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2007.06.01

鳥居清長展 江戸のヴィーナス誕生 その二

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“鳥居清長展”の後期(5/22~6/10)を見るため、ワクワクした気分で千葉市美術館を訪問した。前期の作品(拙ブログ5/3)があまりにすばらしかったので、後期のみに出てくる58点(全部国内にあるもの)への期待もいつになく高い。

今回のような一級の展覧会の場合、まず期待を裏切ることはない。果たして、流石、千葉市美術館の学芸員の眼力はすごく、“国内の美術館や個人蔵にもこんないい清長があったの!”と唸らせる優品がいくつもあった。そして、嬉しいことにシカゴ、ボストン、ホノルル、メトロポリタンからやってきた超一級の清長美人画が会期の最後まで居続けてくれるのである。これほど贅沢な回顧展はない。

前期同様、清長が絶頂期に生み出した江戸のヴィーナスの三大揃物、“当世遊里美人合”、“風俗東之錦”、“美南見十二候”と美人画プラス風景画のワイド画面の名品を食い入るように見た。お気に入りをあげると。

着物のすそが風に吹かれている“当世遊里美人合 橘中妓”、うす緑の蚊帳のなかに入ろうとする女の顔が艶っぽい“蚊帳の内外”(山口県萩美・浦上記念館)、ワイド画面の構図が似ている上の“六郷の渡し”(平木浮世絵財団)と“真崎の渡し舟”(山口県萩美・浦上記念館)。“六郷の渡し”は日本にもこんないい清長の絵があったのかと嬉しくなる一枚。八頭身美人がいろんなポーズをとる群像表現に背景の風景が富士山。心がとろけそうになる傑作である。

今回一番の横長は5枚続の“隅田川桜の景”(個人蔵)。男1人、女14人と全部で15人描きこまれている。右の方には立ってタバコの火をつけあっている二人の女がおり、左端は桜の下で宴会の真っ最中。踊っている女の側では“私、もうダメ、眠たくなったワ”と女がうつろな目で横になりかけている。

最後のコーナーにある肉筆画では、前期から“隅田河畔納涼図”(メトロポリタン)、“女三人上戸図”(ホノルル)が出ずっぱりであるが、後期は三井記念館が所蔵する下の“駿河町越後屋正月風景図”がでている。これを三井の開館記念展でみたとき、遠近法を使った画面構成と衣装の鮮やかな緑やうす青、赤、橙色に声がでなかった。あの八頭身美人画で有名な鳥居清長が三井家の依頼でこんないい風俗画を描いていたというのも驚きだった。前期には優品“詠歌弾琴図”(ニューオータニ美)が出品されたから、肉筆画も言うことなし。

一生の思い出になる鳥居清長の大回顧展であった。千葉市美術館に感謝々!

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コメント

今日ははからずもお会いして楽しい話をする時間を持てました。
神様のお導きでしょうか。
千葉へは明日参ります。そして清長美人たちとデートしてきます。

投稿: とら | 2007.06.01 22:57

to とらさん
“同じ美術館を回っているのだから、お話しでもしたら!”
とミューズが会わせてくれたのかもしれませんね。短い
時間でしたが、楽しいひとときでした。

連日浮世絵三昧ですね。一足お先に清長美人をひとり占め
(心の中で)させていただきました。お楽しみ下さい!

投稿: いづつや | 2007.06.01 23:14

隅田川桜の景は、圧巻でした。
昔の人は5枚、揃いで買ったのでしょうね。
きっと驚いたことでしょう。

投稿: 一村雨 | 2007.06.04 23:10

to 一村雨さん
大画面でも5枚続となるとかなり横が広くなりま
すから、沢山の人物が登場し、見ごたえがあります。
風景画が入った美人群像図がやはり一番楽しいで
すね。まったくご機嫌の浮世絵展でした。

投稿: いづつや | 2007.06.05 18:51

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» 鳥居清長 江戸のヴィーナス誕生(後期) [Art & Bell by Tora]
 前期も観たが、このような素晴らしい展覧会は一品たりとも見逃したくない。外国からの出展作品には二度お目にかかれる。という次第で、暑い日差しの中、千葉市美術館に出かけた。  美術館の中は蒸していた。これは気候のためだけでなく、結構観客が多かったためである。通常の浮世絵展と違い若い人が多いのが目に付く。「江戸のヴィーナス誕生」というネーミングが良いためなのだろうか、あるいはまたブログでの評判が良いためなのだろうか。  新しいお気に入りは、下記のように多数。 《赤子に尿をさせようとする母とそ... [続きを読む]

受信: 2007.06.03 21:22

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