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2007.05.07

出光美術館の肉筆浮世絵展

828出光美術館では、日本一といわれる肉筆浮世絵コレクションが前期(4/28~5/27)と後期(5/30~7/1)の2回にわけて公開される。

そのうち、人気の高い作品8点は昨年11月にあった開館40周年記念の名品展Ⅱに展示され、多くのファンを楽しませてくれたが、コレクションの全貌が見られるのは02年の“歌麿と北斎ー浮世絵美人画名品選”以来のこと。

今回は前回の倍近い132点が展示される。会期中ずっとでているのが9点あり、残りが前・後期で配分されるから一回で見られるのは70点。図版もこれまで販売していた縦長コンパクト版から新規の作品を加え、普通のA4サイズのものに生まれ変わった。

一度目慣らしをしているので、今回の楽しみは名品のいくつかで味わった感動のリフレインと初登場の作品。肉筆浮世絵は大半、遊里風俗図と美人画。ここは菱川師宣と肉筆画した描かなかった懐月堂安度の作品の宝庫。師宣はひとりか二人の美人画と風俗画を描いたが、安度は立姿の美人画オンリー。お気に入りは師宣および弟子たちが制作した風俗画。師宣作では、着物の鮮やかな色彩と美しい文様が目を惹く“遊楽人物図貼付屏風”に釘付けになる。

この美人群像画と同じくらい感激するのが大勢の男女が踊りを楽しむ場面や遊郭の様子を描いた菱川師平作、“春秋遊楽図屏風”。右はその右隻で満開の桜に囲まれて皆がハイな気分で輪になって踊っているところ。日本にある風俗画のなかでは最高クラスの作品である。

菱川派とともにいい遊楽図を描いたのが宮川派。長春の“江戸風俗図巻”は当時の様子が生き生きと伝わってくる。屋形舟のなかでは男が遊女をはべらせて寝そべり、川岸には枝が精緻に描写された二本の柳の間に元気のいい子どもたちと女がいる。

絵の大きさに目を奪われるのが一笑の“吉原歳旦図”。男女の顔の表情をリアルに描いているのに感心する。太夫の後ろで赤い傘をもっている男は口を真一文字に結んでいるし、お供の禿はぺちゃくちゃお喋りしている感じ。面白いのはどの男たちも口もとが笑っていること。そりゃー楽しいでしょう!ニヤつく気持ちをストレートに表現した遊里図はこの絵以外に見たことがない。

肉筆美人画に関しては、勝川春章が描く女しか眼中にない。ここで5年前、“美人鑑賞図”(拙ブログ06/12/8)と出会って以来、ひたすら春章の美人画を追っかけてきた!名品は出光とMOAに集中しており、ここは5点もっている。4点を前に言葉がでない。

今回、注目していたのが北斎の肉筆画。初見の“樵夫図”にハットする。これは見てのお楽しみ。また、最後に飾ってある強い色調で描かれた歌川国久の“隅田川舟遊・雪見酒宴図屏風”をお見逃し無く。

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コメント

こんばんは
いい展覧会でしたね。前後期に分けてもらうの賛成です。
前期見ただけでフラフラになりました。
今回、総じていいものを見たと思いました。
幸せです。
いづつやさんの挙げられた群舞もとても気に入ってます。

投稿: 遊行七恵 | 2007.05.08 00:39

to 遊行七恵さん
会期中に130点もでるのですから、タイトル
通り“肉筆浮世絵のすべて”ですね。師平の名品を
また楽しくみました。明るい色がよく残っているの
と踊りの場面がいいですね!

肉筆画は美人画よりも(春章は除く)遊楽図のほう
を熱心に観てます。菱川師宣、師平、宮川長春、
一笑らの絵をみていると時間が経つのも忘れてしま
います。

投稿: いづつや | 2007.05.08 13:22

たばこと塩、出光と、嬉しい展示が重なりますね。
私も「美人図」よりも「遊興図」が楽しみなくちです。
そういえば、
2番目の部屋にあった船遊びを描いた絵巻
(確か花火をしている人が描かれていた)と、
3番目の部屋の船遊びを描いた絵巻(?)では、
舟の名前(船主の名前)が一緒でしたが気付かれましたか?
うろ覚えですがどちらも「一心丸」だったような。
当時の最王手船宿だったのかしらん?

投稿: 菊花 | 2007.05.08 22:19

to 菊花さん
国久の屋形舟が“川一丸”と太く書かれていたのは
覚えていますが、長春の“江戸風俗図巻”に描かれた
舟が同じ名前だったことには気がつきませんでした。
簾の向こうにいる遊女はしっかりみたのですが。

舟の名前がでるということはおっしゃるように上顧客
用に使られた有名な屋形舟だったかもしれませんね。
こういう風俗画をみてると江戸に関することをいろ
いろ知りたくなりますね。

菊花さんは歌舞伎がお好きだから、風俗の知識も豊富
なのではないですか。また、教えてください。

投稿: いづつや | 2007.05.08 22:46

歌川国久って、本当に女絵師だったのでしょうか。
川一丸、あまりにも迫力ありすぎでした。
特に船頭さんたちの姿には笑えました。

投稿: 一村雨 | 2007.05.16 19:35

to 一村雨さん
歌川国久の絵はこれまでこの出光の大作と
同じ肉筆美人画で雪のなかを行く芸者の絵
(中右コレクション)の2点しか見たことが
ありません。

どの図録でも生没不詳となってます。初代豊国
の門人で、同じく門人の国貞よりすこし年下
です。どうも肉筆美人画を得意とした女流絵師
みたいですね。

私も5年前、この屋形舟、川一丸をはじめてみた
ときは、その強い色調にびっくりしました。

投稿: いづつや | 2007.05.16 23:01

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