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2007.06.23

三井記念美術館の拓本コレクション展

895最近は書を意識してみるようにしている。といっても、書に詳しいわけではなく、書の鑑賞者としては駆け出しである。

とりあえずのルーチンは東博の本館と東洋館にある書画コーナーに展示される書を絵画を見たとき必ずみること。当面はこれだけで、まとまった書の本を読むことはしない。まず、書を沢山見て、漢字とひらがなに目を慣らすのを先。

話しが横道にそれるが、展覧会で作品を見るとき、説明のプレートで読むのはタイトル名と所蔵先だけで、作品の解説にはほとんど目を通さないのがMy鑑賞スタイル。また、イヤホンガイドとかを借りることもなく、入り口のところにあるご挨拶文やセクション毎の解説もパスすることが多い。この方法を20年間続けている。

だから、鑑賞疲れというのは作品を一生懸命みることによる疲れだけなので、よほどの名品揃いでなけれは一つの展覧会での疲労はさほど無い。解説文というのは曲者で、脳細胞は文字情報の理解にエネルギーを食われるから、これに作品そのものの鑑賞疲れが加わると全部見終わると結構シンドイのである。で、ご挨拶とか解説は図録に載っているので必要ならば後で読むことにして、目の前の作品だけに専念している。

これから向かい合うつもりの書は漢字や古文の世界だから、かなりの解説が作品の背景にある。これを一々理解しようと思って鑑賞すると、相当疲れることは目に見えている。そのため、書も絵画やほかの美術品同様、知識を詰め込んでみるのではなく、気楽に文字の特徴や美しさを感じようと、現在、“中国五千年 漢字の姿”(7/1まで)を開催中の三井記念美術館を訪問した。

拙ブログ6/9で書いた東博と書道博の拓本コレクション展とコラボする三井家の拓本は79点ある。開館記念展でこのなかの一部をみたが、これほどの量、質をそなえたコレクションとはサプライズ!王義之の11点のほか、虞世南1点、欧陽詢6点、褚遂良3点、顔真卿4点と歴史に名をなす書家のものがずらっとある。

右は虞世南(558~638)の“孔子廟堂碑”の唐拓孤本。虞世南が書いた碑文の原石は存在しないから、この唐拓は虞世南の筆跡をうかがうことの出来る唯一の拓本である。それで、孤本と名づけられている。これは欧陽訽(557~641)の“九成宮醴泉銘”の宋拓とともに唐代の楷書を代表する傑作といわれている。中国にあっては大変なお宝が二つとも三井家に伝わっているのである。どこがどう上手なのか、また同じ楷書でどう違うのか、まだわからないが、すこしずつ目を慣らし、その傑作ぶりがわかるようになりたいと思う。

来年、日本民藝館で漢~六朝の石碑から写し取った中国の拓本などを展示する“版と拓の美展”(08/1/6~3/23)が開かれるので、ここでも拓本をみる機会がある。

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コメント

三井の拓本、なかなか見応えがありましたよね。
一文字一文字と対話するような展示で、
見終わって心地よい疲労感がありました。
普段、書を見るときは白い紙に黒い文字。
でも拓本の場合は黒い紙(墨)に白い文字。
そして、普段見る書は文字そのもの+字の流れを見るけれど、
拓本(特に冊子タイプ)の場合は活字そのものを見ることになる。
このへんの違いがまた面白いなー、と。
過日、出光美術館で「書のデザイン展」を見てから、
書の面白さ(楽しみ方)がなんとなく分かってきました。
私は東博と書道博には会期末に駆け込む予定。とっても楽しみ。

>説明のプレートで読むのはタイトル名と所蔵先だけで、作品の解説にはほとんど目を通さないのがMy鑑賞スタイル。
あ、同じ、同じ。
下手すると作家・タイトル名すら見ないこともあります。
さすがに今回の拓本に関しては素人なので、
基礎知識として全体解説は読みましたが。

投稿: 菊花 | 2007.06.24 00:25

to 菊花さん
書そのものはまだ、わかりませんが、三井の拓本
コレクションがほかと較べてすごいというのは確実
に理解しました。書の通がみると、目が輝くで
しょうね。

拓本の地が黒で白抜き文字というのには昔から魅せ
られてましたから、3館のコレクション展は是非見
ておこうと思ってました。

書のように知識のストックがないものはベースとな
る基礎情報を得るため、説明書きを読みますが、
絵画の場合は、菊花さんと同じく、ほとんど見ません。

絵をみるとき心がけているのは“見て知りそ、知りて
な見そ”(民芸運動の柳宗悦の言葉)、作品を見て
感じること、見るまえから頭のなかを知識や情報で
いっぱいにしないようにしてます。

美術評論家の言葉で頭の中が占領されるなんてイヤ
ですし、いつも白紙の状態で作品と向き合い、自由
に見るほうが一番楽しいのですが、世の中には商品
やサービスの口コミ感覚で美術品をみる人が増えて
ます。

これは絵を“理解しよう”とか“読もう”として見る人が
多くなっているからでしょうね。理解するためには情報が
必要ですが、絵を“感じる”ためにみるのであれば、予備
知識などいりません。

目の前の絵を画家がどういうモティーフで描いたのか
わからなくても、色彩がきれいだったとか、フォルムが
印象的だったとか、楽しめますものね。まあ、楽しみ方
は人それぞれですが。

投稿: いづつや | 2007.06.24 09:19

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