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2007.07.12

金刀比羅宮 書院の美展

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7/7から東芸大美ではじまった期待の“金刀比羅宮 書院の美展”(9/9まで)を見た。期待の中心は伊藤若冲の“花丸図”。円山応挙の障壁画は一度現地で見たから、これはオマケ。岸岱(がんたい)への関心はきわめて薄い。

会場には金刀比羅宮にある表書院と奥書院の10室が再現してある。四国の琴平に足を運ばなくて、応挙と若冲の名画がみれらるのだから、これほど有難いことはない。でも、あまり、気分をハイにしすぎて、色をよく写した精巧な複製画を本物の絵と見間違えないように!移動可能な襖絵だけが本物で、床の間や壁に描かれた絵は物理的にもってこれないから複製画を用意し、擬似書院障壁画にしているのである。

円山応挙のコーナーでは、鶴の絵よりは虎のほうが見ごたえがある。目を惹く虎が三匹いる。皆あまり怖くない猫のような虎。チラシに使われている有名な舌をだし川の水を呑む“水呑の虎”。これは03年、大阪であった大回顧展でも見たから3度目の対面。松の枝の下にいる“八方睨みの虎”は顎のまわりが二重、三重になった肥満児タイプの虎。そして、体が一番白い上の虎はまるで人形の“張子の虎”のよう。可愛い虎に心がゆるむ。

今回、上段の間にある“瀑布古松図”と再会したかったが、これは壁をはがすわけにはいかないから、複製画が飾ってあった。この絵をみて、次にこれと構図が似ている絶筆、“保津川図屏風”(重文)を五浦美術館(7/28~9/2)で見て、最後に8/1から19までサントリー美術館の“水と生きる展”に展示される同じような滝の絵、“青楓瀑布図”で締めくくる予定だったが。。

さて、お目当ての若冲の“花丸図”である。下は奥書院の上段の間、南面の襖絵。この絵だけが本物であとはコピー。現地を訪れたとき、奥書院は公開されてなかったので、書院のイメージが全然つかめないが、この上段の間は意外に狭い部屋。“この狭い空間に若冲はこんなに沢山の花を描いたのか!”というのが率直な感想。

ここに描かれている花は“動植綵絵”にでてくるミクロに美が宿ったような細密描写の花とは違い、模様化された切り花。いずれも右か左斜めに傾いている。花は全部で
40。“動植綵絵”と似た描き方の花をさがしてみると、いくつかあった。それは右から2番目の“もも”と“うめ”(梅花小禽図、拙ブログ06/6/18)、4番目の“しゃくやく”、左から2番目の“てまりはな”、“あじさい”、左端の“はまなす”、“ぼたん”(牡丹小禽図、
06/8/18)。

そして、若冲は葉の枯れたところや虫に食われた穴などを実にリアルに表現している。穴の部分の金色にちょっと違和感を感じるのは、描かれたときの白地が後世になり、金砂子を蒔かれたからであろう。04年にこの“花丸図”が公開されたときは、横浜に戻ってきたばかりで、見ることが叶わず、もう鑑賞をあきらめていたが、それから3年もたたないのに運よく巡り会えた。美の女神、ミューズと東芸大美に大感謝である。

なお、この展覧会は東京のあと、つぎの3箇所に巡回する。
・10/1~12/2:金刀比羅宮
・08/4/26~6/8:三重県立美術館
・10/15~12/8:パリにあるフランス国立ギメ東洋美術館

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コメント

こんばんは。この展覧会は内覧会に行く機会があったのですが、花の名前がよく分からなかったので、もう一度観にいってきました。花のことはちょっとは分かる家内を連れて行ったのですが、それでも最後は図録を立ち読みする始末でした。カボチャの花まであったので驚きました。

投稿: とら | 2007.07.15 21:43

to とらさん
花丸図が描かれた部屋は予想以上に狭かったですね。
もっと大きな若冲花鳥画ワールドをイメージしてた
ものですから、あっさりとした対面になりました。

絵はやはり画集では実際の感じはつかめませんね。
昨年の動植綵絵でみた精緻で装飾的に描かれた花が
インプットされてますから、ここでも同じ描き方が
見られるかなと期待したのですが、一部似たよう花が
ありましたが、別のイメージでした。

ここの障壁画は花の絵というよりデザインですね。
この時期、現代でも通用するような花模様のデザイン
で部屋を装飾するのですから、すごいセンスですね。
デザイナー、若冲を発見しました。

投稿: いづつや | 2007.07.16 14:37

いづつやさん、こんばんは
応挙の虎はとにかく可愛かったです。心がなごみます。
さて、複写ですが「山水の間」の滝の描写は応挙の素晴らしさが十分に伝わってくるものでした。
滝つぼから盛り上がって川となる水の勢いの描写がいいですね。
この夏、五浦美術館へは多分行けないと思いますが、サントリーの展示はなんとか目におさめたいと思っています。

投稿: アイレ | 2007.07.18 21:39

to アイレさん
応挙の虎は猫みたいで愛嬌がありますね。山水の間
の滝の絵はコピーで、思惑がはずれました。

サントリーの瀑布図のほうが先になりそうですが、
五浦美の保津川図は左眼にアイレさんの審美眼をお借
りして、しっかり見てきます。

投稿: いづつや | 2007.07.19 16:50

いづつやさん、はじめまして。

以前からブログを読ませていただいていて、
日本画について知識のない私には勉強になるなぁと
思っていたのですが、先日、初トラックバックを
させていただきました。

これからもブログを拝見させていただくのはもちろん、
ときにはトラックバックさせていただきますので、
よろしくお願いします。

投稿: dictionary | 2007.07.23 01:26

to dictionaryさん
はじめまして。書き込み、TB有難うございます。
いつも拙文を読んで頂いて恐縮です。文章を長く
しますと粗がでますから、画像で皆さんの関心
をひくことを心がけてます。

これからもよろしくお願いします。また、気軽
におこし下さい。

投稿: いづつや | 2007.07.23 22:33

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