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2007.07.08

棟方志功の華厳譜

918鎌倉にある棟方板画美術館の展示は龍子記念館同様、年2回のみ。

ここを定期的に訪問するようになってもう3年になる。だから、館の図録に載っている作品でまだお目にかかってないのが少なくなり、二回り目のものが出てきた。

拙ブログ05/9/5で紹介した“飛神の柵”は何回見ても魅せられる。今回の12点にはこの絵のほかにもお馴染みの代表作がある。初期の作品、“華厳譜”と“釈迦十大弟子”。これは豪華な展示である(12/16まで。ただし、7/31~8/21は夏期休館)。

棟方志功は展覧会に出品した“大和し美し”が審査員だった柳宗悦、濱田庄司の目に偶然入ったのがきっかけになり、あらたな版画の道を進むことになった。“華厳譜”は柳や河井寛次郎らの示唆を得て、この展覧会から半年後に制作された作品。棟方が33歳のころである。21点は華厳経を題材にして描かれているが、お経に出てくる仏に不動とか風神などの密教的な仏や神を加え、棟方流の“華厳”の世界を仕立てている。

柳宗悦はこの絵に感動し、河井寛次郎への手紙に“大作で又傑作だ。<大和し美し>より一段といい。まだ、無駄や荒々しいところはあっても素敵なものがある。その或るものは古版画に比してひけめはない。今時これほど本能的な作者は類がない”と書いている。柳が鋭く指摘しているように、中にはごちゃごちゃした構成のため、仏の姿がぱっと捉えられないものもある。でも大半は目や鼻がくっきり大きく描かれた仏さんや神さんの表情や手とか体の動感表現に心を揺すぶられる。

何回もこの絵を見るなかで、いつもぐっとくるのが右の“風神の柵”。人気の高いこの絵や“不動明王の柵”は単独でも裏彩色して販売された。棟方はこの“風神”のように人の動きを横からストップモーション的に捉えるのが本当に上手い。“華厳譜”の2年後に描かれた“善知鳥(うとう)版画巻”にもスピーディに走る坊さんや女がでてくる。

久しぶりに見た色つきの“宇宙頌”を楽しんだ。これは棟方がはじめて手がけた天井画で、青龍(東)、白虎(西)、朱雀(南)、玄武(北)の四方守護神が東西、南北の二神ずつ双幅の形式で描かれている。今回ちょっとした発見があった。目のなかに飛び込んでくる四神の白い顔をよくみると、眉毛でも瞳でも線や点の模様として表現されている。そして、鼻の両側の頬には装飾的な丸い輪がある。

この描き方は幻想画家、シャガールが人間や動物の体の一部に別のものを描きこむ(千葉市美のシャガール展:6/19)のと同じやり方。二人の絵は赤や緑など色彩が鮮やかなところも似ている。絵はやはり余計な情報は入れず、自由に見るのが一番。次回の展示は来年の1/8からなので、ここへ来るのはだいぶ先になる。

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