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2007.05.12

世田谷時代1946ー1954の岡本太郎展

834世田谷美術館は現在、“世田谷時代
1946-1954の岡本太郎展”を開催中(5/27まで)。

そして、川崎市にある岡本太郎美術館でも“青山時代1954-1970の岡本太郎展”(7/1まで)を行っている。

世田谷美はアクセスが悪いので、出かけるのにいつも、気が重い。岡本太郎の作品はかなり見たので、もういいかなという気持ちといや新規の作品がでてくるかもしれないという思いが交錯し、悩んでいたが、ひょんなことで友人が招待券をくれたので出かけてみた。

岡本太郎の画歴を本を読むなどして頭に入れてないから、これまで見た代表作が世田谷時代なのか青山時代なのか区別がつかなかったが、この展覧会で有名な絵は大半、世田谷時代1946-1954に制作されたものであることがわかった。

パリ留学時代に描いた作品で1945年の空襲で焼けたため、戦後再制作された“コントルポアン”(東近美)、“空間”、“痛ましき腕”が最初のコーナーにあった。蝶ネクタイのように見える赤いリボンに片腕。頭がない姿態というのはどうもしっくりこない。岡本太郎が制作した絵画や彫刻、置物、オブジェなどをおおよそ目の中にいれたあとで、“さあー、岡本太郎のどれを一番評価する?”ともし問われたなら、その答えは即座に“彫刻とオブジェ!”。

“じゃあー、絵は評価しないの?”に対しては、“赤や黄色、ピンクなどの色使いは好き。鮮やかな色の組み合わせはすばらしい。だが、角々した面とか細い三角形とか鋭利なハサミのようなフォルムはどうも好きになれない。中途半端な具象抽象画という感じ。それでも作品を見に川崎市や青山へ足を運んだのは色を楽しみたかったから”

“具体的な対象物のイメージがひとかけらもない抽象画でも美しく感じられる作品は世の中には沢山ある。岡本太郎の絵からはエネルギーとか力強さは存分に伝わってくるが、それは瞬間的な磁力の強さみたいなもの。見る者をじわじわ惹き込んでいく絵ではない。抽象っぽい具象がいろいろ描きこまれているので、いつも落ち着かない気持ちで絵を見てしまうのである”。

今回出ている代表作、“夜”(拙ブログ06/12/20)、“森の掟”(05/8/3)、東近美蔵の“夜明け”と“燃える人”のなかで最も好きなのは“夜”。岡本太郎が画面のなかに人間をまともに描いたのはこの絵しかない。このナイフを後ろに隠して立つ少女に魅せられている。“美女と野獣”とか“作家”とか“まひるの顔”のようにタイトルから人物とか動物を思わせるのがあるが、ぐっとくる絵ではない。

これらの絵よりずっと楽しいのが右の“樹人”。ラッパのような形をした樹木から人間が飛び出てきたようなシンプルな構成はストレートに題名をイメージできる。考えてみると“具象抽象画”というのは難しい絵だ。あまり具体的なイメージをもつ造形は“こりゃー何だ、子供の絵か!”と馬鹿にされるし、抽象度を上げると“抽象的に描きたいのかリアルに表現したいのかはっきりしてよ!”といわれる。

岡本太郎の絵画はこれで済みにし、これからは彫刻家、岡本太郎を愛し続けようと思う。

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コメント

岡本太郎は好き嫌いが分かれますね。
いづつやさんは彫刻とオブジェですか。
僕は彼の写真に惹かれます。
沖縄のウタキ、秋田のなまはげー。
強烈な生を送った人だから、写真も強烈なものが多いですね。
岡本のオブジェは何がおすきですか?

投稿: oki | 2007.05.15 10:07

to okiさん
岡本太郎の絵は岸田劉生、青木繁、梅原、安井ら
とくらべると好み度は下がりますが、コピーが
お得意なジャパニーズシュルレアリストや現代画家
よりは断然好きです。

これまで絵画はみたことがなかったものですから、
ここ3年くらいかけて美術館通いでいい絵を追い
求めたのですが、総括すると“夜”、“森の掟”
、“明日の神話”以外は好きになれませんでした。

理由は明白で絵画では、元来造形より色に興味が
あるのと形ならまるとか曲線のほうに美を感じるか
らです。結局、彫刻やオブジェにこそ岡本太郎芸術
の真骨頂があるという世間一般のイメージにまた
戻ってきました。

川崎市の記念館にある大きなオブジェ“樹人”、
可愛い“午後の日”、“顔”などはどれも見て楽し
くなります。図録に岡本の撮った“なまはげ”など
の写真が載ってますが、こういう原始エネルギーが
感じられる作品はいいですね。

投稿: いづつや | 2007.05.15 12:53

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