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2007.05.09

山種コレクション名品選

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山種美術館が開館40周年を記念して開催中の“山種コレクション名品選”は大盛況。現在は前期(4/21~6/3)で作品数は28点。そして、後期(6/6~7/16)には30点が展示される。

この展覧会を一層贅沢なものにしているのが近代日本画の名品といっしょに飾られる琳派(5点)、岩佐又兵衛(1点)の絵。今は“新古今集鹿下絵和歌巻断簡”(俵屋宗達&本阿弥光悦)と酒井抱一の優品“秋草鶉図”の2点がでており、後期には長年待っている“四季草花下絵和歌短冊帖”(宗達&光悦、18図)が全点展示されるほか、鈴木其一の“四季花鳥図”も登場する。近代日本画は既にみているので、個人的に注目しているのはこちらの方。

美術館スタッフは前期の28点を絞り込むのに苦労したにちがいない。われわれもせっかくの記念展だから、名画中の名画をみたい。でも、ここには近代日本画を代表する作家の絵が沢山あるから、あの絵も、この絵もとなると収拾がつかなくなる。で、目の前に飾れた名画を心を真っ白にして見た。

拙ブログで紹介した絵がいくつかある。横山操の“越路十景”(全10図、05/2/7)、速水御舟の“名樹散椿”(重文、05/3/9)、東山魁夷の“年暮る”(05/12/11)、奥村土牛の“醍醐”(06/3/15)、竹内栖鳳の“班猫”(重文、06/10/20)。こういう展覧会のときは言葉はいらない。ただ、絵をこころゆくまで楽しめばいい。

上は村上華岳の代表作、“裸婦図”。4/28に放送された“美の巨人たち”が取り上げていた。この“日本のヴィーナス”とはかなり昔、この美術館が茅場町にあったころ出会った。美術の教科書に載っていた絵だから、感慨深く鑑賞したのを今でもよく覚えている。1920年に制作されたこの絵と岸田劉生の“麗子微笑”(1921、重文、東博)は世界に通用する人物画ではないかと思う。

二つの絵に共通するのはダ・ヴィンチの香り。“裸婦図”は下絵の段階ではダ・ヴィンチの“レダと白鳥”を意識したかのように右足のところに鳥が描かれていたという。華岳は自分のイメージする“久遠の女性”の顔や姿態は“アジャンタ壁画”の仏画を下敷きにし、背景やまわりの構成はダ・ヴィンチの絵に想を得た。淡い色調と豊かな線描により女性を清楚で神々しく描き、まわりの風景はダ・ヴィンチのように神秘的に表現したかったのかもしれない。05年、京近美で開催された“村上華岳展”については05/5/18のブログに書いた。

下の絵は小林古径の“河風”。05年、東近美であった“回顧展”でお目にかかり、メロメロになった絵である。この絵と一緒に展示された“花”をみて、古径は鏑木清方級の美人画描きだったことを思い知った。以来、古径を勝手に“近代の勝川春章”と名づけている。

あちこち部屋を回らず、名画を至近距離からじっくり見られるのは実に気持ちがいい。後期には、御舟の“炎舞”(重文)、土牛の“鳴門”、松園の“砧”など近代日本画を代表する傑作が登場する。日本画の美しさがしみじみ感じられる極上の展覧会である。

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コメント

華岳の裸婦図は初めて出会ったときから今に至るまで、
ただただときめくばかりです。
何度見ても飽きません。
裸婦図、班猫、炎舞・・・
わたしにとって山種の永遠の三点です。

投稿: 遊行七恵 | 2007.05.11 12:35

to 遊行七恵さん
裸婦図は日本の宝といってもいい絵かもしれませんね。
岸田劉生がある人に“日本画で評価しているのは横山
大観かね?竹内栖鳳かね?”と問われて、“いや。村上
華岳君だね!”と答えたというのが分かりますね。

後期には御舟の“炎舞”がでてきますから、今から
楽しみです。

投稿: いづつや | 2007.05.11 14:53

先日、日本画壇の優品たちにお目にかかってきました。
大正、昭和の名品が集まっていると思っていたので、
宗達と光悦の鹿や、抱一の秋草鶉図に驚きました。
御舟コレクションも、さすがでした。
上村松園の怪しげな幽霊を髣髴させる姿にも
脅威を感じました。
おりしも急な風雨に襲われ、
余計にそんなことを感じたのかもしれません。

投稿: あべまつ | 2007.05.19 17:50

to あべまつさん
美術館の人は出品作を選ぶのに悩んだでしょうね。
どの絵が喜ばれるかと。御舟を沢山出すところ
は山種の特色がちゃんと踏まえています。裸婦図、
班猫も自慢の作品ですね。松園の作品は今回の4点
がベストのような感じがします。

今は、後期にでてくる“四季草花下絵和歌短冊帖”
を首を長くして待っているところです。

投稿: いづつや | 2007.05.19 23:40

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