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2007.06.19

千葉市美術館のシャガール展

890千葉市美術館で6/16からはじまった“シャガール展”(7/29まで)へのワクワク度は前回の“鳥居清長展”と違って普通。

チラシをみると、国内にあるシャガールが中心の回顧展である。

過去あったポンピドーセンター所蔵展などにも国内の美術館や個人が所蔵する名画が展示されたから、今回は初見のいい絵にどれくらい会えるかで満足or消化不良が決まる。

残念ながらぐぐっとくるような新発見はなかったが、52点ある作品に対するトータルの満足度は決して低くない。国内にあるAクラスの作品が目いっぱい集まっており、シャガール芸術を初期の頃から後年までの油彩、リトグラフにより楽しむことができる。

右の絵は昨年、青森県立美術館であったシャガール展(拙ブログ06/9/23)でお目にかかりとても感激した“軽業師”。チラシには代表作のひとつとあるが、その通りの名画である。いまひとつわからないのは、この絵の所有者。図録には個人蔵(ザザビーズ協力)となっているが、このザザビーズ協力の意味は?国内の個人が持っているのだろうか?

代表作、例えば“私と村”(NY、MoMA)とか“ワイングラスをもった二人の肖像”(ポンピドーセンター)などの多くはシャガールが24歳から30歳のころに制作されている。今回、“軽業師”とともに再会したかった群馬県近美蔵の“世界の外へどこへでも”もこの時期の作品。“軽業師”が描かれたのはシャガールと最愛の妻、ベラがアメリカにいた
1943年。シャガール56歳のときである。ほかのどの絵よりも色が鮮やかで、後年になるとみられる粗っぽい描写ではなく、おきまりのモティーフがひとつ々丁寧に描かれ、真ん中の鶏人間のまわりに上手く配置されている。

シャガールの描き方でシュールというか面白い発想なのが、体の一部にまた対象を描くこと。ここでは緑色の胴体に同じ緑色でバイオリン弾きを小さく挿入している。こういうのは普通の頭ではななか思いつかない。で、ほかの作品ではどんなのが見られるかチェックしてみると、リトグラフの“サーカス”にいろいろあった。同じく鳥人間の膝小僧のところに人間の頭が入っていたり、女の大きな顔の目に下あたりに三日月が浮かんでいたり、小牛を抱いた男が歩いていたりする。

“世界の外へどこへでも”のように、女の顔が鼻あたりで真っ二つに切られ、赤く彩色された上半分が宙に浮かぶというのはシュルレアリスムの影響。また、“サーカス”にふんだんにでてくる牛の頭と女の顔をくっつけたり、顔の左右半分を二人の人間で共有させる描き方はキュビスムからの刺激であろう。

この展覧会は今年の2月宇都宮美術館、4月三重県美でも行われているが、このどちらかに出品された“エッフェル塔と新婚の二人”(1928、ベネッセコーポレーション)にお目にかかりたかった。でも、全部消化してしまうと、展覧会に行く動機づけがなくなるから、見てない作品をすこし残しておくほうがいいかもしれない。

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コメント

 一足お先に宇都宮で観てきました。今まで知らなかったシャガールの一面を発見したりして、結構楽しみました。

ホームページの記事は、
http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/Children071.htm#070406
ブログでの紹介は、
http://cardiac.exblog.jp/6700476
ですが、《エッフェル塔と新婚の二人》のことは書いていませんので、宇都宮には出ていなかったのではないかと思います。

投稿: とら | 2007.06.20 20:20

to とらさん
モネ同様、日本人はシャガールが好きだということ
がこの展覧会をみてよくわかりました。国内の美術
館や個人もシャガールをいくつも持っていますね。

初見の作品で青山ユニマットでの“ブルーコンサート”
との遭遇のようなことがおきてくれないかなと期待
したのですが、これは叶えられなかったです。でも、
“軽業師”や“世界の外へどこへでも”と再会できま
したし、新規に“青い恋人たち”(宇都宮美)と
“予言”を見れましたから、満足々でした。

“エッフェル塔と新婚の二人”は三重県美での出品で
したか。この絵はちょっと気になります。また、どこか
のシャガール展にでてきてくれればいいのですが。

投稿: いづつや | 2007.06.20 23:33

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