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2007.06.12

青山二郎の眼展

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昨年9月からスタートしていた“青山二郎の眼展”がやっと東京にきた。アクセスの悪い世田谷美術館(6/9~8/19)での開催となったが、なにはさておき出かけなくてはいけない。

展覧会巡りをしていて、バスや電車のタイミングが悪い日が年に何回かある。今回はその悪いケース。半蔵門線用賀駅から美術館行きのバスは40分も間があくことがある。前のバスが出発したあとに着いたので、長いこと待つはめになった。美術館へたどりつくのにいつものかったるさが倍増された感じだったが、入館するとすぐ機嫌がよくなった。

目の前には稀代の目利き、青山二郎が見出した中国古陶磁、朝鮮のやきもの、日本の骨董が200点も飾られているからである。しかも、一点々味わい深いものばかり。松涛美術館であった“骨董誕生展”(拙ブログ06/6/25)で青山二郎の目利きぶりに感心させられたが、この人のスーパー審美眼は尋常ではない。“唐津盃・虫歯”のような小品から李朝の“白磁大壺”まで、“いい形をしているなあー、欲しい!”、“なんともいい絵付けのやきもの”と思わせる優品があちらにもこちらにもという感じ。

気持ちが一番昂ぶるのが朝鮮のやきもの。日本民芸館でよくお目にかかるのを含めて、李朝時代にやかれた壺や瓶、茶碗などが20点ばかりある。上はチラシに使われている“白磁丸壺 銘白袴”。すばらしい丸の形に見蕩れてしまう。ぐるっとまわって見ると、この壺が前に傾いていることがわかる。

このゆがみや傾むきはこの壺だけでない。ほかの丸壺も中心より前のほうがすこし大きかったり、左右どちらかが丸みを帯びていたりしている。壺の用途にかなうものであれば、形が歪んでいようが左右非対称であろうが問題ではない。日常の生活に使うやきものとしては至極自然な形である。柳宗悦や青山二郎はそんなやきものに美を感じ、熱心に蒐集した。そのおかげでわれわれは朝鮮のやきものを楽しむことができる。

青山二郎はこんないいものも集めたのかと唸ってしまうのが本阿弥光悦作、下の“山月蒔絵文庫”と“鹿図蒔絵硯箱”。ここで光悦の蒔絵に会えるとは夢にも思わなかった。“山月蒔絵文庫”では、月と手前の山には鉛で象嵌し銀泥を施し、松の木の葉に螺鈿を使っている。光悦の美的感覚はやはりすごいなと思うのは月の配置と金泥が塗られた遠景のまるい山と手前の銀色の山の対比のさせ方。これは光悦の蒔絵のなかでも忘れられない一品になりそう。

このほか、浜田庄司の水指、黒田辰秋の漆大平椀、北大路魯山人の織部向付、加藤唐九郎の志野茶碗、富岡鉄斎の絵、インド更紗の掛軸など心を奪われるのがぞくぞくでてくる。満足度200%の展覧会であった。

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コメント

こんばんは。
私もこの展覧会を待ちに待っていました。
月末に行く予定ですが、友人は土曜日に出かけてきて、
すっかり魅了されていました。
東博東洋館の横河コレクションを見るのがこの上もないしあわせな時間です。民芸館も至福の場所。
去年の松濤も素晴らしかったですね。
李朝は、大阪の安宅コレクションで心奪われて以来、ずっと心はそのままです。
あぁ、待ち遠しいです。早速の記事アップに嬉しくなりました。

投稿: あべまつ | 2007.06.12 22:59

僕も行ってきましたが、メモした紙を忘れて自分のブログにアップできません!
器には「器格」なるものがあると青山は考えたようですね。
ピカソがあったのも面白かったです。
会場はゆったりとしたスペースで気持ちいいですね。
図録は解説編と図版編に分かれていますが、解説が貧弱ですね。

投稿: oki | 2007.06.12 23:28

to あべまつさん
中国陶磁器も横河コレクションや静嘉堂文庫、
日本民芸館のいいのがずらっとあります。

日本のやきものでは萩割り高台茶碗、絵唐津、
織部、志野など流石、高い審美眼をもった人の
集めるものは違うなという感じです。お楽し
み下さい。

投稿: いづつや | 2007.06.12 23:46

to okiさん
ピカソや青山二郎自身の絵もありましたね。
普通の人と較べ、2,3倍の目利きでないと
高等遊民にはなれませんね。美術品のもつ力
を並外れて感じることができるのですから
すごいです。

一つ々の解説はありませんでしたね。学芸員
はこれで腕を磨くのにどうしたのでしょう?

投稿: いづつや | 2007.06.12 23:55

いづつや様

遅ればせながら、行って参りました。

仰るとおり、満足度200%の展覧会です。
更紗の掛軸、白磁、垂涎の一品ぞろいでしたね。

TBさせていただきました。
ご承認いただければ幸いです。

投稿: meme | 2007.07.15 20:24

to memeさん
名古屋にお住まいのmemeさんなら、昨年9月から
12月までおこなわれていたMIHO MUSEUM
のほうが近かったのではありませんか?

青山二郎の集めたやきものはよくある“中国・朝鮮
陶磁展”とか“志野・織部展”に並んでいるものとか、
表通りの有名骨董屋にあるようなものとは違いますね。
裏通りの店で無造作におかれているやきものという
感じです。

でも、こういうものがかえって心を揺すぶりますね。
この“小さな発見、大きな感動!”を自分なりに体験
したいと常々思っています。

TBの承認なんてとんでもありません。お気軽にな
さってください。

投稿: いづつや | 2007.07.16 14:00

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