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2007.06.22

東博の浮世絵平常展示

894東博2階にある浮世絵コーナーの作品はおよそ3週間位で別のに替わる。

このペースで鑑賞すると年間ではかなりの数を見たことになり、自然と浮世絵を心から楽しむという心持ちになってくる。

でも、3週間は長いようで、ぼやっとしているとすぐ過ぎるから、ここの浮世絵を常時見るというのは結構忙しい。

このように鑑賞サイクルは気ぜわしいが、作品をみているときは一回あたりの展示数は30点前後なので、見疲れすることもなく、作品に集中できる。しかも、以前書いたように、ここの浮世絵ストックは相当あるから、毎度々新規の名作に遭遇するという楽しみがある。

今回も味わい深い浮世絵が並んでいる。梅雨とはいえ、真夏のような暑さが続くと、着るものは薄くて柔らかい素材のものがいい。浮世絵は風俗画なので、画面に季節感のあるモティーフがでてくるとぐっとくだけるが、今時分うってつけの絵があった。

奥村政信の“美人と鶏”と右の歌川国貞の“江戸名所百人美女・御殿山”。奥村政信の美人画は何枚も見たが、肌をこんなに見せているのははじめてお目にかかった。これは想定外の嬉しい体験。国貞が描く上半身裸の女にもぐっと魅せられる。この金だらいに湯をはって耳の後ろを洗っている場面は女性が日常、ふっとかい間見せるしぐさ。体をひねるポーズと鮮やかな色彩に見入ってしまった。

毎回楽しみにしているのが歌麿の作品。いいのが4点あったので機嫌がいい。10点あるといわれる“当時全盛美人揃”の“瀧川”、“若松屋内若鶴”、“丁字屋内雛鶴”と3枚続の“美人見立曽我の対面”。とくに“瀧川”と“若松屋内若鶴”を夢中になってみた。背景の黄色地によくあった衣装の色や口に筆をくわえた若鶴の艶っぽい描写は天才絵師、歌麿ならではの表現。

流石、東博と唸らせるのが“美人見立曽我の対面”と鳥居清長の“橋下の涼み舟”(拙ブログ5/3)を一緒に展示するところ。これは見ごたえがある。テンションが一気にあがった。3枚続きの横長画面に女性を3、4人づつ描く美人群像画は歌麿も沢山描いており、この“美人見立曽我の対面”はメトロポリタン美の“契情三人酔三幅”と構成や人物描写がよく似ている。

このほかでは、北斎の“草刈の帰途”や春信の“持統天皇”が目を楽しませてくれた。ここの展示はいつも二重丸。

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コメント

私も、歌麿の当時全盛美人揃、10作品、すべて見るのが
楽しみな目標になりました。
歌麿と清長の三枚揃いの比較は、とてもためになりました。
本当に3週間に一回の展示替えは目まぐるしいですね。

投稿: 一村雨 | 2007.06.23 06:17

to 一村雨さん
ここには歌麿のいいのが沢山ありますから、毎回が
楽しみです。当時全盛美人揃はなかなかいいですね。
3年ぶりに展示されました。もう一点見ましたから、
ここにあるのはたぶんこの4点だけだと思います。
ほかは海外のギメなどがもっているのでしょう。

清長と歌麿のワイド画面の美人画はみてて楽しい
ですね。歌麿のははじめてみました。

投稿: いづつや | 2007.06.23 11:02

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受胎告知の見納めに、何とか定時に仕事を終えて、東博まで出かけたが、到着時の6時45分には長蛇の列。これはダメだとあきらめ、本館の常設展をまわることにする。マイブームの2階、浮世絵コーナー。はじめの奥村政信「美人と鶏」には、「汗になる鳥に悋気の夫婦従」と...... [続きを読む]

受信: 2007.06.23 06:13

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