。これはあぶな絵の類。見てのお楽しみ。また、“笹森お仙と団扇売”の背景にある奥行きをつくる3本の柱と右の鮮やかなえんじ色にも釘付けになった。鳥文斎栄之の“風流五節句・七夕”や歌川国貞の“端唄の意二編・はつ秋や”は七夕の季節にぴったりの絵。ここの浮世絵展示のいいところは季節の移り変わりにあわせて作品をセレクトしていること。これはほかでは味わえない浮世絵エンターテイメント。

北斎と広重はお馴染みの“富嶽三十六景”(3点)と“東海道五十三次”(2点)がある。三十六景のうち“常州牛場”と“遠江山中”は似たような構図の絵で、対角線上いっぱいに描かれる船や材木が北斎特有の造形美を生み出している。

下の絵は広重の“平塚”。S字になった街道を手前に走ってくる飛脚の動感描写にいつも魅せられる。同時に感心させられるのが人物のペアリング。手前では、飛脚と乗り手がいないので駕籠を横にして運んでいる駕籠かきを対面させ、そして、中景の小さな橋では二人の旅人がこれからすれ違うように描かれている。これで見る者はここは仕事あるいは私用で人々が行き交う街道であることを実感する。広重の風景画が飛ぶように売れたのは画面のなかに感情移入できる場面を沢山みせてくれたからであろう。

広重は大胆な構図にぎょっとする“江戸名所百景・深川萬年橋”もでている。前景に大きく描かれた桶に吊るされた亀は一生忘れることはないだろう。マネ、モネ、ドガ、ロートレック、ゴッホもこの絵に度肝をぬかれたにちがいない。

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コメント

春信の海女と歌麿の鮑取り。
私もあぶな絵の世界を堪能しました。
本当に東博は目を離せませんですね。

投稿: 一村雨 | 2007.07.15 23:17

to 一村雨さん
歌麿の鮑取りに大満足でした。待てば海路の日和
ありです。

あぶな絵も展示できるのはこれくらいまででしょうね。着物
を脱ぎたくなる夏限定で。でも、春信にしろ、歌麿にしろ
毎年展示して欲しいですね。

投稿: いづつや | 2007.07.16 14:50

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