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2007.06.03

出光肉筆浮世絵コレクションの菱川師宣

870出光美術館で開催中の“肉筆浮世絵のすべて”は5/30から後期に入り、通期展示の9点を除き作品は別のものに替わった(7/1まで)。

作品数70点は質的には前期(拙ブログ5/7)同様、Aクラス。

好みは美人画より遊里風俗画のほうにある。ここの風俗画はとびっきりコンディションが良く、色が美しいので見てると浮き浮きしてくる。とりわけ菱川師宣一派と宮川長春一派の作品の前にたつともう放心状態。展示の最初からすばらしい風俗絵巻がある。右の師宣作、“江戸風俗図巻”。

これは隅田川の賑やかな舟遊びの場面。舟のなかには大勢の男女がおり、女が奏でる三味線の音色や鼓を音を心から楽しんでいる様子。手前の川岸をみると、緑や、青、赤といった鮮やかな色と洒落た文様が目を惹く着物に身をつつんだ町人と女が足取り軽く歩いている。笑えるのが舟の屋根にいる二人の船頭。若い方が頭に怪我をし痛がる男を気遣っている。下にいる皆は“ハレ”気分なのに、裏方は日常の“ケ”のまま。面白い対比描写である。

師宣のもう一枚“遊里風俗図”や師重の“吉原遊興図屏風”では、“悪所”・吉原で遊ぶ男たちが遊女を下見するところや座敷での宴、魚をさばく料理人などが描かれている。風俗画は細かい状景や描かれた人物の顔の表情や体の動きが目の中にしっかり入ってくると、イメージが膨らみ絵画空間がより身近になってくる。

会期中でている宮川長春の“江戸風俗図巻”は巻き替えされて、絵巻のなかで一番華やかな座敷での遊興の場面。金砂子をふんだんに使った装飾で宴の席が一層盛り上がり、菱川派よりさらに洗練された衣装の柄の精緻な描写と巧みな色使いに目を奪われる。

菱川師宣、宮川長春の絵がお気に入りの方のために関連情報を少々。ホテルニューオ二のなかにある美術館で7/7~8/19に行われる“大谷コレクション肉筆浮世絵展”に二人の絵(拙ブログ05/7/17)が展示される。また、大倉集古館の“江戸の粋展”
(6/2~7/27)では宮川長春の“上野観桜・隅田川納涼図”が見られる。

後期にはもちろん、懐月堂安度などの美人画の名作、北斎の作品もあるのでご安心を。北斎の構図が見事な“春秋山水図”は東博の北斎展にも出品された名画。また、国芳の役者群像画“役者夏之夜図”にも惹き込まれる。日本の宝と言ってもいい出光の一級の肉筆浮世絵を堪能した。

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コメント

肉筆浮世絵のすべてというからには、
出光美術館所蔵の肉筆浮世絵は、これで全部なのでしょうね。
船の屋根の上にいるふたりの船頭、確認するの忘れました。
それにしても、前期後期とすっかり、肉筆画の世界に引き込まれた
素晴らしい展覧会でした。

投稿: 一村雨 | 2007.06.03 22:34

to 一村雨さん
出光の肉筆画でこれはというのは全部でてると思います。
記念展のときは学芸員だって張り切ってますから、出し
惜しみすることはありません。

一新された図録には新規の所蔵品、例えば北斎とか、
国芳などが追加掲載されてます。

投稿: いづつや | 2007.06.04 13:58

こんにちは。
本当に素晴らしい展示会でした。
菱川師宣のことは、見返り美人の人だったのですが、
ものすごく深い絵師だったこと、絵巻で感じました。
改装に入る前に、もう一度行って図録を買いに行ってもいいかな、
と思っています。重たいのですけれど。
出光のあの空気感が大好きです。

大倉も楽しみですね。

投稿: あべまつ | 2007.06.04 15:13

to あべまつさん
今回の展覧会を機に図録が一新されました。前のは
縦長で硬く、見辛かったのですが、A4の大きさに
なったので永久保存版ができたと喜んでます。

出光コレクションをみるのは3回目なのですが、ます
ます菱川師宣、宮川長春の風俗画にのめりこみます。
緑や赤、橙色、紫、うす緑、うす青など色がとても鮮
やかなのと、衣装の繊細な柄が実にていねいに描かれ
ているのがすごいです。出光の肉筆画はほんとうに
コンディションいいですね。

投稿: いづつや | 2007.06.04 21:51

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» 肉筆浮世絵のすべて 後期  出光美術館 [つまずく石も縁の端くれ]
ほとんどの作品が入れ替わり、前期とまったく異なった展覧会なのだが、時代を追って、同じ系譜の絵師を並べる展示方法は前期と同じだったので、予習を済ませたかのようにスラっと見ることが出来た。最初に寛文時代の美人図を眺めていたら、いきなり、浄瑠璃芝居看板絵屏風...... [続きを読む]

受信: 2007.06.03 22:35

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