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2007.06.30

MOAの日本画コレクション

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MOAでの美術鑑賞は料理のフルコーススタイル。メインディッシュ(特別展、今回はガレ・ドーム・ラリック展)のまえに前菜(常設展示)を必ず味わうことになっている。この前菜がなかなかのものなので、はじめてここを訪れる人は特別展を見る前に展覧会を一回観てきたような気分になるはず。

いつも見られるのが宗達、光琳ら琳派の絵画、野々村仁清の京焼の名品、仏像彫刻、モネの名画2点(睡蓮とホプラ並木)とレンブラントの自画像。これに所蔵の仏画、山水画、中国画、風俗画、浮世絵、近代日本画、書、やきもの、漆器がローテーションされて出てくる。

現在は近代日本画が23点展示されている(8/11まで)。図録をみるかぎり、作品の数は50点くらいと少ないが、厳選された名画を集めている。MOAの創設者、岡田茂吉は作品の質を厳しくチェックし、横山大観のような巨匠が描いた絵といえども平均レベルだと購入せず、出来のいい作品しか手を出さなかったので、珠玉のコレクションができあがった。3年通ったから、図録に載っている作品は大体みたが、いつもいい気持ちになる。

今回は数では竹内栖鳳が6点と一番多く、ほかは狩野芳崖、横山大観、菱田春草、速水御舟、前田青邨、小林古径、小倉遊亀、上村松園、鏑木清方、伊東深水が1点、ないし2点ある。上の春草の“群鷺”はぞっこん惚れている絵。精緻に描かれた青緑の藺草(いぐさ)に囲まれるように舟を配置し、その舳先に白の羽根が鮮やかな鷺を3羽描いている。上手い構成だなと感心させられるのが真ん中の舟、その向こうの藺草に較べて手前の岩と藺草の色調を強くし、奥行きのある空間をつくっているところ。

下は05年、東近美であった“小林古径展”にも出品された“紅蜀葵(こうしょっき)と猫”。古径には猫の絵、例えば、山種の稲荷神社にある狐像のような姿をした“猫”などが数点あるが、とくに気に入っているのがこの絵。はじめてみたとき、画面の大きさに驚いた。花鳥画を大きな画面にすると構図に苦労すると思われるのだが、古径は巧みな構成によって一級の作品に仕上げている。まず、目に飛び込んでくるのが生命感あふれる鮮やかな赤紅の花。花の赤と左下から右に傾くようにのびる赤蜀葵の緑は互いに響きあい、緑の葉に隠れるように描かれた可愛い猫がその紅蜀葵の色のハーモニーを引き立てている。

美人画は松園の“深秋”、清方の“名月”、深水の“深雪”(拙ブログ05/11/30)など7点が2年に1回の頻度で展示される。一度にこれほど粒のそろった美人画が展示されるのはここしかない。名画は何度見ても飽きないものだが、MOAの日本画をみたあとはいつもそれを実感する。

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コメント

こんばんは
古径はけっこうにゃんこの絵が多いので、それだけでも嬉しいです。
>山種の稲荷神社にある狐像のような姿をした“猫”
ウケました!大抵<エジプトの神猫像のような>と紹介される中でこれは面白かったです。なんだか日本的でいいですね~~

MOAは一度しか行ってませんがとてもいいところですね。
なんとかがんばって熱海に行きたいです。
そして起雲閣、日向邸にも行き、最後は魚の干物を買って帰りたいと思っています。

投稿: 遊行七恵 | 2007.06.30 22:40

to 遊行七恵さん
ここの日本画では古径の猫の絵と青邨の“西遊記”が
よく貸し出されますね。すばらしい美人画をいつも
うっとりながめてます。

MOAは東京、横浜から少し距離がありますから、
一緒に観るのは大変ですね。ここは自宅からクルマで
1時間20分くらいで着きますから、気楽に出かけて
ます。是非美味しい魚の干物をお土産に買って帰って
ください。

投稿: いづつや | 2007.06.30 23:26

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